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貧乏国家の黒字改革〜金儲けのためなら手段を選ばない俺が、なぜか絶賛されている件について〜  作者: 空野進
第三章、国力を上げよう

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ラグワンド王国

 俺たちはまず一番近くにある国である、ラグワンド王国へと向かうことにした。



 ラグワンド王国――獣人たちの国であり、帝国北西の大森林にあった。それなりに土地は広いものの、大森林の中には危険な魔物も多く、それなりに被害が出るようで、獣人の絶対数はそれほど多くない。そして、魔族たちほどはいかないまでも、個としての力は強く、通常の兵士だと二~三人くらいで相手にしないとまともにやり合うことすらできなかった。



 しかし、尾を引いてくるのはやはり、絶対数が少ないという部分。

 非戦闘員も合わせても千人いくかどうかの小国だ。


 国というのもおこがましいかもしれない。


 その地を治めるのは、バリューダ・ラグワンド。

 巨大な体格を持つ獅子の獣人。

 その獰猛さと圧倒的力から王の座に君臨していた。


 獣人族の掟はただ一つ。

 強いものに付き従う。

 つまり、戦争で帝国に負けたら素直に彼らに付き従うつもりでいた。


 しかし、初めて帝国に負けたあと、待っていたのはただの虐殺だった。


 自分たちとは違う。

 獣人たちは皆殺しにしろ!


 そんな言葉と共に殺されゆく非戦闘員の国民たち。

 幸いなことに他国の協力もあり、そのときは帝国を退けることができたが、その時に帝国に敗れることは滅亡することに等しいとバリューダは理解した。


 だからこそ、帝国には敗れるわけにはいかない。

 今までは孤軍奮闘してきた獣人達であったが、この時初めて他者と手を組む、ということをすることになった。


 これがラグワンド王国の帝国包囲網参加のきっかけでもあった。





「なるほどな……。そんなことがあったんだな」

「うん、そうだよ。だからこそ獣人たちは他者と手を組むことをいとわないよ。自分たちが生き残るために」



 ポポルが詳しく教えてくれる。



「ただ、それでも弱者と組むつもりはないみたい。手を取り合うならその前にそれ相応の力を見せないとダメみたいだけど……、まぁ、大丈夫だね」



 馬車の中には魔王の姿もあった。

 この戦力で言えば、いくら獣人族の長といえど、魔王には適わない。

 赤子をひねり潰すように軽くいなして終わりだろう。


 まぁ、そう説得できるように魔王に着いてきてもらったのだが――。



「面倒だな。直接帝国を叩くのではダメなのか?」

「お父様! あんまり無茶を言うならお父様の食事だけ……」

「悪かった。私の発言の全てを忘れてくれ」



 相変わらず魔王はシャロにペコペコと頭を下げていた。

 この光景を見たら最強がシャロだという情報もあながち間違いでないように思えるよな。



「まぁ、魔王もいて、マリナ……、マリーもいて、イグナーツもいる。しかもジャグラもいるわけだし、問題はないか」

「うーん、そうも言っていられないんだよね。多分魔王以外は獣王のほうが強いんだよ。だからこそ今までこの国が残っているのだから――」



 イグナーツやマリナスより強いのか……。

 一体どれほどの力を持っているのか……、想像も付かなかった。



「あと、環境が悪いよ。大森林の中に国があるからまともな人だと動き回ることも困難だからね」

「なるほどな。地の利もあるわけだ」

「そんなことないわよ。私にかかれば獣王くらい余裕よ。ポポルやシャロちゃんの前で格好の悪いところを見せられないわよ」



 マリナスが頬を膨らませて言ってくる。



「でも、事実は事実よ?」

「……わかったわ。力比べになったら私が出る。それで力の差がはっきりと分かるでしょ?」



 こうなってしまってはマリナスは言うことを聞いてくれないだろう。

 なんだかんだ言って負けず嫌いだもんな。



「はぁ……、わかったよ。俺が許可を出す。もし、獣王と戦いになりそうならその時は頼むぞ」

「えぇ、任せて。それでもし私が勝ったら、その時はポポルを一日自由にさせてもらうわよ」

「ちょっ!? 何で勝手に!?」

「あぁ、いいぞ。一日くらいポポルも付き合ってくれるだろう」



 マリナスの言葉に俺は即答していた。

 驚きの表情を見せるポポルを横目に。



「あ、アルフ王子も何で勝手に!?」

「決まりね。あーっ、ポポルに何をしてもらおうかしら。メイド服姿もいいし、エプロン姿もいいわね。敢えて丈の短いスカートをはいてもらうって言うのも……」



 恍惚の表情を浮かべながら妄想に耽るマリナス。

 それを見てポポルは必死に自分の体に手を当てて答える。



「エッチなのはダメだからね! それに勝ったときだけだから、負けたらなしだよ! その次は魔王に出てもらうんだから」



 ポポルはあくまでも自分の推察を信じて、一日マリナスのおもちゃになることはない、と予想していた。

貧乏国家の発売日が今月の末と差し迫ってきました。

こちら、全体に見直して、ほぼ手を加えてない部分はないほどの改稿をさせてもらっています。

担当編集さんからも驚かれるほどの改稿度合いです。

ぜひ手に取っていただけるとありがたいです。




また、コミカライズの方も私の手にネームが届き始めましたが、とても良い出来に仕上がっています。公開される日が待ち遠しいです。

こちら併せてよろしくお願いします(੭ु˙꒳˙)੭ु⁾




そして、『次は悪役になってやる!〜なのに勘違いされてどんな行動も賞賛されてしまう件〜』が更新再開しました。

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勘違い系ファンタジーコメディーを目指して書いております。

よろしければそちらも併せてよろしくお願いします。

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