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233/268

233:マジ、貧乏になる。

「骨の買取屋はここ?」

「「はぁ〜い、ここで〜す」」


 どうしてこうなった?

 俺は露店に立たされ、そしてやってくるプレイヤーから骨を買い取っている。

 露店の周辺には女の子が集まり、ある者はSS撮影を。またある者は骨を売りに来たプレイヤーの接客をしていた。


 もう一度言おう。


 どうしてこうなった?


 思いだそう。

 夢乃さんに手渡されたアバター装備を着ると、女の子たちが集まって来た。

 そしてSS撮影会になった。

 カメラ嬢の一人が公式掲示板の話を持ち出し、俺が骨を集めているという話題が。

 そこからおかしな事になったんだ。


「じゃあ宣伝しましょうかぁ?」

「買取するなら露店機能を使うと楽ですよ」

「そうね。計算間違いもしないし、システムがやってくれるから手間も掛からないし」

「じゃあ、私が露店だすけん、みんなはあちこちで宣伝してきてくれん?」

「「オッケー」」


 こうして夢乃さんの知人女子たちが散らばって数分。

 まずやってきたのは――。


「ふんどし王子ってど――きゃぁっ」

「はぅん。あ、あの衣装は――」

「ルーク様!? どうしてルーク様がここに!?」


 ルークって誰だよ。

 そう思った俺の隣で夢乃さんが「お願い騎士様のナンバーワンキャラばい」と。


 その乙女ゲーの噂が広がっていったのか、続々と女プレイヤーが集まって来た。

 が、ぽつぽつと骨を売却しにくるプレイヤーも。

 更に骨をゲットしようと、その場でパーティーを組んで出立していく女子軍団も出てきたり。

 その際――。


「骨ゲットしてくるので、待っててくださいね♪」


 と笑顔で言ってくる連中も多く、俺はここを離れられなく……。

 そして二時間。


「買取よろ〜」

「あ、はい。露店カウンターに手を付いて、売却操作をしてください」

「ほいほい」


 アイテムを売りに来た相手がカウンターに手を付くと取引ウィンドウが開く。

 買い取るアイテム限定で設定してあるので、該当アイテム以外をウィンドウに乗せる事は出来ない。

『スケルトンの骨』『フィッシュボーン』『動物の骨』。

 この三種類が買い取りアイテムだ。

 取引ウィンドウにアイテムを移動させれば、システムが勝手に金額を計算してくれる。

 算出された金額を支払うかどうかの選択が入り、『はい』を選択すれば相手に金が振り込まれる。

 楽なもんだ。


 そのうちドドンがやってきて、昨夜の分の骨を持ってきた。

 その数……。


「おい、一万超えの骨って、どうなってんだ? インベントリの一つの枠に入るのは九百九十九個だぞ」

「スケルトンの骨って95%ドロップなんだぜ。一時間も居れば一人で五十個余裕なんだって」


 一人五十個。十人が売りに来れば五百個。

 あのダンジョンで狩りをしてるプレイヤー数を考えれば、一万とか余裕か……。

 ドドンが手を出して金を要求。百二十五万を支払う。


 これなら先住民の村の土壌改良も余裕そうだ。


 ただそろそろヤバい。

 最初のうちはチラホラとお客が来る程度だったんだ。

 だが一時間もすると行列ができるほどに。

 そして今、俺の所持金は十万ENを切った。


「あ、あのぉ。夢乃さん?」

「なん? あ、順番守ってね〜」

「……懐事情がそろそろヤバいです」

「そうなん? あ、そこ。こっそり列に割り込ま――えぇぇ!?」


 驚くのが遅い。

 俺の声が聞こえていた数人の女子と夢乃さんがさっと集まって円陣を組むと、なにやらぼそぼそと話し合っているようだった。

 時間にして一分弱。

 彼女らは円陣を解くと、さっと散らばっていった。

 そして列に並ぶ骨の買取希望者に声を掛けてゆく。


「すみませ〜ん。ふんどし王子の所持金が限界になりましたので、本日の買取はこれにて終了いたしま〜すっ」

「SSの撮影はお早目に〜」

「またのお越しをお待ちしておりますっ」


 てきぱきと客を解散させていく出来る店員さんだな。

 だが、俺の事を「ふんどし王子」で固定させるのは止めてくれっ。


 ほどなくして露店から解放された俺は、骨の数と残金とを確認する。


 スケルトンの骨は一万ちょい。魚のほうは千ちょい。動物の骨は二千個ちょい。

 だいたい一万四千弱だな。


 残金、二万ENな〜り。


 あれ?


 一気に貧乏になった気分。


 これはマズい。

 ペットフードを量産して稼がねば。


 そう思って開拓村の村長を尋ねると、先日分が完売していて百八十万ゲット!

 ふ、金持ち再来だぜ。


 が、ここでザグからチャットが入る。


【ザグ:マジックどんよろこべ。スケルトンの骨、一万五千本買い取ったぞなもし!】


 ……一万、五千、だと?

 125EN×15000=ひゃくはちじゅうななまんごせん……お金、足りませぬ。


「うおぉぉぉぉっ! 合成! 合成!!」


 こうして俺は昼飯を食うのも忘れて、必死にペットフードを合成するのであった。

お読みいただきありがとうございます。

この土日は更新をお休みしようと思ったんです。

思ったんですけど、なんだかPVが増えておりまして。ブクマの伸びも良くなってまして。

調子に乗って自分の首を絞めることにしました。

本当にありがとうございます。


また、19日の活動報告にて「ランキングタグ位置(あとがき下)の書影掲載について」アンケートを取っております。

ページの表示に時間が掛かって重い、というご意見があれば変更する予定です。

よろしければご意見をお願いします。

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