なな
「ねぇ、昨日の子は誰なの?」
「3組の紅さんだよね?」
「もしかして、彼女?」
「ちょっと?聞いてる?」
俺は今苦しんでいる。
今は休み時間なのだが、俺はなぜか女子達に囲まれて質問攻めにあっいたのだ。
机に俯せになって誤魔化しているが、今にもはきそうなくらい死にそうである。
…え?アレルギーのこといえばいいじゃないかって?
そんなことできるわけない。なぜなら小学生のとき、アレルギーの話をしたのだが誰一人信じず、それが原因で虐められたことがあるからだ。もうあれはトラウマだ。
でも、そんな状況でも俺のことを救ってくれた奴だっている。
「ちょっとみんな、佐藤疲れてるみたいだからそんなに質問ばっかしないの。
紅さんはただの友達だっていってたから、ほら早く席に戻った戻った」
そう、青木である。
彼女の一言でまわりにいた女子達は各席に戻っていく。ホント、青木には助けられっぱなしだな。
「…すまんな、青木」
俺は俯せのまま礼をいう。
「いいのよ別に。
それよりも、やっぱ私の考えた通りになっちゃったなぁ」
私の考えた通り?
「…どういう意味だよ?」
俺が少し顔を上げて青木を覗くと、彼女は考える素振りをした。
「うーんなんと説明すればいいのやら…
まぁ、簡単に言ったら、普段女子を避けてる佐藤が女の子とひっついていたってのが不思議に感じたんでしょ」
あー、なるほどね。まぁアレルギーのことを知らなかったら、俺と紅さんがまるでカップルに見えても不思議じゃないわけだ。
ってあれ?
「でもなんでみんな俺が女子避けてること知ってるのさ?」
そう尋ねると彼女はにやりと笑い、こういった。
「女の子ってのはね、案外いろんなとこを見てんのよ。男のあんたにはわかんないでしょうけどね。」
「ふーん…」
なるほど、よくわからん。
俺は窓の外に広がる青い空を見ながら、授業が始まるのを待っていた。




