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勇者パーティを追放された万能勇者、魔王のもとで働く事を決意する~おかしな魔王とおかしな部下と管理職~  作者: 龍央


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第48話 勇者、部下を引きずる



「魔法を掛けたんだよ、馬にアルベーリが魔法を掛けたようにな。俺のは人相手だがな」

「それは人に掛けて良いぃぃぃぃ! 魔法なんですかぁぁぁぁぁ!? ……ひぐっ!」


 あ、舌噛んだ。

 言わんこっちゃない……あ、考えただけで言ってなかったか。


「いらいれふぅぅぅぅぅ!」

「まぁ、無理して喋らずとにかく走れ。これなら王城まですぐに着くぞ」


 強制的に走らされてるフランは、実はアルベーリの魔法が掛かった馬よりも早い。

 この分なら、夜になる前に帰る事ができそうだな。

 ……魔法が解けた時の反動は……まぁ、今は考えないでおこう。


「ぐふっ! ……」

「あー……止まる方法も考えて無かったか……そう言えば」


 王城が近づき、城下町を囲んでいる城壁に頭から突っ込むフラン。

 前も同じような場面を見たが……こんなに簡単に人って石壁に突き刺さるんだなぁ……。


「よっこい……せ!」

「ぶはぁ! 酷いですよカーライルさん! なんて魔法を使うんですか! あれは人に使っちゃいけない魔法です! まったくこれだから常識を知らない勇者は………ん? あれ?」


 足を引っ張って城壁から抜いてやると、すぐに叫び出すフラン。

 元気だな……しかし一番常識の無いお前に、常識を知らないとか言われたくないぞ。

 お、叫んでる途中で異変に気付いた……もう来たか……予想以上に早かったな。

 

「ひぁぁぁぁぁ! 痛い痛い痛い! 足がぁぁぁ! 体がぁぁぁ! 何ですかこれぇぇぇぇ!」


 悲鳴を上げて地面をのたうち回るフラン。


「あー……魔法の反動だ」

「痛いですよぉぉぉ……反動って何ですか!? ひぃぃぃぃ!」


 涙目になりながら、痛みを堪えて聞いて来る。


「あれだけの速度で走ったからな。俺は大丈夫なんだが……慣れて無いフランだとこうなる。……つまり……筋肉が悲鳴を上げて痛みが出てるわけだな。人は限界を越えて活動してはいけないと言う、戒めだな、うむ」

「何が戒めですかあぁぁ! 痛い痛い! 変な魔法を掛けるからぁ! あぁぁぁ痛いですぅぅぅぅ!」

「だが、おかげで早く帰れただろ?」

「こんな痛みがあるなら早く帰れなくても良かったですよぉぉぉぉ!」


 むぅ、不評だったか……。

 まぁこんな状態になるのなら、それも当然か。


「さて、アルベーリの所へ報告に行くか」

「うぁぁぁ、待って下さいよぅ、置いて行かないで下さいうよぅ……」

「仕方ないな……」


 痛みに耐えながらも、俺に置いて行かれないように動き出すフランだが、その足取りは当然遅い。

 痛みがある筋肉を使わないようにしても、足全体が痛いから何をしても同じなんだろう。

 置いて行っても良かったが、後でうるさそうだから、腕を掴んで引きずって行く事にした。


「ひぁぁぁ! 体の内側も外側も痛いですぅぅぅぅ!」

「うるさい奴だなぁ……」


 城下町にフランの悲鳴がこだました。

 悲鳴を上げるフランを引きずって歩いていても、動揺しない城下町の魔族達は凄いな。


「ふっ……ほっ……はっ……ん?……ふっ……はっ……おぉカーライル……ふっ……ふんっ……戻って来たか……はいっ……ほいっ……」

「……何してんだ?」

「見てのっ……通りっ……トレーニングっ……だっ」


 フランを引きづったまま、アルベーリの執務室に入ると、ブーメランパンツのみで筋肉トレーニングをしている魔王がいた。

 確か、奥様に負けないように鍛えてるとか言ったか……筋肉を鍛えるだけで勝てるのか?

 あの奥様に勝とうとしたら、筋肉以外の何かでないといけない気がするが、アルベーリには教えないでおこう……面倒だから。


「それにして……もっ……どうしたっ……んだっ……フランはっ」

「話しづらいから、トレーニング止めろよ」

「おぉ、そうだったなっ……っと。つい楽しくなって、やめ時を失っていた」

「トレーニングが楽しいもんか?」

「段々と鍛えられてるとわかるのは楽しいぞ。筋肉は嘘をつかないからな。そなたもやってみるか?」

「……遠慮しておく」


 むさ苦しいオッサンと一緒に体を鍛える趣味は無いので、お断りしておいた。




別の作品も、連載投稿しておりますので、ページ下部のリンクよりお願い致します。


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