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【完結】変身時間のディフェンスフォース 〜ヒーローの変身途中が『隙だらけ』なので死ぬ気で護るしかないし、実は最強の俺が何故か裏方に!?〜  作者: 半袖高太郎
第1部 6章 〜ギャンブリングワールド〜

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Climax!!!

「だが、全員が気ままに展開を発動すれば軌道が逸れる。この場に凄腕のオペレーターでもいない限りは……」


「なら私がやるしかないわね!」


「蘭華ちゃん!?」


「いいのか、お前までバイザー外しちまって……」


 おそらく黒斗が頭を抱えているだろうが、もはや、そうも言っていられない。


蘭華の本職は狙撃手ではなく偵察。敵の分析やヒーローの先頭を補助するのが本職だ。


「構いやしないわよ! わ、私は今までず〜っと飛彩とコンビで戦ってきたの! 付き合いは私の方が長いんだから! だから飛彩の窮地には駆けつけて当然!」


 縄張りを荒らされた猫のようにフシャーとホリィを威嚇する蘭華。


同じような強化スーツを着ている時点で、もはや見え見えの嘘だったが熱太たちは何も疑わない。


「ヒーローになるためにそういう活動をしていたのか!」


「さすが飛彩くんと蘭華ちゃん……!」


「君たちはもう一度、学力検査を受けた方がいいんじゃないか……?」


「もう話してる余裕はねぇ。腹くくるしかねーぞ」


重傷の状態で変身することも危険だが、自身を弾丸として空を駆けていく飛彩とホリィもまた覚悟を決めなければならない。


「蘭華、計算結果は出たか?」


「うん、展開時の出力を、これの通りに調整してもらう!」


全員に見せた小型モニターの数字は複雑で刑やエレナを除いて頭がパンク寸前だった。


「——要は気合いだな!」


「てゆーか、展開に出力とかあるんすか?」


 気の抜けた翔香の言葉で、作戦の失敗を予感する。


ため息をつきながら刑が自分に合わせるようにと参謀的な働きを買って出た。


「自殺願望者に付き合う気はない……みんな、慎重に頼むよ」


「よぉ〜し! 準備はいいかお前らぁー!」


「全く、重傷なんだから少しは落ち着きなさいよ……」


 指示された通りの陣形で陣形に並んだ瞬間、飛彩はホリィを急にお姫様抱っこした。


モニターを放りそうになった蘭華は声にならない声を上げつつも、人類を天秤にかけておし黙る。


「ホリィ、お前立つだけでもやっとだろ?」


「それは……」


いつの間にか呼び捨てにされていることも気づけぬまま、飛彩の剣幕に圧倒された。


「お前の能力で、あの賭けのところまでたどり着く未来を確定させる必要がある」


「は、はい……」


「飛彩はそういうキャラじゃないでしょー! それ後で私にもやってよねぇ!」


とうとう気持ちが爆発した蘭華。そのせいでホリィは顔を赤らめる。


飛彩はよくわかっていないようだったが。


「モテモテだね、飛彩くん」


「んだよ」


「——まだ君にぶっ飛ばされてないんだ。必ず戻ってきてくれ」


「はっ、当たり前だろ。歯を食いしばって待ってろ」


 吹っ切れた刑は、自分を変えた飛彩に礼を告げる。


戦友の激励は飛彩の意志を強めた。


「飛彩」


打って変わって優しい声音で呼びかける熱太に、鳥肌がたちかける飛彩。


苦笑いしながらも、いつもの調子ですぐに悪態を吐いた。


「今生の別れの挨拶みてぇな空気を出すんじゃねぇ」


「……俺たちの約束を遂げる日か来たな」


その一言はヒーローを志したもう一つの理由、過去の記憶を強く想起させた。


「これが最後なんて俺はゴメンだ……必ず帰ってこい。これからも一緒に戦うためにな! では、頼んだぞ! 飛彩!」


「あぁ、今度は俺の活躍を眺めてろよ、熱太!」


その瞬間、飛彩とホリィを中心として展開が発生する。


上空に降り注ごうとする巨大なコインを睨み、飛彩は不敵に笑った。


ヒーローよりも目立ち、ヴィランを自らの手で討つ。


ということに焦がれた飛彩はもういない。大切な人たちを自分の手で守ることが出来る自信こそ飛彩が何よりも求めていたものだったのかもしれない。






「さぁ……主題歌流すなら今からだぜ?」






「「「「世界展開リアライズ!」」」」


急激な勢いで空へと伸びる光の柱。その上にホリィが展開をはり、一気に急上昇していく。

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