シンデレラと階級
私と真木さんとの"契約"。
それは、「現皇帝を失脚させる事」。
何度も何度も、それを繰り返し繰り返して、何かの呪文のように唱える。
そうでもしていないとーーーーー私は、この学校に居続けるのは、とても苦しい。
憧れの高校生活。新しくできた友人。
どれも欲しかったもののはずなのにーーー私は、嘘つきで、みんなを騙してる。
頭に浮かぶのは、この朱青藍高校の頂点に君臨する"皇帝"。
「葵?」
ふるふると、頭を振る。穂花が私を見ていた。
いけない、少しボーとしてた。
「どーしたの、中間テストも近いんだから、しっかりしないと・・・これで"階級"が決まるんだから」
朱青藍高校には「学校階級」というのが存在する。
それは親の地位や家柄、本人の学力で、学校での立場が決まるというものだ。
真木さんによると、内部生は「親の地位と、家柄」で、もう大体の階級が決まっているらしい。
でも、高校からの入学でこんな後ろ盾のない外部生は、「本人の学力」がこのカースト制に適用されるらしい。
その与えられる階級によって、学校の設備の使用さえも細かく決められるらしい。
だから、外部生は今から行われる中間テストに向けて必死に勉強をしている。
このテストで、全てが決まると言っても過言ではないし・・・・
今日も今日とて、学校内にある第一図書館から第四図書館まで、今日も予約で埋まって
いた。
一番設備投資の良い図書館は、皇帝会専用になっていて使用出来ないのには、びっくりした。
茅野さんが教えてくれなければ、私はその図書館に予約を入れていただろう。
だって、他の図書館の自習室の予約表は埋まっているのに、そこの図書館の予約表は白紙だったし・・・・
新入生で、学力が分からないから学校階級が保留になっているからとはいえ・・・・そんな目立つことは出来ない・・・。この学校は落とし穴が多すぎる。
今日も、新入生の一人が皇帝会の予約席に座ってしまって怒られるという事件があった。ーーーー西園寺様と沢城様が仲介なさって大事にはならなかったようだけれど。
「あーおーい?」
あ、また穂花がこっちを見ている。
「またボーってしてる、中間テストも近いんだよ?しっかりしなよ」
それに私たちは一年生で、学校階級の中では一番下の方。
中間テストがまだで、学校階級は保留状態。
「あっ、ごめんなさい・・・」
私の後ろを男子生徒が通る。座っていると、通路を通れない。
すれ違いざまに、ブスという言葉と舌打ちを頂いた。
「・・・・・・・」
あんなに綺麗な図書館があるのに、私たちは今にも雨漏りがしそうな図書館というより図書室といった方がいい広さの場所で勉強をしている。
ここに閉じ込められた外部生たちは多くて、この図書室はなんだか蒸し暑い。
「葵、今日はここ教えて欲しいんだけど・・・」
「はーい」
私たち外部生の運命を決めるとも言っても過言ではない、中間テスト。
それは一週間後。
ーーーーー頑張らなきゃ。




