表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
貧乏国家の黒字改革〜金儲けのためなら手段を選ばない俺が、なぜか絶賛されている件について〜  作者: 空野進
第三章、国力を上げよう

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

86/103

魔王の引き入れ

「それでこれからの動きなんだけど……」



 ポポルが微笑みながら言ってくる。



「帝国と直接戦わないとなるとまずは帝国に襲われている国に加担する……とかか?」

「うーん、それも大事だけど、もし私たちが影で動いているとバレてしまうと一気に滅ぼされてしまうよ?」

「確かにそれはそうだが、ならどうやって動く?」

「まずこの国が滅ぼされない理由はわかるよね?」

「あぁ、帝国と魔族国の間に位置するからだろう? いきなり魔族国に襲われることを帝国は恐れているからな。この国が間にいるうちは防波堤代わりになってくれると高をくくっているのだろう」

「うん、つまりはそういうことだよ。この国はいつでも滅ぼせるけど、魔王が怖いから滅ぼさない」



 ポポルがわかりやすく説明をしてくれる。



「なるほどな。それなら魔王と同盟を組んだら……、いや、それだけじゃダメなのか。防波堤としての機能が使えなくなるなら、真っ先に滅ぼされるな」

「だからこそ、いっそ魔王を取り込んじゃったら良いんだよ」



 ポポルはにっこりと可愛らしい笑みを浮かべていた。

 それが逆に俺には恐ろしかった。







 数日後、俺の下には魔王がやってきていた。



「我に一体何のようだ? 我はこう見えても忙しいのだぞ?」



 威圧ある雰囲気で俺をにらみ付けてくる。

 ただ、俺の隣にいるシャロがむっとした表情を見せるとすぐにその表情を和らげていた。



「なに、大したことはない。いつもこうやってシャロの飯を食うためだけに来てるからな。この国に居住を移しても良いのではないかと思っただけだ」

「そんなことをしたら我が魔王国はどうなる? 他国の侵攻を……いや、そういうことか」



 魔王は俺がこのあと発する言葉を先読みして、頷いていた。



「あぁ、そういうことだ。魔王国に攻め入るにはまずこのユールゲン王国を通る必要がある。つまり、ここにいれば最新の動向を知ることができるんだ」

「……ふむ、確かにそれなら問題はなさそうだな。シャロの飯も食い放題か……」

「お、お金はもらうからね!?」



 シャロが少し慌てたように告げる。

 しかし、魔王はそんなこと気にした様子はなかった。



「我にもメリットがあるな。しかし良いのか? ここに我がいるとわかると攻められることにならないか?」

「後々はそうなるだろうな。ただ、当面の時間稼ぎはできる。それに、今の敵は帝国だけだからな」

「わかった。その程度のことなら居座ってやろう。もちろん我の家は用意してあるんだよな?」

「わ、私と一緒の部屋なら空いてるけど……」

「しゃ、シャロと一緒の部屋か。うむ、それも悪くないな。小さいとき以来だもんな。よし、わかった。その条件で受けてやろう」



 魔王がにやり微笑んだあと、俺とがっちり握手をする。

 そして、ユールゲン王国が魔王と手を組み、魔王自身を客将として国に滞在させることを決定した出来事は世界に知れ渡っていた。




◇■◇■◇■




 その情報は皇帝の耳にも届いていた。



「どうしてだ……」

「は、はっ、ど、どうしてといいますと?」



 怒りを露わにする皇帝と側に控える兵士。

 兵士の方は怒れる皇帝を前にして、怯えていた。



「魔王のことだ! どうしてやつがユールゲン王国と手を組んでいる! そんなことがないように兵や冒険者を送り込んでいたんだろう!」

「そ、それが影で兵も冒険者も懐柔されていたようで、誰一人として戻ってきておりません。おそらく魅了の魔法でも使ったのかと思われます」

「魅了の魔法……、大賢者マリナス……。やはりすでに見つかっておったか」

「そ、それに数人、この帝国から姿を消している人間も見受けられます」

「やってくれたな。この策を打ってきたのはポポルか? とにかくユールゲン王国との国境の警備を増やせ! 他国に攻め入るのは中止だ!」

「よ、よろしいのですか? このまま攻め入ればユールゲン王国と魔王国以外の国は攻め滅ぼせますが?」

「よい。むしろそこに時間を取られていたらその間に帝国を落とされてしまうわ! 魔王の力を甘く見るな! 奴は真の化け物ぞ!」

「か、かしこまりました! すぐに手を打たせていただきます!」



 兵士は慌てて飛び出していった。

 そのあとに残るのは皇帝……とその影からもう一人。



「あららっ、良いようにしてやられたね」

「なんだ、我をあざ笑うために出てきたのか?」

「滅相もないよ。ただ、そろそろ僕の出番かなって。相手の王子、サクッとやっちゃっても良いんじゃないかな?」

「うむ、それもそうだな。やってくれるか?」

「わかったよ。じゃあ、ちょっと行ってくるね」



 それだけ言うと影にいた人物はすっと姿を消していた。

【作者からのお願い】

作品を読んで面白いと思われた方、続きが気になる!と思われた方は、是非とも【☆☆☆☆☆】より自由にポイントを入れて応援いただけると励みになります

今後の継続のモチベーションにも繋がりますので、どうぞよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ