きゅう
「ねぇねぇ、昨日紅さんとお昼たべたんだって?」
「なんで二人で食べたの?」
「…ねぇ、聞いてる?」
…おかしい。
なんかあの事件以降俺に話し掛けてくる一人が増えた気がする。特に女子が。
正直いうと、俺はそんなに友達がいない方だと思う。特に女子なんか青木と小倉、そろから紅さん(仮)くらいである。
それなのに今はどうだ。なんかやたら女子が絡んでくるし、しかも内容は紅さんの話ばっかじゃないか。
まぁ、突っ伏して寝たフリしてごまかしてるんだけど。
…紅さんってそんなに有名人なのか?
なんか俺、そんなにまずいことをしてしまったのだろうか?
う、近すぎる。気分が悪くなってきた。
まぁ休み時間もあと5分。もうすこし耐えしのげば…
「ねぇ、佐藤君って男の子が好きなんだと思ってたんだけど、違うの?」
「違うわ!!!」
やべ、思いっきりつっこんじゃった。勢いで椅子まで倒れてるし。
さっきまで周りにいた女子は俺が突然暴れたのを見て、一歩後退り離れていった。
一人を除いて。
「なぁんだそうなんだ〜、つまんないの」
そういって本当につまらなそうにしている眼鏡をかけた女子。そんなにガッカリするなよ。
ってか、誰だっけ?
「あら?私のこと知らないみたいね、クラス委員やってる筑紫キリよ、6月にもなってクラスメイトの名前覚えてないなんて最低ね」
「すみませ…ぶくしゅん!」
「あらら風邪?大丈夫?」
「だ、大丈夫大丈夫」
思わずくしゃみをしてしまった。この女、話してる間にだんだん顔を近付けてくる。あんまり関わりたくないタイプだ。
「…で、さっきの話の続きなんだけど、佐藤くんはホントにBLじゃないの?」
「ちげぇよ、だいたいなんでそうなるんだよ」
「いや、クラスメイトの観察してたら、佐藤くんは女の子が嫌いそうだったから。」
へぇ、さすがはクラス委員長。よく見てるんだな。
「だからてっきり森野くんとそんな関係かと…」
「なんでだよ!結論がおかしいだろ!」
「ちぇ、リアルなBLが見れると思ったのに」
「身近で期待すんなよ!」
てか委員長まさかの腐女子なのかよ!見た目めちゃ真面目そうだからなんか余計ショックだよ!
「せっかく二人をモデルに小説書こうと思ったのに」
「書くなよ!」
周りにそう見られてるのかかなり不安になってきたよ。あとで青木にでも聞いてみよ。
…てか、俺にここまで突っ込ませたのはお前が初めてだよ。くしゃみすることすら忘れるくらいだったぜ。




