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貧乏国家の黒字改革〜金儲けのためなら手段を選ばない俺が、なぜか絶賛されている件について〜  作者: 空野進
第三章、国力を上げよう

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帝国攻め

「き、金鉱!? ま、ますますダメだよ! いくら兵が手薄になったとしても、絶対にそこの人手は減らさないよ!」

「――だろうな。むしろ兵のほぼ全てをそこに集めていると言っても過言ではないだろうな」

「だったら私たちの兵力じゃどうやっても勝てないじゃない」

「いや、そんなこともない。攻めてみればわかる」

「うーん、そこまで言うなら試してみるけど、危ないと感じたらすぐに兵を退くからね」

「あぁ、もちろんそれで頼む。あとは兵士達は普通の服装で攻めてくれ。ポポルならこれでわかるだろう? ただでさえ少ない兵力だからな。無理に減らすことはない」

「わかったよ。それじゃあ、早速兵をまとめるからね」



 ポポルは部屋を出て行く。

 それを皮切りに他に集まってくれた人たちも出て行った。


 俺とシャロを除いて――。



「ほ、本当に大丈夫なのですか? ポポルさんの話を聞いている限りだと凄く危ないと思うのですけど――」

「あぁ、問題ない。相手の立場になって考えて見ろ。最弱で襲ってくると思っていない俺たちだぞ? 兵はいたとしても相手は油断しきっている。しかも、兵士に見えないように普通の服を着せる。つまり、どうなる?」

「えっと、普通の服の人ならまさか襲ってくるとは思わないです」

「そういうことだ。上手くいけばあっという間に制圧することができるだろう。まぁ、いくつか問題点は出てくるけどな」



 まずは相手に優秀な副将がついていて俺の策を見破っている場合。

 これはまず考えなくて良いだろう。

 そんな有能な人物なら既に別の国を攻めるように指令を受けているはず。


 次に準備する服装だな。

 本当にただの一般人に見てもらえるか……。

 特にイグナーツとマリナスは戦力としては外せないが、見た目から一般の人とは認識されにくいだろう。

 そこがうまくごまかせるかどうか――。


 最後は一番の問題。

 シャロがしっかり冒険者達の手綱を握れるか……。

 帝国の出身である彼らが情報を流してしまったらこれはすぐに破綻する。

 普段のシャロを見ている限り問題ないと思うが、そこも懸念事項だ。



 一応どれも起きた場合のことを考慮した上で行動しよう。




◇■◇■◇■




 帝国領の金鉱。

 屈強な男達が金を掘り出しているその側で幾人かの兵が面倒くさそうにあくびをしていた。



「なぁ、こんなところでぼんやり見てて良いのか? 俺たちも兵士となったからには帝国のために働きたかったが――」

「仕方ないだろう。これも皇帝陛下の命令だ。それにのんびりできて給金がもらえるんだからいいじゃないか」

「ちっ、こんなところだと成果を上げられないだろう。側にいるのはヘボ王国だけだからな。いっそ俺たちで攻め滅ぼしてやらないか?」

「がははっ、それはいいな」



 兵士達が武器を置き、腰掛けながら勝手なことを言っていた。

 そんな側を新米兵士のクリスはため息交じりに眺めていた。



 勝手なことを言ってるなぁ……。いくら何でもユールゲンの状況を知らなすぎるでしょ。まともに戦ったら僕たちなんて一瞬で返り討ちに遭うよ。数十人の兵士で止められるほど、一国は弱くないんだから……。



 ただ、今このタイミングで攻めることができれば……だけど。



 この金鉱は今のユールゲンだと喉から手が出るほど欲しい拠点だ。

 物資が根本的に足りていないのだから――。



 ただ、それをしてしまうと帝国を敵に回してしまう。

 それに今ユールゲンには帝国の偵察が多数入っている。


 冒険者や直属の兵など……。

 それらの目を盗んで、大陸最大のこの帝国を攻めることができるのか……。



「ははっ……、そんな指示を出せるのなら、もしかするとその国は成り上がっていくかも知れないな」



 どうせこのまま帝国にいても昇進は期待できない。

 どうしても巨大組織である以上、内部には色々な不正が行き交っている。


 さらには皇帝が絶対の力を持っているせいで、彼の言葉が全てになる。

 正しいことも間違ったことも……。


 そして、だれも忠言することができないのでますます皇帝の独裁が続いてしまうわけだ。



 こういった国はいつかは滅びてしまうだろう。

 それならばいっそユールゲンに……。

 いや、ユールゲンの王子が無能の可能性もある。


 ここを攻める……という英断ができるかどうかで考えても遅くはないだろう。



「おーい、クリス! 酒を持ってこい!!」

「ま、まだ、仕事中ですよ?」

「いいから早く持ってこい!!」

「は、はい。ただいま……」



 クリスは大急ぎで酒を取りに行く。


 その様子を見て、兵士達はあまりの情けなさに大笑いをしていた。



「がははっ、あの臆病者にはこんな仕事がお似合いだよな」

「商人にでもなったほうがよかったんじゃないか?」

「とにかくトコトン使えないやつだよ」



 ろくに自身の能力を見せていないクリスの話を酒の肴にして、兵士達は更に盛り上がっていた。

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