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序章
「その力が無ければ、誰も見向きもしないから」
秋風の吹く並木道で、その人は幼いわたしに言葉を投げつけた。
地面に転がった言葉の断片を拾い集めていたのだろうか。そうでなければこれほどまでに鮮明に覚えているわけがない。
祖父の手に引かれながら何度も振り返ったのを覚えている。けれど、その人は一度もこちらを見ることなく去って行った。
会う必要もなかったし、会いたいと思ったこともなかった。
だから、それがその人の唯一の記憶。
「その力が無ければ、誰も見向きもしないから」
秋風の吹く並木道で、その人は幼いわたしに言葉を投げつけた。
地面に転がった言葉の断片を拾い集めていたのだろうか。そうでなければこれほどまでに鮮明に覚えているわけがない。
祖父の手に引かれながら何度も振り返ったのを覚えている。けれど、その人は一度もこちらを見ることなく去って行った。
会う必要もなかったし、会いたいと思ったこともなかった。
だから、それがその人の唯一の記憶。