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216:運営の中の人&掲示板。

 某所のビルの一室――


 穴倉はムキになっていた。


「うおおおぉぉぉぉぉっ。デバフ耐性100%にしてやるううぅぅぅっ」


 そんな穴倉の肩に、優しく手を添える者がいた。


「穴倉君、それではプレイヤーが楽しめないだろう」


 チーフである。

 そして笑顔である。


「穴倉君。我々はプレイヤーを楽しませる事が使命なんだよ」

「た、楽しませる?」

「そうだよ!」


 そしてチーフは天井を指差す。


「我々が作っているのはなんだね! 我々は……ゲームを作っているのだよっ」


 そんな事分かっている。

 その場に居た誰もが思った事だろう。


「やる気の見られないボスモンスターが居てもいいじゃないか!」

「チ、チーフ……」

「彗星マジック君の事は目を瞑ろうではないか!」

「ぐぬぬっ」


 怒りがふつふつと蘇る穴倉であったが、そんな彼にチーフが優しく微笑みかける。


「我々は一人のプレイヤーに踊らされてはいけないのだよ。我々は……常にお客様を満足させるために、より楽しいコンテンツを生み出すのだよ!」


 意味不明である。

 だが……。


「チ、チーフ! 俺は……俺は感動しました!」


 正気か穴倉!?

 そして気づけば涙する他のスタッフがちらほら。

 尚、女性陣たちは冷静である。


(チーフ、やけににこにこしてると思ったら、あと一分で帰宅時間なのね)

(穴倉が修正作業を続けるなら、チーフも残業になってしまうものね)


 故にチーフは笑顔なのである。


 帰れる――ただその一点だけで笑顔になれるのだ。


「さぁ穴倉君。修正なんてやらずに――」


 キーンコーン。

 社内時計が日付変更を知らせる。


「終電が残っているうちに、帰ろう!」

「はいっ、チーフ!」


 だが夜勤組は明日の午前七時までお仕事であった。


「「お疲れ様っしたっー!」」






 某掲示板――



77 名無しの冒険者 [sage]

 遺跡ダンジョン進んでたら

 奥の方からアニソンの大合唱が聞こえてきたんだが

 あれはなんだったんだ?



78 名無しの冒険者 [sage]

 なにそれ

 ダンジョンモンスターの罠?



79 名無しの冒険者 [sage]

 いや

 プレイヤーっぽい

 ただそれを確認する前に奈落の底に落ちたから

 詳細が分からないままセーブポイントいったんよ



80 名無しの冒険者 [sage]

 なむw



81 名無しの冒険者 [sage]

 >>77

 ふんどし王子が歌でボスモンスターを眠らせた

 そのままほぼ起きることなく楽勝コースに突入

 他PTが真似して歌いだした

 だがデブな蝙蝠は怒り狂ってPT決壊

 マジぱねぇっすふんどし王子



82 名無しの冒険者 [sage]

 >>80

 なむありw



83 名無しの冒険者 [sage]

 なんか放電の殴りふんどし王子がボス攻略法を

 見出したみたいだな

 それが子守歌らしい



84 名無しの83 [sage]

 被ったし



85 名無しの冒険者 [sage]

 >>81

 サンクス

 相変わらずあのプレイヤーは何やってるんだろうな



86 名無しの冒険者 [sage]

 ネタに生きてるんだろ

 で、そのネタが以外にも功を奏していると



87 名無しの冒険者 [sage]

 ふんどし王子の歌つったらデバフ効果あっただろ

 歌そのものが攻略の鍵なんじゃなくデバフのほうじゃね?



88 名無しの冒険者 [sage]

 >>85

 きっと本人は大真面目にプレイしていると思われ



89 名無しの冒険者 [sage]

 どのゲームにも一人二人

 いやそれ以上に居るもんだ


 HENTAI

 が



90 名無しの冒険者 [sage]

 最近の王子の装備は大人しくなったな



91 名無しの冒険者 [sage]

 上半身裸マフラーで大人しいのか……

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