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【完結】変身時間のディフェンスフォース 〜ヒーローの変身途中が『隙だらけ』なので死ぬ気で護るしかないし、実は最強の俺が何故か裏方に!?〜  作者: 半袖高太郎
第1部 6章 〜ギャンブリングワールド〜

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繋ぎたいその手

 ギャプランの再出現と同時に、護利隊、ヒーロー本部の測定計器が狂ったように振り切れた。


「そんな……ありえん!」


冷静な黒斗が、士気を下げてしまうことも気にせず叫んでしまうほどの相手。


蘭華たちのインカムに絶望を告げる言葉が発せられた。


「カタストロフ級!?」


希望は簡単に潰えるものはない。


カタストロフ級とは、体躯に関わらず、世界に与える影響によって判定される。


まさしく厄災を告げるもの、というわけだ。


「ありえない! ランクEの次はカタストロフ級だと!?」


「そ、そんなの嘘だ! ……皆! て、敵の動きが止まってる! チャンスだ!」


「待って!」


 大多数が、ギャブランの元に集まってきたヴィランズに向かって一斉射撃を始める。


ヴィランを屠った炸裂弾だけでなく、大型バズーカによる爆撃も重ねて。


「世界展開を突き抜ける銃弾、興味深い! 是非とも賭けをしよう!」


宙から落ちてきた人の背丈ほどあるコインが、回転しながら落ちてきた。


「これらの弾が全て跳ね返る! 表が出れば賭けは成功だ!」


ありえない宣言に、護利隊の面々はさらに弾丸を注ぎ込んだ。


そして、地面へと落ちてきたコインは表を空へと向けている。


「私の勝ちだ!」


あと少しでギャブランたちを爆殺しようとしていた銃弾は、飛んできた軌道をなぞり、跳ね返っていった。


「う、うわァァァァァ!?」


 校舎の大半が爆風で消える。

兵士の面々は間違いなく跡形も無くなっているだろう。


世界展開下であるにも関わらず、迂闊に攻撃した自分たちが愚かだと蘭華は理解していたが、敵の能力の強大さに、唖然とするしかなかった。


「嘘でしょ……」


カタストロフ級の力をまざまざと見せつけられた蘭華は瓦礫の片隅で隠れるしか出来なかった。


味方の蹂躙される声を聴きながら、ただただ自分の英雄が駆けつけて来るのを待つしか出来なかった。


 レスキューブルー、イエロー、ホーリーフォーチュンの変身終了まであと三分。どうやって保たせようかなどと考えられる人物は、誰一人として残っていなかった。

 



 ギャブランを追う途中で、護利隊の武器庫に侵入した飛彩は個人領域パーソナルスペースや特殊弾を次々と装着していく。


それに誰よりも早く気づいたのはメイだった。気づかれることを承知で堂々と中に入り飛彩へと歩み寄った。


「飛彩……」


「メイさん、さっきは悪かった」


一切そちらを見ることなく吐き出された言葉は、建前だと嫌でも理解させられた。


自分の吐いた言葉が、どう飛彩の心を揺らしたのかが分からない故に、メイはさらに俯いた。


間違ったことを言ってしまった、という罪悪感だけだメイに寄り添っている。


「今は非常事態で生放送もしてない。飛彩が割り込んでもメリットなんかないわ」


「——俺がやりたいことはヒーローになることじゃなかった……」


 一瞬の動揺と瞬きの間にメイの眼前に飛彩が迫る。

バイザーのせいで表情の真意が汲み取れず、メイは困惑した。


「じゃあ、何?」


「……復讐さ」


横を通り過ぎて去っていく飛彩に、メイは何も言えなかった。


どんな悪の道に進もうと生きてくれるなら応援しよう、と考えていた。


自らを縛る罪悪感を振り切り、飛彩の手を掴む。


「死に進む道は応援できない」


「かまわねぇよ。どうせこれで最後だ」


 力を借りるのはこれで最後、それは飛彩自身への戒めも込められた制約なのかもしれない。


すり抜けた手を繋ぎ直すために、メイはすぐさま飛彩の後を追った。

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