表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】変身時間のディフェンスフォース 〜ヒーローの変身途中が『隙だらけ』なので死ぬ気で護るしかないし、実は最強の俺が何故か裏方に!?〜  作者: 半袖高太郎
第1部 6章 〜ギャンブリングワールド〜

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

63/419

異質な賭け

感じた希望も耳に届いた低い声と共に霧散する。


「良い腕だな、小娘」


装備していたハンドガンを飛彩並みの反射神経で抜き、振り返りながら乱射する。


「ふっ!」


「反応速度も度胸も申し分ない」


 銃口を握られた後は何も出来ずに吹き飛ばされた。


目にも留まらぬ速さの拳が蘭華の腹部にめり込んだのである。


「がふっ!?」


「賭けが成功してよかった。私はあの爆風を避けられるか、否か、というね」


地面で悶え苦しむ蘭華の元へ悠然とギャブランは歩き出す。


「ぐっ、ぐうぅぅぅぅぅぅぅぅ〜!?」


 呼吸のたびにきしむ肋骨が、折れたこと身体に訴えかけている。

いつも飛彩はこんな痛みの中を戦っていたのか、と理解した。


「さて、あの光の柱が立ってから、そろそろ二分くらいか? 時間もなかろう」


現れたのはルーレット。カラカラと音を立てたボールが転がり落ちた数字は百。


「今回の賭けは、私の部下が再び立ち上がるのは何人だ、という賭けでね」


痛みに苦しみながらもその数字の意味することに蘭華は戦慄した。


「ルーレットってそういう遊びじゃないわよ……」


「ははっ。ルールは勝者が決められるものさ」


この場所で死んだはずのヴィランが次々と立ち上がり、蘭華や光の柱へと群がっていく。


身体の一部が吹き飛んだ者も、物言わぬ兵士となって拳を振るった。


その範囲は、展開が広がっている第三誘導区域周辺全てのようで、攻勢になっていたヒーロー達も動揺してしまう。


「何なの、その能力!? 攻撃を吹っ飛ばしたり、部下を生き返らせたり!」


「簡単だ。これは賭けだよ」


暗黒の炎に包まれた数々の賭博道具。ギャブランは周りを悠々と動くそれで手遊びする。


「賭けに成功すれば最高のリターン! 失敗すれば、最悪のリスク! それが賭けだろう?」


「何よそれ……あんたが考えた賭けなら何でも成立するっていうの?」


物言わぬ軍勢に取り囲まれながらも吠え続ける蘭華。


痛みや焦り、そして現実離れした能力を目の当たりにして完全に動揺していた。


「ああ、そういうことになる……そして、私はその『賭け』で負けたことがない」


 願ったことが叶う、と言っても過言ではない能力に、蘭華は絶望した。


仮にここで自爆できたとしても、賭けにより避けられる可能性が充分すぎるほどにあったのだ。


「ふざけないで……勝てるわけないじゃない」


バイザーの中に溜まっていく涙。そこから蘭華は一方敵に雑兵たちに痛ぶられていく。


「くっ!? がはぁっ!?」


「これこれ、弱者に構っている暇はない。あの光の柱をさっさと壊すのだ」


 その一声で辺りにいたヴィランたちは光の柱へと向かっていく。


ボロボロになった蘭華は安堵してしまった。これでもう痛い思いをせずに済む、と。


「リスクは死兵にでも負わせれば良い。私はこの世の終わりを見物する」


 その場で左腕を振り上げるギャブラン。


結局、逃れられない死の運命に蘭華の涙は止まった。


もはやどうしようもないことだ、と達観してしまうほどの絶望だったといえよう。


「あぁー……あと少しだったのになぁ」


捻り出された諦観の息ではギャブランの拳は止められなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ