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にじゅーよん


「うわーここくるのかなり久しぶり!」


「なかなかこれないもんね」


この前の梅雨が嘘だったみたいに晴れ渡った初夏の朝、日曜の遊園地は賑わっていた。開園直後だというのに既に来場者は多く、名物の垂直落下ジェットコースターから叫び声が聞こえていた。


遊園地というのはそんなに好きではなかった。人が多い=女子とのエンカウント率上昇を示すからな。

まぁ、でも今日はどちらかというと家族連れが多いみたいだし、なんとかなるんじゃないか、なんて考えていた。


今日の主役は俺じゃないしな。


「じゃ、さっさといこうぜ。」


本日の幹事である俺はワイワイ騒いでるみんなをさっさと誘導しようとした。遊園地きたら、なぜかゲート前で既に盛り上がり出すんだよな。


「あ、まってください!」


小倉は何か思い出したようにカバンからなにやら取り出した。


「一回ここで記念撮影とっときましょう!!

あ、すいませーん。写真とってくれませんか?」



有無をいわせず小倉は近くのガイドさんにカメラを預けていた。



ま、みんなまんざらでもなさそうなんだけどね。



「とりまーす、はい、チーズ!!」



思えば女子と写真とったの久しぶりかもな。学校の集合写真を除いて。




・・・・・・・・・


「…さて、お昼もとったところで」


1時頃、俺は二人の熱い視線(というかさっさとくじ引きしろ的な睨み付け)を察し唐突に例の提案をだした。



「そ、それはナイスな提案だわぁ〜」


「と、とってもいいと思いますぅ〜」


筑紫さんと小倉がものすご〜くわざとらしい返事をしてくる。



小倉には筑紫さんのことを、筑紫さんには小倉のことを内緒でこの計画をやっているわけなんだが、こう二人の事情を知って間にたってる俺ってなんか面白いな。

二人が必死に皆に賛成させようとしてる姿なんかみるとかなり笑える!



まぁ、他の人もそんなにいやそうでもなさそうだし、うまくいくかな?



「ねぇ、それってあんた大丈夫なの?」


すると隣で青木が不安そうな様子で俺に小声で囁いた。


「ん?なにが?」


「いや、万が一あんたと小倉か筑紫さんとなったりしたら、あんた死ぬんじゃないの?」


「ぷっ」


俺は思わず吹いてしまった。いやぁ、こう未来が見えてると青木が心配してくれてる行為自体が笑えるな。青木には悪いけど。



「ちょっと!笑い事じゃないわよ!私は真剣に心配を…」


「あー悪い悪い、残念だけど俺はお前とペア決定だ。絶対に」


「えっ…」


すると青木は口をあけたままとまってしまった。なんか動揺してるみたいだ。


一体、どうしたんだ?



「さぁ佐藤くん!さっさとくじ引きしましょ!」



「あ、わかったわかった、じゃあこの中から好きなの引いて〜」



完全にフリーズした青木をよそに俺は運命の決まったクジをみんなに振る舞うのだった。

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