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【完結】変身時間のディフェンスフォース 〜ヒーローの変身途中が『隙だらけ』なので死ぬ気で護るしかないし、実は最強の俺が何故か裏方に!?〜  作者: 半袖高太郎
第1部 4章 〜プロミス・タッグバトル〜

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Hide out

「はぁ〜、ヒーローに喧嘩売ったり、区域外にヴィラン出たり、最悪ね」


駆けつけた熱太ですら気が抜けて、撤退の準備を始めている。


「これにて一件落着! 飛彩ー! 無事かー! 今助けに行くぞー!」


「……っ! 油断してんじゃねぇ!」


 咆哮の意味を蘭華はすぐに知る。敵の世界展開は未だに解けていない。


飛彩は熱太へと駆け出すが、すでに遅く。誰にも見えていなかった鎧が、武器ごと熱太の顔を殴りつけた。


銃を肩で担いでいた熱太は爆煙を上げながら中庭まで吹き飛んで行く。


「熱太ァ!」


「ふ〜! 久しぶりにこの格好になっちゃったっ!」


靄のように漂っていたヴィランはそこにはいない。今までかろうじて人型にとどめていた靄が装甲を纏い、黒き禍々しい戦士として降り立っている。


重そうな甲冑にも関わらず、凄まじい速さを持っているのはランクEの所以かもしれない。


「はぁー、自分の身体に戻ると、靄の扱いが制限されるけど仕方なかったよねぇ〜!」


そのままくるりと振り返り、赤いラインの入った兜越しに屋根にいた飛彩と蘭華を睨む。


「せっかくだから自己紹介といきましょう。私の名前はハイドアウター」


「どういうこと? アイツは吸い込まれたはずじゃ……?」


「やっと分かってきたぜ、アイツの能力が」


 舌があったら確実に舐めずりをしていであろうハイドアウターは久しぶりの実体を楽しんでいるようだった。


「んっふ。私の靄の怖さに気づいたのね」


「アイツの展開下にいると、認識力が下がる。直接隠すより厄介な能力だぜ、あれは」


 あらぬ方向を攻撃した時も、熱太の銃で攻撃した時も、いたと思っていた場所を攻撃したに過ぎないのだ。靄のように消えて、現れるを繰り返すハイドアウターのトリッキーな能力に飛彩は唾を吐く。


個人領域では対処しきれない、と。


「さぁて、私を侮辱したガキをめちゃくちゃにしないとっ!」


戦慄。兜の奥に光る眼光のようなものだけで蘭華は動けなくなった。もはや救援も見込めず、仮に到着しても、そこから変身時間分を守る兵力がない。


戦う選択肢が絶望的でも、そのカードを引くしか生き残る道はないのだ。


「そうこなくっちゃな。ランクEにしちゃあ弱いって思ったんだよ」


「あっちの方が何かと都合が良いのよ〜?」


直後、飛彩は地面に叩きつけられた。見えないほどの速さ、さらに攻撃の重さが遅れてやってくる。まとまらない思考は痛みに集中し、何倍も痛みの体感に襲われた。


「ぐっ……ぐあぁぁぁぁぁ!?」


「はー、良い声。私の前ではその声以外で鳴かないで」


 そのまま顔面を踏まれ、さらに地面へと減りこまされる。バイザーにヒビが入り始め、送られてくる視覚的情報にノイズが入り出した。


「飛彩から離れなさい!」


貫通力が最大の狙撃銃を近距離から乱射する。しかし、カイザー級、レギオンの肉すら抉った弾は甲高い音と共にハイドアウターの鎧を滑り抜けて行った。


「あらぁ〜、健気ねぇ」


「蘭華に……」


踏まれてながら飛彩は、小太刀を引き抜きいて、鎧の脚部めがけて突き刺す。しかし硬い鎧を滑るだけでダメージを与えることが出来ない。


「残念だったわねぇ」


「蘭華に……手ぇ、出すんじゃねぇ!」


足が少しだけ浮き上がる。それには少しばかり驚いたハイドアウターは再度足の力を込めて飛彩を踏み潰す。


「良いわねぇー。私、そういうの好きよ」


兜が揺れる形でケラケラと笑うヴィラン。よほどおかしいのか腹を抱えて笑っている。


「そういうのが壊れる瞬間が最高に好き」


足に力がこもろうとした瞬間。周りの温度が跳ね上がる。


「お前、誰と話している?」


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