にじゅーいち
ひらがな数字タイトルってもしかしてわかりにくいですか?Σ( ̄□ ̄;)
「……」
俺は今緊張している。
無理もない、女の子の部屋なんて入るの何年ぶりだ?アレルギーになってからは少なくともないからな。
やばい、カッターシャツズボンに入れるべきかな?スーツかなんか着てくるべきだったかな!?鶴屋で高そうなお菓子とか買ってきたがよかったかな!?
「…なにやってんだよ?早く入れよ」
「あ、あぁすまんすまん」
いかんいかん、緊張しすぎて思考がおかしくなってたぜ。
まぁ緊張することはない、部屋に入るぞ!
俺は国境を越える旅人の如く引き戸の向こうへと足を踏み出した。
…引き戸?
「まぁそこに座ってくれよ、お茶でも持ってくるからさ」
「……」
和室だった。
いや、まぁ紅さんの性格的にピンクな部屋ではないとは思ってたけど…和室かよ!しかも勉強机の代わりにちゃぶ台かよ!俺の緊張かえせよ!
…ま、紅さんらしくていっか。
一人そんなことを考えながら部屋を見渡していた。非常にシンプル、掃除しやすそうな部屋である。うん、よく見たらいいじゃん。
…ただ、部屋の隅に飾ってあるボロボロのサンドバックが気になるけどな。
…ん?あれは?
俺は小さなタンスの上に飾ってある写真たてが目に入った。なんで目に入ったんだろう?部屋に何にもないからだろうけど、俺はまるで引き寄せられるようにそちらに向かった。
…きれいな女の子が映っていた。最近の子みたいに着飾ってる感じもなく、白いワンピースに麦わら帽子が似合っている黒髪の女の子だった。
一体だれなんだろう?
「それはウチのねぇちゃんだ」
「ヴぇ?」
「今はもう家をでて、東京で働いてるけどね
…似てないって思っただろ?」
「い、いぇ!しょんなことはありましぇぬ!」
どうやら俺は嘘が下手らしい。滑舌ひどいぞ。
「まぁ気にすんな、比べられることなんてウチは気にしてないからさ、今はね」
「そうなん?」
「うん、ねぇちゃんはウチの誇りだからさ…」
そのとき俺は紅さんが少し淋しそうな顔をしていることに気付いた。何故かはわからない。だけれども、彼女にそんな顔をしてほしくない、そんなことを俺は思っていた。




