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215/268

215:マジック、精霊との連携を試みる。

 五階へと到着したが、ダンジョン内の外観は特に変わっていない。

 土がむき出しの、あまり手が加えられていないような天然の洞窟っぽくも見える。

 まぁ地面は平だし、壁も特に凸凹しているわけではないので歩きやすいけどな。


「セシリア……んところの執事さんの話だと、ここは地属性モンスターの巣窟だっけか?」

「うむ。うちの執事さんはとても優しくて、いろいろ教えてくれるの」


 セシリアに似てぽんこつなんだろう。うちのシンフォニアもけっこうぽろり属性持ってるけど、セシリアんところには負けるかもしれない。


「地属性モンスターばっかりなら……ノームとの相性は最悪ってことで」

〔の!?〕

「サラマンダー、出てこい」

〔のおおおぉぉぉぉ〔ぼっ〕


 よっぽど俺と一緒に居たいのかノームは。

 代わりに出てきたサラマンダーは、二息歩行状態で宙に浮き、腕を組んで明後日の方角を見ている。しかも舌打ちしやがった。

 が、チラッチラとこちらを見ては、目線が合うと慌ててそっぽを向く。

 ツンデレ過ぎだろ。


「よぉし、先に進むぞ〜」

「「おぉ〜」」






 落とし穴がない分、四階より楽勝だな。

 いや楽勝過ぎる。

 まぁ地属性モンスターの巣窟で落とし穴なんかあったら、奴らもガンガン落ちるだろうしな。そういう意味で四階は飛行系ばかりのフロアだったのか。


〔ぼっぼぼぼっぼ〕


 恰幅のいいフォルムのサラマンダーの通常攻撃は、口から吐き出す炎のブレスだ。

 丸いが一応ドラゴンっぽい容姿だもんな。それっぽい。

 近づいてくるモンスターの所まで飛んでいくと、ブレスを吐きかけて戻ってくる。

 相手は地属性。遠距離攻撃手段を持ってないと飛んでる奴には、反撃もできないようだ。


〔ぷ!〕

「いや、あたちでも倒せるかしらって、そもそもお前、攻撃できないだろ」

〔ぶ!〕


 そうだったわって……。

 しかしなんで攻撃不可な設定したんだろうなぁ。出来るようになればもっと楽なのに。

 まぁ今の俺には精霊がいるからな。しかもこっちは餌代が掛からないという、コストパフォーマンスで言えば最高の相棒だ。

 ただ――


〔ぼっ。ぼぼぼぉぼぼっ〕

「あ、あぁ。ちゃんとやるって」


 俺様ばかり戦わせてないで、てめぇーも戦いやがれ糞が。と仰ってます。

 このヤンキーかぶれなのだけはどうにかならないものか……。

 こいつにどんなスキルを作って貰うかなぁ。

 やっぱ派手なエフェクトの攻撃魔法がいいよなぁ。


「サラマンダー。お前はどんなスキルが作りたいか?」

〔ぼ? ぼ、ぼぼ、ぼぼぼぼぼぉっぼ〕


 俺様? そ、そんなの、お前の好きなように考えさせてやってもいいんだぞ……だからなんでツンデレなんだよ!


「マジック君、サラマンダーちゃんは何て言ってるのだ?」

〔ぼ、ぼっぼぉっ!? ぼぼぼぼぼっぼぼっ〕


 ちゃん付けされてサラマンダーがお怒り――いや、照れてる?


「サラマンダーちゃん!? 俺様をサラマンダーちゃんなんて呼ぶな恥ずかしい。といいつつ、まんざらでもないようだぞ」

〔ぼっぼぼぼっぼっぼっ〕

「そっか。じゃあサラマンダーちゃん」


 にっこり微笑むセシリアを見て、黄色やオレンジ交じりのサラマンダーの体は、完全に真っ赤な炎に変わった。

 更にサラマンダーがきらきら光り、そのきらきらがセシリアを包む。

【サラマンダーの新スキルが作成されました】

 そんなシステムメッセージが浮かぶ。


 おい、絆されてスキル作ってんじゃねえぞ!

 いったい何を作ったんだ。

 ステータスを見てみると――


【炎の勇気と保護】

 武器に炎属性を付与。

 防具に炎によるバリアコーティング。

 これにより、火属性による被ダメージ30%ダウン。

 地属性による被ダメージ50%ダウン。


 ……バフスキルじゃねえかあぁぁぁっ!


「武器に属性が付いたよマジック君!? これがサラマンダーちゃんのスキル?」

〔ぼっ〕


 腕を組んで随分とドヤ顔じゃねえかサラマンダーよ。

 俺は攻撃スキルを作って欲しかったのに……あとでスキル忘却してやる。

 このスキルを俺が使えるようになったら、全部効果が真逆になるんだよな?

 武器への付与はどうなるか分からないが、防具のほうはダメージアップするようになるから恐ろしい効果になってしまう。

 却下だ却下っ。


「サラマンダー。後でスキル取り直しな」

〔ぼっ!〕

「マジック氏、精霊に振り回されてるな」

「精霊って、もっと従順なのかと思ってました」


 俺的には割と自分勝手にやってるイメージだな。

 ただノームなんかは出来る子ではある。

 まぁこの辺りは付き合いの長さも関係しているかもしれないので、ここでサラマンダーとの良好な関係を築いていかないとな。


「よし、サラマンダー! 俺との連携魔法、行くぞっ」

 ……。

 返事がない。

 くるっと振り返ると、背を向け宙に寝そべる奴の姿があった。

 


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