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ろく


時はすぎ放課後。ほとんどのクラスが今授業が終わって帰宅する頃だ。グラウンドでは部活動の生徒の掛け声もちらほら聞こえてくる。


俺は図書館にいた。と言うのも帰宅ラッシュ時に帰る=死であるためあえて帰宅時間をずらしているのである。もちろん朝も誰よりも早く学校に着く。

おかげで予習や宿題はほぼ完璧にこなせている。ただし女子が隣の席のときは授業が聞ける状態じゃないのでチャラなのだが。


まぁそんなわけで一人読書にふけているのだが、なにやらさっきから向かいの席から視線を感じる。


「じ〜…」


いや、なんかモロに見られてるし。


「…なにやってんだよ、小倉」


「やっと気付きましたか」


そういって彼女はにこりと笑った。彼女は小倉みのり、図書委員で一個下の後輩だ。青木とは中学の部活の先輩後輩らしく、やけに仲がいい。



小倉はアレルギーのことを知らないが、俺に近づくことはない。なぜなら森野が彼女に頼んだからだ。

じゃあなんで森野の言うことを聞くのかって?それは彼女が森野のことを好きだからだ。


『森野先輩に近づくには佐藤先輩の近くにいるしかないんです!!』


初対面のとき、そういって俺の手をつかんできて、俺は恐ろしい吐き気に襲われて3日学校休んだのは今となってはいい思い出た。

この話はまたいつかできたらしようと思う。



「…で、今日は何の用だ?森野なら生徒会だぞ」

「いいえ、今日は佐藤先輩のことで話があるんですよ」

…は?俺?



「なんか噂によると、今日女の子とベタベタひっついてたらしいですね」


「は?そんな話どこで聞いたんだよ?」


「さぁ?どこでしょうね」


そういってニヤニヤしながら俺を見つめる。なんかむかつくな。アレルギーじゃなかったらぶん殴ってやりたい所だ。



「で、私から一つ聞きたいことが。」


「…なんだよ」


「…その人って、佐藤先輩の特別な人ですか?」



特別な人?

困った質問だな。確かに病気的には特別な人間なのかもしれないけれど…どうなんだろう?


そーいえばアレルギーが反応しないだけで、別に仲がいいわけじゃないしな。



「特別…ってわけじゃないだろうな、多分」


なんとも曖昧な解答をしてしまった。というかこうしか解答できなかったと言うべきか。


その答えをきき、小倉は妙に納得した表情をしてみせた。


「なるほどわかりました。

聞きたかったのはそれだけです。」


そして大きく一礼して一言。


「ありがとうございます、おっぱい先輩!」



「…って情報源青木だろ!」



「まぁ、そんな冗談はさておき…

先輩、気を付けてくださいね」


「は?」


気を付けるって、一体何に対してなんだよ?


「…まぁ明日になればわかりますよ

ウフフ・・・・」



不気味な笑い方をしながら小倉は姿を消した。




この時の俺は彼女の言うことをまともに聞いちゃいなかった。

しかし次の日、俺は泣くほどこの忠告の意味を理解することになる。

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