シンデレラの運命は?
「あ、茅野・・・さん」
「茅野でいいって言ってるでしょ」
今日も今日とて・・・と言っていいのか。
薔薇園の前に立つ茅野さんを見つけた。
というか、茅野さんを薔薇園の前以外ではあまり見かけない。
薔薇園以外でも見かける事はあるのだが、なんだか声を掛けづらい。
「今日も図書館?」
「はい」
運命の中間テストは、明後日に迫っているのだ。私は参考書を何冊も抱えていた。
範囲広すぎ、参考書重すぎ………でも、頑張らないと。
そんな私を見て、茅野さんは眉をひそめた。
「君は人に教えてばっかりみたいだけど、自分の勉強はしてるの?」
「え?」
痛いところをつかれた。
「図書館で君が勉強しているところを見るけど、君自身が勉強しているところを僕は見たことがない」
「え・・・・と。」
茅野さんの目が、私をまっすぐに見つめていた。
「・・・・・」
結局、何も言えずに固まる。
"革命"を起こしたら、私は学校を退学する身。
それだけは、決まっている。
「茅野さ・・・は、図書館、行かないんですか?」
「・・・・」
それだけを言うと、茅野さんは、黙って立ち去った。
今まで、どんな話をしてもこんな風に話を無視された事はなかったから。
ーーーーーパキンッ。
シャーペンの芯が折れた。
運命のテスト中。教室にはペンを走らせる音だけ。
なんで今、こんなことを思い出してるんだろう。
私の前には、空欄の目立つ答案用紙。
どうしよう?
あの時の、茅野さんの眼差しが忘れられない。
あの。責めるような。
・・・・決めた。
どうせ、私がきちんとテストを受けた所。
ーーーー何かが変わるなんて、何を思い上がってるんだ。
やれるだけ、やってみよう、かな?
テストが終わった後。
「茅野さん!私、ちゃんとテスト受けて来ました!」
「そう・・・でも、そんな叫ばなくても大丈夫だけど・・・?」




