シンデレラの運命は? 2
今日は、テストの結果発表の日。
講堂に順位表が張り出され、その結果によって、学校階級が決まる。
「うっ、気分悪いわ・・・もう、私、駄目かもしれない・・・今、またもう一問、間違えた問題思い出したわ・・・」
「し、しっかりして!!穂花ーーー!」
まるでコントのようなやり取りをした後、青ざめた穂花を保健室に送り届けてきた。
学校からいなくなることが決まっている私とは違って、穂花はここで三年間過ごす。
だから、やっぱり私なんかとは覚悟が違うんだろうな。
今日1日、気が気じゃないだろうし、それはクラスメイトも同じみたい。
朝から穂花みたいに、気分が悪くなって倒れる子が続出している。
おかげで、保健委員は、尋常じゃない忙しさだ。
去り際に、真木さんから雑用を言いつけられた私は、授業に必要な道具を先生に持って行く為、準備室のドアにてを伸ばす。
ーーーあれ?
なんでだろう。誰もいないはずなのに、
人がいる気配がする。
気のせい?
そっと、少し空いている隙間から、中を覗き込んだ。
制服姿の男と、女がいた。
え?
ありえない光景に、思考が止まった。
え・・・
ここ、学校・・・・だよ・・・ね?
思わず、左右を確認。
廊下には、誰もいない。運良く私一人だけだった。
「・・・・・・!?」
思わず、その二人を見た。
ふたりは、私には気付かずにーーーキスしている。
しかも、ただのキスじゃない・・・。
合わせた唇と唇。男の腕は女の腰にまわり、女の人は甘えるように男の髪に手を差し入れる。ふたりは、角度を変え、また体勢を変え・・・・と。
あまりにも濃厚過ぎるキスシーン。音まで聞こえてきそうだ。
ふっ、ふええええええ!?
うわっ、うわっ。うわわっ。
これ、見ちゃいけないやつだ。
え、え?
なんで私、こんなところに居合わせてるの!?
がさごそっ、と。
布ずれの音がする。な、何をしてるんだろ。気になるーーけど、見ちゃダメ!
会話が聞こえる。二人は何事かを話していて。
ーーー会話は今終わったようだ。足音が近づいてくる。
に、逃げなきゃ。
大理石の床は、滑りやすい。腰が抜けて・・・立てない?
ーーー情けない事言うなっ。
何度か床を滑りつつ、なんとか物陰に隠れる。
その瞬間に、ドアが開き、女が出てきた。
まさに、間一髪。
彼女は私には気付かず、去っていった。
去り際に、甘い香水の匂いがした。
「・・・・・」
・・・・怖。
男の方は、まだ教室の中らしい。
・・・・・・・見なかったことにしよう。




