069 雑賀党と太田党 樋口赤心斎
無事、手術も終わり、再開することが出来ました。
これも、見放さずにお待ちいただいた皆様のおかげです。心より感謝いたします。
「やあ、赤心斎殿。精が出ますな」
新吉と水田の雑草取りをしていると、ふいに声をかけられた。馬に揺られて近づいてきたのはこの辺り、社家郷を束ねる太田左近(宗正)殿だ。
「おお、これは左近殿。お世話になっております」
「いやなに。しかし、実にいい育ち振りですなぁ」
左近殿がわしらの田の稲を見て感嘆の声をあげる。それはそうだろう。周辺の田のものと比べても分蘖も多く、一本一本の茎も格段に太いのだ。
「新しい農法を試してみたいと言うので田を貸したはいいが、いきなり苗の大半を引き抜いた時は何事か、と思いましたが──こういうことでしたか」
次郎様からこの農法を聞いた時は、正直わしも半信半疑だった。
やはり、多くの米を収穫しようと思えば、どうしても多くの種籾を撒きたくなる。しかし、あまり稲が密集して生えると風通しも日当たりも悪くなり、一株ごとが細くなってしまう。
そこで、まずは株ごとの間隔を充分にあけてやるべし、というものなのだ。
「──これほど太くたくましいのなら、嵐や野分(台風)にも耐えられそうですな。
これは、ただ間隔をあけて植えるだけでよろしいのですか?」
左近殿は馬から降り、稲の根元にじっと目を凝らした。
「いや、草取りの回数を倍以上に増やした方が良いらしいですぞ」
「倍以上? それは年寄りなどにはちとキツいのでは?」
「いや、何なら子供らを田で遊ばせるだけでもいいらしい。実は、まめに人が田に踏み入り、よく土をかき混ぜることこそが肝要らしくてな」
「ほう、そんなことでこれほどに──?
いや、この農法といい、お連れの商人殿が売り歩いている農機具といい、さすがに近江は色々と進んでおりますな。
そんなところから、わざわざ辺鄙な紀州へ来られるとは──赤心斎殿も物好きなもので」
わしは特に身元をはばかる必要もないので、普通に素性を明かしてある。
堀家の家老職を引退し、過ごしやすい隠居場所を求めて南に流れてきたということにしているのだが──まあ、左近殿も額面どおり受け取るほど間抜けでもなかろう。
「いや、この歳になると近江の冬の寒さがこたえましてな。前から隠居したら南に住もうとは思っておったのです」
「──まあ、あのようなあばら家で申し訳ないが、この農法で収穫が増えるようなら、もう少しいい屋敷も用意しましょう。では、また」
紀州雑賀(現・和歌山市周辺)。
紀ノ川下流域に広がるこのあたり一帯は、雑賀鉄砲衆の本拠として知られている。
何でも、種子島に鉄砲が伝来した翌年には、もう北東の根来寺で鉄砲製造が始められ、それが雑賀一帯に広まったそうだ。
各大名が鉄砲の有用性に気づき始めた頃にはすでに、根来衆と並ぶ鉄砲集団として一大勢力となり、戦のたびに各勢力にその腕前を売ってきた。
織田の味方についたこともあるが、一向門徒が多いことから、最近は反織田・親本願寺と目されている。
『雑賀衆を味方につけたものが勝つ』などという世評もあるが、実際にこうして間近で見てみると、どうもその内情は一枚岩というわけでもないようなのだ。
「赤心斎殿、やはりあの噂は本当のようです。小一郎様の読みが当たりましたね」
野良仕事を終え、夕餉の支度をしていると、ふらりと巷の噂を拾いにいっていた新吉が戻ってきた。
「雑賀荘と十ヶ郷がこの社家郷を攻める用意を進めています。本願寺の坊官が督戦に来たそうですが、何しろ兵糧が不足しているようでして。
兵を出さんのならせめて米を出せ、などと脅すのではないかと」
「まあ、今年は誰かさんのせいで、どこも米不足じゃからなぁ」
「何をのん気な……。急ぎ、南紀に行っている小一郎様にも知らせなくては──」
「まあ、焦るな。大戦を控えとるんだ、そこまでひどいことにはなるまい。せいぜい、派手なケンカくらいで終わるじゃろ」
雑賀は一荘四郷で構成されているのだが、内陸部と沿岸部で大きく気質が異なり、しかもその仲はあまりよろしくないらしい。
内陸部の中郷・社家郷・南郷の方は農耕が盛んなのだが、沿岸部の十ヶ郷・雑賀荘は耕作に不向きな土地も多く、漁労や海運──そして海賊稼業やいくさ働きを主な生業としている。
特に隣接する雑賀荘と社家郷は折り合いが悪く、昔から耕作地を奪い合って何度も抗争が繰り返されてきたそうだ。
また、沿岸部では一向門徒が多く、内陸側は根来寺との関係も深いことから真義真言宗の門徒が多い。
そういったこともあって、来たる織田と本願寺の争いでは内陸三郷が根来の鉄砲衆とともに織田方へ、沿岸部側が本願寺方へ合力するのではないかと言われている。
そう聞くと織田の味方が多いようにも思えるのだが、問題は雑賀きっての戦上手といわれる鈴木孫一と、船の運用に長けた雑賀水軍が本願寺方だということなのだ。
『紀州に行こうと思う。雑賀の鈴木孫一と水軍を味方につけたいと思うちょるんじゃ』
小一郎殿が南へ行く目的を打ち明けてきたのは、小谷を出立して二日ほどたってのことだ。
たまたま新吉と楓があたりの様子を探りにいった時なのだが──ははぁ、あの二人に聞かせたくないということは、何か未来にかかわる話なのだな。
「鈴木孫一か。しかし、雑賀衆の大半と根来衆は織田方につきそうなのだろう? そこまでする必要があるのか?」
孫一本人は一向門徒ではないが、その配下の者たちには門徒が多い。仮に孫一を説得できたところで水軍丸ごと味方に、とはいくまい。
そこまでして味方につけなくてもいいのではないか?
「実はな、この先、雑賀衆で本当に厄介なのは水軍なんじゃ。
いずれ起こる本願寺攻めで、お館様は大軍で包囲しての兵糧攻めを選択する。だが、九鬼水軍が海上を封鎖しようとしたところを妨害するのが雑賀水軍でな。
おかげで海からの兵糧の運び込みを防ぎきれず、いくさが長期化してしもうての」
「なるほど。それを事前に防ぎたい、ということか」
「ああ。味方に出来れば最善、中立を保たせられればまずまず、といったところか。まずは雑賀の実情をこの目で見てみたい」
そこで我ら一行は、まず堺に立ち寄ることにした。
これから紀伊方面に農機具の絵図面を売ろうとしていた商人と会い、小一郎殿が代わりに商売をしてくると話をつけ、この社家郷に入ったのだ。
小一郎殿は商人の『小太郎』と名乗り、しばらくは雑賀全域で絵図面を売り歩くかたわら、鉄砲衆の調練を遠巻きに眺めてたりしていたのだが──。
「赤心斎殿、どうやら武田が動きそうじゃ」
そんなある日、カラスの『黒』が、近江の治部左衛門殿からの知らせを運んできた。
「いよいよか。となると、本願寺もそれに乗じて蜂起するか……」
「たぶん、な。いずれ、雑賀衆に本願寺から援軍要請が来る。出兵の是非を巡って意見も割れるじゃろうし、兵糧の奪い合いになるかもしれん。
わしがつけ入る隙があるとすれば、そこじゃな」
「そうか。で、小一郎殿、どう動く?」
「今のうちに、南紀方面に行ってこようかと思う。先に、御坊の湯川氏、熊野の堀内氏あたりを口説けないかと思うてな」
「ほう?」
これは少し意外な発想だ。雑賀水軍ではなく、まずは周辺から固めようという肚か。
確かにそこら辺りが織田方につけば、雑賀水軍を孤立させることも出来ようが、少し遠回りなような気もするのだが……。
「しかし、湯川氏はもともと幕府奉公衆だったはずだ。公方様を追い落とした織田にそう簡単になびくものかな?」
「まあ、勝算はないでもない。
南紀は海のすぐそばまで山が迫っていて、田畑を作る土地もほとんどなく、慢性的に貧しくてな。
しかし、逆にそういう土地に適した作物があるという知識は、大きな価値があるとは思わんか? 実際、南紀は徳川の時代にはその作物の一大生産地になるしの。
その辺りの知恵や農機具、出来た作物を織田の販路で広く売ってやるという『利』で説けば、あんがい乗ってくるかとも思うてな」
「何じゃ、その作物とは?」
「ミカンと梅じゃ。南向けの斜面は陽当たりもいいし、水はけもいい。まさにその二種類の木にうってつけなんじゃが、どうやらこの時代にはまだ大規模な生産が始まっとらんようなんでな」
ううむ、確かに。邪魔としか思っていなかった傾斜地で商品価値の高い作物が作られるとわかれば、南紀の人にとって大いに救いとなるとは思うのだが──どうも少し引っかかる。
「その辺りの策は、いかにも小一郎殿らしいとは思う。それをやれば、確かに雑賀水軍は織田方につくか、中立を保たざるを得んことにもなろう。
だが、何というか──雑賀水軍のことが二の次になったようにも聞こえるのだがな」
「ああ、わかりますか」
小一郎殿が、溜め息まじりに応える。
「わしゃ正直いって、孫一たちは敵対しなきゃそれでいいかとも思い始めとる。何というか──鉄砲衆の腕前がいささか期待外れでな。
早撃ちの技は確かにすごい。ありゃ、ちょっとやそっとじゃ真似できん。だが、射撃精度は──織田筒を持った三介様や与右衛門の方がはるかに上じゃな」
「そんなものなのか⁉ 色々すごいという噂は聞くぞ。飛んでいる鶴の首を撃ったとか、夜に蛍を撃ち落とすことが出来るとか──」
「ああ、あれな──それ、たぶん全部『ハッタリ』だぞ?」
「はぁっ⁉」
「織田筒のような旋状溝のない鉄砲では、どうしても弾道が安定せん。どれほど修練を積もうが、そこまでの精密射撃は不可能なんじゃ。
連中が織田筒を使えば、あるいは可能かもしれんがな」
「だったら、何であんな噂が──」
「たぶん、意図的に流したんじゃろ。雑賀の鉄砲衆はそれほどに手強い、恐ろしいと思わせるためにな。
調べてみたら、その辺の噂は、三好攻めで雑賀が織田方についていた頃から流れ始めたらしい。
いずれ織田と敵対することを見越して、雑賀の怖さを前もって広めておく──そういうことを思いつくあたりは、孫一も大した策士じゃと思うが。
まあ、あとは孫一本人の『器』を直に見て判断、ってとこかの」
小一郎殿は楓を伴って南紀方面へと向かった。──新吉は相当に面白くなさそうだったが、連絡用のカラスをうまく扱えるのが楓だけなので、仕方あるまい。
「それにな、新吉。小一郎殿はあくまでも駒殿一筋じゃが、わしゃ女に節操などないぞ。わしと楓だけが残るとしたら──手を出さん自信がないのう」
「うぐっ……」
わしは左近殿との関係も保っておかねばならんので、雑賀を離れるわけにはいかん。情勢を見極めるためにも忍びの情報収集は必要だ。
また、小一郎殿を一人で行かせるというわけにもいかん。どうしても忍びの二人はそれぞれについてもらう必要がある。
新吉。気持ちはわかるが、あきらめろ。
やがて、小一郎殿がいない間にも雑賀荘・社家郷の緊張は徐々に高まり、いよいよ一両日中にも事が起こるかというある日──左近殿から思いがけない依頼が舞い込んできた。
「──何? わしが立ち合いを?」
「左様。武力でぶつかる前に一度談判の場を設けることになったのですが、ここはどちらにも関わりのない赤心斎殿に、中立の立場から立ち会ってもらいたいと思いましてな」
なるほど、そう来たか。
左近殿には、わしらが織田方で、雑賀の様子を探りに来たことなど先刻お見通しなのだろう。まあ、小一郎殿の素性を詮索されないために、あえてわしが肚に一物かかえているように振舞ってはいたのだがな。
それをわかった上で、『中立として』立ち会え、という。自分たちが本願寺方についてもいいのか、それが嫌ならこちらに有利な条件で場を収めよ、ということだろう。
人の良さそうな顔をしてなかなか喰えんのう、このタヌキ親父めが。
だが、断るという選択肢はなかろう。向こうは孫一と、本願寺の坊官の下間なにがしとやらも同席するということらしい。人となりを観察するにはいい機会だ。
──出来れば、こんな面倒な役目は小一郎殿に代わってほしいところなんだがな。
談判の場は、左近殿の太田城から西の屋外に設けられていた。
だまし討ちなど出来ぬよう、吹きさらしの野原にいくつかの床几だけが置かれている。おかげで、双方の軍勢の刺すような視線が集まってきて、居心地の悪いことこの上ない。
雑賀の側から歩み寄ってきたのは、僧形の大柄な男と、派手な陣羽織をまとった堂々たる偉丈夫だった。なるほど、これが孫一殿か。
──雑賀一の武辺者、鈴木孫一重秀。その一族の出自は熊野といわれ、かつて神武帝の道案内をしたという『八咫烏』の神孫を自認し、陣羽織の背中にも三本足のカラスの意匠が大きく黒々と描かれている。──実に傾いとるなぁ。
しかし、その派手ないでたちとは裏腹に、その顔つきは明らかに白け切っておる。どう見てもこの戦に乗り気ではない。
それはそうだろう。熱心な門徒どもなら本願寺を手助けすること自体に意味もあろうが、雑賀党を束ねる頭目としては、この戦に何の利点も見出せないのだろう。
勝ったところで土地が貰えるわけでもなく、いたずらに自分たちの戦力をすり減らすだけなのだからな。
一方、本願寺から来た坊官の下間頼廉殿は意気軒高だ。左近殿と顔を合わせ、立会人のわしの紹介が終わるや否や、口角泡を飛ばして『仏敵・信長を討つべし!』と居丈高にまくしたてる。
今は僧侶の格好だが、いくさとなるとこの法衣の上に甲冑を着けて、大将として門徒どもに激を飛ばすらしい。もっとも、自身が先頭に立つわけでもないのだが。
「太田殿、仏敵・信長は叡山を滅ぼし、また長島の門徒どもを根絶やしにしようとしておる! このままにしてよいはずがない!
武田が立つ今こそ好機! 武田と本願寺の双方で挟めば、織田など恐るるに足らん! ともに手を携え──」
「いや、そう言われましても、我らは本願寺の門徒ではありませんのでな。それに、織田は真言宗とは良好な関係を保っておる。
そちらに手を貸す理由がありませんなぁ」
ひょうひょうと受け流す左近殿は、やはりタヌキじゃな。
「何を言われる! 叡山や本願寺を滅ぼした後、真言宗だけが無事だという保証などない!
それに、同じ雑賀の住人が戦おうというのだ。参陣は出来ずとも、兵糧を出すなど手助けをするのが人の道ではないか!」
「いや、だからこそです。ここでうかつに手など貸しては、真言宗弾圧の口実にされかねません。
我らの中の一向門徒が個人として参陣するのまでは止めませんが、太田党としては協力いたしかねますな」
「な、何だと! あくまで協力は出来んと申されるか! ならば、止むを得ん! 力づくで──」
下間殿がその言葉を発する前に、左近殿がちらりとこちらに目をやる。ここで、折衷案でも出せということか? ──やれやれ。
「まあまあ、刑部卿(下間頼廉)殿も左近殿も少し落ち着きなされ。
ここは、間を取る、という形は考えられんものですかな?
兵糧を提供したとなると、あとで織田の問責もあり得ようが──普通の商いとして米を売る、または貸し付けるという形ならいかがですかな?」
「貸し付けはごめんですな。焦げ付かれても困る。
売る、ということなら考えなくもないですが」
「──そんな金なぞないぞ」
ここで、それまでむっつりと黙りこくっていた孫一殿が初めて口を開いた。
「刑部殿。本願寺がその分の金を出してくれるのか?」
「え? いや、それは──拙僧の一存では決められんが……」
なるほど、孫一殿が待っていたのはこれか。自分たちを動かしたいなら本願寺ももっと金を出せ、と。
これを拒むなら、それを口実に出兵を渋ることもできるか。こいつもタヌキじゃなぁ。
「い、いや、孫一殿。そんなことより、力づくで奪い取れば話が早いではないか──」
「おいおい、向こうが売ってくれるというものを、金も払わず奪えとか──それじゃまるで野盗じゃねぇか。それこそ人の道に外れるってもんじゃないかね、刑部殿?」
「くっ──」
下間殿が悔しそうに顔を歪める。やはり、孫一殿には自分たちを安売りする気はないと見える。
しかし、遠巻きにこちらを見ている雑賀党の連中は血気盛んで、『さっさとやってしまえ!』といわんばかりに旗を振り、槍や鉄砲を振りかざして気勢を上げているのだが──孫一殿に抑えられるのか、あれが。
──その時。その雑賀党の群れが戸惑うようにざわめいた。
人の群れをかき分けるように、前列に出て来たのは──小一郎殿だ。
「あー、ちょっとすまんの、通してくれんか。大事な用があるんじゃ」
「何ぃ? ──えっ⁉」
邪魔くさそうに小一郎殿に目を向けた者たちが、一様にぎょっとしたように黙り込む。小一郎殿の肩には、孫一殿の象徴ともいえる巨大なカラスがとまっているのだからな。
「すまんの、いくさの帰趨を判断するための、大事な情報があるんじゃ。
──おおい、赤心斎殿、左近殿ぉ! 色々と情報を集めてきた、そっちに行っても構わんかぁ⁉」
「──何だ、あれは。あいつは誰だ?」
孫一殿も下間殿も訝し気にそちらを見ている。
「ああ、あれはわしの懇意にしとる小太郎という商人です。なかなかの早耳でしてな、あの者の集める情報は頼りになるのです。
同席させてもよろしいかな?」
面識のある左近殿はもちろんすぐに頷き、孫一、下間殿も反対する理由もないので同意する。
「小太郎殿、来ても良いぞ!」
「わかった! ──なあ、おんしらも来んか? 自分たちが参加するいくさに関する話じゃ、聞いといた方が良くないか? ──ただし、手出しは駄目じゃぞ?」
驚いたことに、小一郎殿は雑賀党の連中に平然と誘いの声をかけ始めた。
そののんびりとした口調に、先ほどまで殺気立っていた連中が気勢をそがれたように、のそのそと談判の席に動き始める。
「おおい、太田党の者も話に加わらんか! 皆でわしの話を聞いてくれ! 雑賀の行く末に関する話じゃ、人任せにしてしもうてもええんか⁉」
おいおい、太田党まで集めて、ここで一気に話をつける気か? 何というか、大胆不敵じゃのう。
まあ、しかし、これで役者も揃い、舞台も整ったというわけか。
わしも小一郎殿の『叡山問答』での弁舌は噂でしか聞いておらんからな。ここはひとつ、高みの見物と行かせてもらおうじゃないか。
まず、内政に詳しい方からツッコミが入る前に言い訳しておきますと──。
今回の冒頭で出てきた農法は、明治期に普及した『正条植え』ではありません。
江戸時代の農業書にもよく見られる『多数回中耕除草』という手法で、幕末期の人が知っていてもおかしくないものです。
『正条植え』はむしろその発展形とも言えるでしょうか。
さて、一か月もの休載はさすがに悩みました。予約投稿という手もなくはなかったのですが、何しろ『やらかし癖』があるものでw
休載前に、ちょっとはしたないおねだりなんぞもしてしまいましたが、これを機にブクマつけてくれた方も多く、また、この機に評価をしていただいた方も十数人いて、本当に心強かったです。
弱っている時には、人の情けが本当に身に染みますね。
とりあえずは再開しましたが、まだ体調が万全とはいかないので、一週お休みとかもあるかもしれません。
無理のない範囲で頑張ろうと思いますので、今後もお付き合いいただきますようお願いいたします。




