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愛しの師匠  作者: 正太郎&シン・ゴジラ
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第43話 不死人について 後


 『どうですかー、ボクの情報ー?役に立ったでしょー』

 「どこがだ。まったく手掛かりなんぞ掴めないぞ」


 私は、通話装置の向こうにいる能天気な声に答えた。

 すでに三十分は歩き回っているが、一向に魔法陣どころか不死人の手掛かりの一つも見つけられていない。

 

 弟子の意見に同意して来てはみたものの、とんだ無駄足だった。


 「大体だな、なんであんなに早く組合や騎士団に通報したのだ」

 『だってねー。街の危機でしょー?』

 

 ゲラゲラと笑いながらの反論に、私は知らずに歯ぎしりしていた。

 

 この軽薄男の言い分は正しい。


 街に暮らす人々の安全を考慮すれば、一刻も早く危険な魔法陣をすべて解除するべきなのだ。


 主神に選ばれた聖戦士でありながら、自らの過去の失態に執着するあまりに弱き人々をないがしろにするとは。

 まったく恥ずべき浅慮だ。


 親友に『考えなしの筋肉達磨』と評されていた頃から、成長できていないように思えて情けなくなってしまう。


 だが、奴らが出てきてしまったらどうするのだ。

 

 あの、無慈悲で底知れぬほど残酷な不死人。


 奴らが一度その本性を現せば、騎士や戦士が何万人集まろうとも、その眼前に立つことすらできはしないのだ。


 『まーまー。そんなに焦りなさんなってー』

 「・・・分かっている」


 私は通話装置を構えたまま、大きく深呼吸をした。

 

 弟子にまで諭されてしまうほどに冷静さを欠いていたとは、信じられない。

 

 そうだ。


 あの憎き不死人の奴らを残らず滅ぼすためにも、しっかりしなくてはならない。


 『実際のところ、どんな使い道を考えて配置したんでしょうねー?』

 「使い道も何も、人々の生気を奪うためだろう」


 グレンが見つけた魔法陣は、忌々しい不死人が作り上げた唾棄すべき呪物である。

 一度発動すれば、広範囲のありとあらゆる生命から命の力を根こそぎに奪いとり、死に至らしめてしまう。小さな村など一瞬で全滅するような、恐怖の魔法だ。


 こんなものを街中に設置するなど、まさに狂気の為せる非道。あるいは外道だ。


 『ちーがうちがう!奪った生気の使い道!』

 「生気の使い道だと・・・?」


 馬鹿な。

 多くの人の命の力を使って、何を為そうというのか。

 “あの時”のように、邪神の皇子の一人か、その眷属でも呼び出そうというのだろうか。


 いや、それ程に地上を乱そうとする行為ならば、我が偉大なる主神が気づかぬ筈がない。


 『もしもボクが見つけなかったら、さぞやたくさんの生気が集まったんでしょうねー?』

 「・・・それを、何に使うというのだ」


 嫌な予感がする。

 とても、嫌な予感が。


 街の聖職者や魔法士たちの目を盗み、これ程の規模の魔法的な仕掛けを施す実力者。

 そんな者が思い描く絵図とは、一体なんだ。

 

 私は、首筋を撫でた。

 首筋の、古傷を。

 偉大なる主神との、繋がりの証明を。


 『例えばー、古代の兵器の“燃料”とかー?』


 思考の渦へと飲まれかかっていたその時。

 相変わらずの軽い調子で通話装置から放たれた言葉に、私は戦慄した。


 「機動要塞か!」


 そうだ。

 この地区には、要塞機関部への侵入路がある。

 

 この地区に魔法陣がなかったのは、術者やその仲間が巻き込まれないように、機関部を再起動するためか。


 『ねー?役に立つ情報だったでしょー』


 最初から勘付いていたのか、この馬鹿蜥蜴め。


 という言葉を飲み込んで、私は通話装置を切った。

 同時に、あの教会跡へと走り出した。 


 とんでもないことを考えるものだ。

 無垢なる人々の命を奪い、それを糧として古の災厄を復活させようなどとは。

 

 だが、これで確信した。


 間違いなく、この件に絡んでいるのは不死人。

 それも私が壊滅させそこねた、あの不死人の軍団に違いない。


 

 あ、そうだ。

 弟子へ連絡をしなくては。


 そう思い至り、懐へとしまった通話装置に手を伸ばしかけた私は、先刻の弟子の表情を思い出していた。


 ・・・いや、知らせる必要はない。

 

 もとより不死人との戦いの場に、あのような幼い娘を連れてなどいけない。


 あんな、未熟な娘など。




 


 「来たか、来たか!にっくき剣士よ!」


 機動要塞機関部。

 その眼前にて朽ち果てていた巨大兵器の上から、その老人は語り掛けてきた。


 「お前は、誰だ?」


 問いながら、私は周囲を見渡した。

 目に見える範囲には、この老人しかいなかった。 


 老人は、私の問いに胸をそらした。


 「私は、偉大なる『常闇の腹心』。その一人である!」


 両腕を振り上げ、高らかに宣言する老人に対して、私は嘆息した。

 

 『常闇の腹心』。

 なんとも、化石のように古い時代の言葉ではないか。

 災厄の失せて久しい現代には、相応しくはない。


 「黙れ小僧。その下賤な名を、二度と口にするな」


 そう言って私は、老人の方。つまり巨大兵器の躯へ向かって歩き出した。

 

 問答している時間が惜しい。

 

 早くこの男を捉えて、必要な情報を吐かせなければならない。


 「おのれ、おのれ!侮辱するか!」


 老人は怒りと共に、ぶつぶつと詠唱を始めた。

 その口の動きを読みながら、私は背中の大剣に手を伸ばした。


 「燃えろ、剣士め!」


 裂帛の気合と共に放たれたのは、火球だった。 

 直撃すれば肌が焼けこげ、その熱気を吸い込めば肺までただれてしまうことだろう。

 

 まあ、直撃すればだが。


 私は抜き放った大剣を横にして構えた。

 そして私めがけて直進してくる火球に向かって、思い切り振りぬいた。


 「ひっ」


 火球は私の大剣に弾かれ、その軌道を大きく変更した。

 すなわち、術者本人の元へと、打ち返されたのだ。

 

 老人は、自分へと向かってくる火球を避け、巨大兵器の後ろの方へと跳び退った。

 火球は老人がもといた位置へと落着し、盛大にはじけ飛んだ。

 

 「そら、早く出てきたまえ。時間が惜しいんだ」

 

 私からの挑発めいた提案に、しかし老人は笑い声を伴って返答をしてきた。


 「ひゃひゃひゃ!いいだろう、出ていくよ、出ていくとも」


 老人は、巨大兵器の身体の端から姿を現した。向こう側から、ぐるっと回ってきたらしい。


 しかし、一人ではなかった。

 

 その左右の手に、子どもを二人連れ立っている。

 

 「不死人・・・!」


 片方の子どもの目は、照明を落とされた暗い空間にあって、爛々と金色に輝いていた。


 金色の目。不死人の持つ、外見的な特徴だ。


 間違いない。

 こいつが、この一件の首謀者。


 不死人だ!


 「そら、お嬢ちゃん。出番だよ」


 私が不死人に気を取られていると、不死人ではない方の子どもが老人の手から離れ、私の方へと進み出た。


 暗闇の中、何故かその髪だけが、白く輝いて見えた。


 「何っ」 


 






 「君、“魅了”されているのか」

 

 そう呆れるように言う師匠は、いつも通りの無表情だった。


 だが、その目に何か感情が見えるような。

 そんな気がするのだが。


 「さあ、その物騒なものを捨てろ」


 優しい老人は、師匠に向かって話しかけていた。

 そうか、師匠とも仲良くしたいのか。


 師匠は優しい老人の言葉に従い、手にしていた大剣を放り投げた。

 がごんっ、とお腹に響くような音を立てて、大剣は床を跳ねまわった。


 それでいいのだ、師匠。

 この老人と仲良くするのに、武器など必要ないのだ。

 

 「お前のことは、調べた。調べたのだ。この娘は、かわいいかわいい弟子なのだろう?」 

 

 優しい老人は、懐から一本の小刀を取り出した。

 鈍い光を散らすそれは、魔力を帯びていることを窺わせた。


 なんだ、老人は武器を出すのか。

 でも、まあ大丈夫だろう。


 この老人は、優しいのだから。


 「やめろ!」


 師匠が無表情にそう言った。

 だが、眉がつり上がっている。

 ああ、怒っているのか。


 でも、大丈夫だ、師匠。


 この老人は、とても優しいのだから。


 「いやいやいや。ちがうよ。ちがうとも。私がこの娘を殺したり傷つけたりしたら、お前は私を殺すだろう?」


 そう言って優しい老人は、私の手にその小刀を置いた。


 なんだろう。

 これで、何をすればよいのだろうか。


 「さあ、お嬢ちゃん。あのお師匠様を、これで殺しなさい」

 「・・・下種め」


 師匠が吐き捨てるようにそう言った。


 師匠。

 どうしてそんなことを言うのだ。


 この老人は、とてもやさしい人だ。

 そんな酷いことを、言わないでほしい。


 「君、止めなさい。心を強く持つんだ」


 師匠が手の平を私に向けて、そう言った。


 止める?

 何を止めるのだ?


 「お嬢ちゃん、大丈夫だ。君のお師匠様はああ言っているが、正しいのは君なんだよ」


 そう言って優しい老人は、私の肩に手を置いた。


 そうか、正しいのか。


 師匠を殺すことは、正しいのか。


 優しいこの老人が言うのならば、そうなのだろう。


 

 ・・・でも、本当に、そうなのだろうか?



 私が首をかしげると、優しい老人は少し語気を荒げた。


 「さあ、やれ!やるんだ」


 そ、そうか。

 この優しい老人が言うのならば、やらなければならないのか。


 「よしたまえ、君!」


 師匠が私を見つめて、そう言った。

 あの、無表情なのに、様々な感情を映し出す瞳。


 でも、今は全然分からないな。


 なんでだろう。

 

 私は不思議に思いつつも、じりじりと師匠へと歩み寄った。

 それに合わせて師匠は、じりじりと後退していった。

 

 師匠。

 変に動かないでほしい。


 私は師匠を殺さなければならないが、苦しませたくはない。

 


                               い       や      だ


 だから、抵抗はしないで。

 

 

          や                 め               ろ



 私がちゃんと、殺すから。







 ぜ    っ     た     い     だ      め      だ     !

 

 

 




 


 なんだか、胸元が熱い。



     お              き             ろ         !


 ああ、あのグレンからもらった、銀の小片。

 

 

 こ       の       ね       ぼ        す      け    !



 何故か、燃えるように熱いではないか。




 あれ、私は何を、しているのだ?







 『心を、強く持ってください』






 突如、私の耳元で声が響いた。


 ああ、そのやさしい声。聞き覚えがある。


 『はい。私は、貴女をいつでも見守っております』


 その穏やかで、しかし強く響くような声は、私の頭の中に立ち込めていた霧を打ち払った。


 ・・・そうだ。


 この人は、私の師匠だ。


 私の嫌いな、大切な師匠だ。


 殺すなんて、そんなことできるわけがない。





 私が小刀を取り落とした瞬間。


 「役立たずめっ!」


 あの優しかった老人が、叫んだ。


 



 同時に。




 師匠の力強く温かい身体が、私を包み込んだ。


 そして赤面する時間すらなく、その上から火球が浴びせられた。


 火球は師匠のその大きな体に直撃し、破裂すると、盛大に余熱をまき散らした。


 「ぬああぁっ!」


 師匠は絶叫と共に私の身体を勢いよく突き飛ばした。


 私はごろごろと床を転がり、身体を打ち付け、目をまわした。


 火球の余波による大やけどと打ち身によって負傷した私は、それでも顔を上げて、師匠の方を見た。

 

 師匠は、老人に向かって走り出していた。


 老人。

 いや、魔法士は、向かってくる師匠に向かって、続けざまに火球を数発放った。

 

 その時、火球の光に照らされて、ちら、と見えた。

 

 師匠の右手に、先刻私が落とした小刀が握られているのを。

 

 師匠は、二発目の火球を横っ飛びに回避した。外れた火球は、大きく破裂して広場を照らした。


 しかし三発目は、師匠が避けるそぶりを見せた瞬間に、空中で破裂した。


 「ぐぁっ!」


 爆発に巻き込まれ、師匠は全身を炎に包まれた。

 師匠は足を止め、膝を折った。


 「やったぞ!」


 恐るべき魔法士は、いや老人は、よだれをまき散らしながら両手を上げた。


 そしてさらに火球を生み出し、動けなくなった師匠に向けて何発も放り投げ始めた。

 まるで悪辣な餓鬼が、弱った子犬に石を投げつけるように。


 「我が偉大なる『常闇の腹心』、千年の夢・・・。いや、二万と千年の夢の成就はならなんだ。だが、我らの恨みは晴らしたぞっ!」




 そう狂ったように叫ぶ老人に向かって、




 師匠はその身体を燃やしながらも、




 小刀を投げつけた。




 小刀は吸い込まれるようにして、老人の左胸に収まった。






 

 

 散々師匠を化け物と呼んで愚弄した老人は、師匠の放った小刀が致命傷となり、死んだ。


 あっけない。


 街の住人を大勢殺そうとした外道が、こんなに簡単に死んでしまうなんて。

 

 「本来人間というものは、あっけなく死んでしまうものだよ」


 身体が炭化していた筈の師匠は、やはりそうと分からないほど完全にきれいな身体に戻っていた。


 そのたくましい肉体は、火傷どころか傷の一つも見えない。



 師匠。


 「なんだい」


 その。


 早く、服を着てほしい。


 目のやり場に困る。


 「おっと、失礼。だが、先にやることがある」


 師匠はすでに死亡している老人の左胸から小刀を引き抜くと、少年の方を向いた。

 

 「こいつが、不死人だ」


 そして少年の方へと歩き出した。


 不死人。

 この少年が。

 一見しただけでは、普通の人間なのに。


 少年は、その金色の目をこちらに向けていた。

 しかし、私たちを見てはいない。

 

 どこか遠くの、別の時間にとらわれているかのように、まるで先刻の戦闘には無反応だった。


 「たかだか二万年とちょっとで、摩滅したのか?いい気なものだな」


 出会った時と変わらず、ぶつぶつと意味不明な言葉を呟き続ける少年に、師匠は無表情のままに冷たく言い放った。


 だがその瞳には、感情がありありと浮かんでいた。

 

 あの、恐るべき魔法士の術から解けた今なら、はっきりとわかる。


 師匠は、この少年を。


 不死人を、憐れんでいる。

 心の底から。


 師匠は、祈りの言葉と共に小刀に奇跡の力を込めた。


 それは、この世のあらゆる不浄を払う力。


 悪魔も、呪いも、不死人すらも。


 「先に、逝っていてくれ」


 そう言って師匠は、少年の胸を小刀で貫いた。


 すると少年は、見る見るうちに全身が灰へと変わっていった。


 滅んだのだ。


 少年の身体が完全に崩れ去ったのを確認すると、師匠は膝をついて祈りを始めた。


 








 私は、その師匠の背中に向かって問いかけた。










 師匠。

 

 「なんだい」


 師匠は、死なない?


 「・・・ああ」


 ・・・師匠は、死ねない?


 「・・・」


 私からの問いに、しかし師匠は答えてくれなかった。











 「あのおじいちゃんはねー、若いころに牢獄で看守をしていたんだそうですよー」


 看守?

 そんな人が、なぜあんな恐ろしいことを?


 「そのおじいちゃんはねー、真面目な看守だったころに一人の少年と出会ったんですよー。不思議な不思議な少年にー」

 「あの、不死人のことか?」


 師匠が卓の上にお茶を置きながら、グレンに訊ねた。

 

 一応今回の事件では功労者なので、茶の一杯くらいは馳走してやるということで、師匠がグレンをお屋敷に引っ張り込んだのだ。


 その席でグレンは、“驚きの真相”とやらを語り出したのだ。


 「そそ!あの不死人は、ふるーいふるーい時代の生き残りでしてねー。あんまり長く生き過ぎて、心が壊れちゃってたんですよー。でも、長い間にため込んだ知識を、本に書いちゃってて・・・」


 ・・・まさか、その看守が読んでしまった?


 「おっ!お嬢さん、鋭い!」

 

 グレンは湯呑を片手に、ずずいっと、私との距離を詰めてきた。

 そんなグレンを押しのけて、私は答えを促した。


 「お察しの通り、その看守はその強力で不浄な書物を読んじゃいましてねー。ふるーいふるーい不死人の軍団の一員になっちゃったんですよー、頭の中でねー」


 そう言ってお茶をすするグレンを眺めながら、私は身震いした。


 元は看守としてまっとうに生きていた人間を、ただ読んだだけで狂わせてしまうとは。

 いったいその書物とは、どれだけ恐ろしいものなのだろうか。


 「そうしてその看守は、ながーいながーい時間をかけて、大勢の人を唆して誑かしてー。そして、とんでもない事件を起こしちゃったと!」


 これでめでたし、おーしまいっと言って、グレンはお茶請けの焼き菓子へと手を伸ばした。

 

 本当に能天気に語ってくれるが、その話が事実ならばとても恐ろしいことではないか。

 この世界には、この街には、そんな恐ろしい書物があるのか。

 

 もしも私がそれを読んでしまったのなら・・・


 「止めなさい」


 師匠はグレンの対面、つまり私の隣の席寝椅子に座ってそう言った。


 「君は、絶対にそんなことにはならない。だから、そんな無益な思考は止めるんだ」


 そう言って頭を撫でる師匠に、私は礼を言った。

 

 身震いは、すぐに止まってしまった。

 師匠に撫でられると、とても安心するのだ。


 「不死人の作ったものなど、当人を含めて一切合切根こそぎに、この地上から抹消してしまうべきなんだ」

 

 そのように勇ましく、というか過激に言い放つ師匠は、しかしいつも通りの冷静な様子だった。


 私はそんな師匠を注意深く観察しながら、問いかけた。


 師匠は、不死人が嫌いなのだろうか。


 「勿論だ。あんな連中は、たとえ親兄弟であろうとも、皆滅ぼさなければならないんだ」


 腕組みをしながらそう言う師匠は、やはりいつも通りの無表情だった。

 その目には、少し前までの嫌な感情の色は見えなかった。


 しかしその代わりに、何か哀しみや覚悟のようなものが・・・?


 「・・・さいですかー・・・」


 小さく師匠にお茶をすするグレンの表情からは、軽薄さが消えていた。

 

 代わりに、憂いているような表情がそこにはあった。




 








 「料理オタクで?」

 「あせくさい!」

 「小言が多くて?」

 「むっつりすけべ!」

 『イェーイ!』

 「・・・」

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