皇帝の妹
皇帝会、になんて入れない。
私には、借金がある。
だから、高校に入学したら、バイトをする。決めていた事だ。
バイトをする事で、少しは・・・借金を返済していきたい。
ごめんなさい。すみません。
断わる事は心苦しい、けど。
逆に考えると、私が入らなければ、その分皇帝会の席は空いくことになる。
そう考えれば、私なんかよりも・・・他の外部生に入ってもらったほうがいいに決まっている。
特権階級って、魅力的だと思うんです。
まさか断られると思っていなかったのか、皇帝会のメンバーは未だ、動かなかった。
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「それが、君の答えなの?」
この場を代表してか、皇帝のが私に問う。
この場の空気が刺すように痛い。
でも、言わなきゃ。
「はい」
「・・・・・・・死んじゃえ」
ぬいぐるみが、
喋った?
皇帝のそばに置いてあった、大きなクマのぬいぐるみ。
それが、動いた。
「おにぃ様の頼みごとを、断るなんて」
え、あっ。
そのクマから目が離せない。
そのクマは、女の子の声で喋った。
「死んじゃぇばいい!!この、クズっ!!」
耳に残る高い声でクマが、喋った。
「きゃぁっ」
クマが、飛んできた。
視界が、黒に染まる。
ぼふん、
大きな綿の塊は、私と正面衝突を起こす。
その衝撃で、後ろに倒れこむ。お尻を地面に強く打ってしまった。
い、痛い。
目の前にあるには、熊のつぶらな大きな瞳。
飛んで来たぬいぐるみと、見つめ合う格好になっていた。
「返しなさいよ、この泥棒!!」
奪い取られたぬいぐるみ、開けた視界。近くには女の子。
次に見えたのは、女の子の靴だった。
可愛らしい赤の靴。
「いいから返しなさいよ、このクズっ!!」
ぼふんぼふん、連続してぬいぐるみが上から落ちてくる。
その度に、重い綿の重みが頭と背中にかかる。
ぬいぐるみで、叩かれていた。
「このクズっ、今クズっ、バカ女、死んじゃえ、死んじゃえ!!」
女の子に、ぬいぐるみをぶつけられている?
あまり痛くはなかったが、なんでこんな事をされているのか、分からない。
ぼふん、と顔面に追撃を受ける。
「・・・・っ」
思わず、声が漏れた。
痛いっ!!
そして、あまり反応のない私に業を煮やしたのか。
足を踏まれた。
ぐりぐり、ぐりぐりと。赤い色をした靴が私の足を踏んでいた。
何が起きているのか、分からない。




