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最終回。セルヴィアとの結婚式

【★☆★★☆★大切なお知らせ☆★☆☆★☆】


あとがきにて、

この作品を楽しんでくださってる方に向けた、


とても重要なお知らせが書いてあります。


どうか、最後まで読んでくださると幸いです。

1年後──


 祝福の鐘の音と、紙吹雪が降り注ぐ。


「カイン、おめでとうぉおおおッ!」


 ドレス姿のエリス姉上が、俺たちを祝福してくれた。


 今日は俺とセルヴィアの結婚式だ。

 王国だけでなく、帝国からも数多くの来賓がやってきてくれている。


 ウェディングドレスに身を包んだセルヴィアは、輝く程に美しかった。

 控え室にやってきた彼女を目の当たりにしてから、胸が高鳴りっぱなしだ。


「……ずっと夢見ていた日がとうとうやって来ました。カイン兄様、今日ほどうれしい日はありません」


 目尻にうれし涙を浮かべて、セルヴィアが告げる。

 彼女が手にしたブーケは【永遠の愛】を意味するかすみ草の花束だ。


「それは俺も同じだ。本当に夢じゃないよな。コレ……!」


 思えば前世から、この日を何度繰り返し夢見てきたか分からない。


 ゲームヒロインのセルヴィアに恋い焦がれて、3畳の自室で、『セルヴィァァァ!』と、夜中に叫んだりもした。


『……お兄ちゃん、キモイ、死んで』


 と同居している妹から、冷めた目で言われて悶絶したのを昨日のことのように思い出す。

 それでも、俺はセルヴィアとの幸せエンドを求めて、ゲームを繰り返しプレイした。


 2次元美少女に恋をして何が悪い?


 セルヴィアだけが、仕事に疲れた俺の唯一無二の癒やしであり、生きる原動力だったのだ。


「俺もセルヴィアと結婚できる日を、ずぅううっと、待ち望んできたんだ!」

「はい、カイン兄様、うれしいです!」


 手を繋げば、生きているセルヴィアの熱と鼓動を感じることができる。


 彼女が現実に存在しているというだけで、感無量だというのに……俺と相思相愛だなんて、神様にはいくら感謝してもしきれない。

 今日も神様とゲーム制作会社には、感謝の祈りを捧げた。

 

「ぐぅうう……結局、カインは私に見向きもしてくれなかったわ」

「ううんっ、よしよし、アンジェラ。私たちエルフの寿命は長いのよ。きっと、あなたにも素敵な男性が現れるわ」

「お母様、カイン以上の殿方なんてきっと、この先、何百年経っても現れません」


 なぜかアンジェラが部屋の隅っこで号泣して、セリーヌに慰められていた。

 控え室には、俺たちを祝う来賓が次々にやってきており、アンジェラとセリーヌも俺たちを祝福してくれたのだが……はて?


 俺は皇帝シグルドから、アンジェラを側室に迎えて欲しいと、さんざん要望されたが、セルヴィア一筋だと断った。


 アンジェラもそんな政略結婚の道具にされなくて、良かったんじゃないかと思う。

 であれば、アレはついに結ばれた俺たちを祝ってのうれし涙に違いない。まったく、照れるなぁ。


「アンジェラ、お前にもずっと助けてもらったな。今日、この日を迎えられたのは、アンジェラのお陰だと思う。これからも友達として、よろしくな」

「……こ、これからもずっとお友達! あぐぅうう!? い、いいわ。これからも、ずっとシュバルツ侯爵家に入り浸ってやるんだからぁああッ!」


 アンジェラは何かヤケクソ気味で叫んだ。

 ……は、はて?


「カイン様! お父様にお願いして、侯爵以上の貴族は重婚を認めるという法律を作っていただきましたのに! どうして、わたくしと結婚していただけないのですか!?」


 リディア王女が駆け寄ってきてトンデモナイことを言い放った。

 正直、顔を合わせる度に熱烈アプローチをされて、困り果てている。


 なのでオブラートに包まず、きっぱり断ることにしていた。


「それはもちろん、俺が最も愛しているのはセルヴィアだからです。俺がセルヴィアを裏切ることは絶対にありません」

「カイン兄様、ありがとうございます!」

「むぐぅうううッ」


 リディア王女は、たたらを踏んで後ずさった。


「わ、わたくしは絶対にあきらめません。アルビオン王家の名にかけて!」

「いや、もう結婚するんですし、あきらめてください!」


 後で宰相に働きかけて、重婚を認めるなんて法律は消してもらおう。きっと弊害しか生まない。


「カイン師匠! おめでとうございます! って、痛い!?」


 ソフィーが小走りにやってきて俺たちを祝福してくれた。

 彼女は何も無いところで転んでヘッドスライディングをかますが、元気に飛び起きる。

 

「実はアベルから、手紙が届いたんです!『この前、魔族に襲われている村を助けて感謝された。他人に感謝されるのも悪くないな』だそうです!」

「へぇ。アベルは、ちゃんと真の勇者らしくなっているんだな」

「以前の彼からは、信じられない言葉ですね。カイン兄様」


 俺の奴隷になったアベルは、勇者として魔族と戦う旅に出た。

 未だに勇者アベルを憎む声は大きいが、行く先々で人助けをしているヤツの行動を評価する人々も増えてきている。


「見事、魔族の四天王をすべて討伐したら、僕の願いを叶えて欲しい、とも書いてあるんですが。アベルの願いってなんでしょうか?」

「それは……」


 アベルはソフィーと結婚したいと、俺に要望してきていた。

 極悪人であったアベルだったが、ソフィーが自分を最後まで見捨てなかったことで、心境の変化があったようだ。


 『本当にイイ女は、この世でただひとりソフィーだけだ』などと言っていた。

 どうしようもない女好きの勇者アベルだが、もう他の女の子にちょっかいをかけることはしなくなっていた。


 人間というのは、何か大きなキッカケがあれば、変われるモノなのかも知れない。


「もし、アベルが使命をまっとうしたのなら、アイツの願いを叶えてやりたいと思う。ソフィーさえ良ければだけどな」

「ふぇ……?」


 ソフィーは何のことか、わからないようだ。


「でもホントにうれしいです! アベルが改心したのは、カイン師匠が私の願いを聞き入れてくださったからです! 師匠に出会えたことは、私の人生、最大の幸運です! ホントはカイン師匠の恋人になりたいなぁ、なんて一瞬、思っちゃたりもしましたが……あっ、いえいえ、何でもありません! これからも、ご指導、よろしくお願いします!」


 ソフィーはぺこぺこ頭を下げた。

 何か一瞬、不穏当な言葉が聞こえたような気がしたが……


「カイン兄様、そろそろ時間です」


 セルヴィアが俺の手を取って促してきた。

 これから俺たちは、バージンロードを歩き永遠の愛を誓い合う。


「今日、初めてカイン兄様にキスしてもらえるんですね」

「うん……そうだな」


 それが式のクライマックスだった。

 想像するだけで、心臓がバクバクしてしまう。


 これまで恥ずかしくて、なにかにつけてキスすることから逃げ回ってきた。

 だって、前世から今まで、女の子とキスしたことなんて、無かったんだぞ。


 しかも、相手がセルヴィアとなれば、緊張するなという方が、無理というものだ。

 

「私はこれからも、カイン兄様だけを永遠に愛します」


 はにかむセルヴィアは、とてもかわいかった。

 俺がずっと見たかった、幸せになったセルヴィアの笑顔だ。

 この笑顔を俺はこれからも守って行くのだ。


「俺も、セルヴィアを幸せにすると誓う」

「はい!」


 この先、何があっても、この繋いだ手を離さず、セルヴィアと共に歩んで行く。

 俺はそう誓うのだった。

 さぁ、トゥルーエンド後の世界を満喫するぞ!

本作は、これで完結となります。

最後までお読みいただき、誠にありがとうございます!


【☆★☆★読者の皆様へ大切なおねがい☆★☆★】


「5秒程度」で終わりますので、ぜひよろしくお願いします。


 少しでも

・面白かった

・楽しかった

・応援してあげてもいいかな


と思ってくださった方は、ぜひとも広告下の「☆☆☆☆☆」を「★★★★★」にして評価してくださると嬉しいです!


★の数は皆さんのご判断ですが、 

★をつけてもらえると最高の応援となり、今後の創作のモチベーションがめちゃくちゃ上がります!

なにとぞ応援のほど、よろしくお願いします!

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▼コミカライズ版 2025年5月29日徳間書店より刊行。 勇者の当て馬でしかない悪役貴族に転生した俺~勇者では推しヒロイン
以下の公式サイトで試し読みができます!
https://unicorn.comic-ryu.jp/3587

▼書籍化しました! 2024年11月15日【電撃の新文芸】より刊行。
『勇者の当て馬でしかない悪役貴族に転生した俺~勇者では推しヒロインを不幸にしかできないので、俺が彼女を幸せにするためにゲーム知識と過剰な努力でシナリオをぶっ壊します~』
ぜひお手に取っていただけるとありがたいです!
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↓こちらもオススメ! 同じ作者の新作です!

魔王少女の勘違い無双伝~中二病をこじらせて、配下の人間も守る誇り高き悪のカリスマムーブを楽しんでいたら、いつの間にか最強魔王軍が誕生していた件
― 新着の感想 ―
色々と、本当に色々と ツッコミどころ満載すぎるのですが ま、こんなお話もあってもいいんじゃない? って言う程度 最終話(ep83)で私の個人的独断偏見評価は 53点に濠激減しましたけど。。。 世の中合…
この手のストーリーに有りがちな気がついたらなし崩しにハーレムを断固阻止した主人公がナイス。
>>『……お兄ちゃん、キモイ、死んで』 >>と同居している妹から、冷めた目で言われて悶絶したのを昨日のことのように思い出す。 なろう系のオチとして主人公は自分を無謬の英雄とか思い始める事が多い中、 …
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