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貧乏国家の黒字改革〜金儲けのためなら手段を選ばない俺が、なぜか絶賛されている件について〜  作者: 空野進
第三章、国力を上げよう

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対話

 ポポル達は新たな領主、ケビンに会いにやってきた。

 たくさんの建物が壊れているので、指定されたのが町中央の広場というのも頷ける。


 まだ警戒されているということもあり、ポポル達を囲むように領民達が睨みをきかせているのも分かる。


 少し緊張感のある面会にポポルは苦笑を浮かべていた。



(まるで自分の力を誇示しようとしている感じだね。たった三人の私たちにするなんておかしいことだけど……)



「ポポル、周りの男ども、サクッとやっちゃって良いかな?」

「ダメよ、マリナス! もし余計なことをしたら一生口きかないからね」

「うっ……、わ、わかってるわよ」



 マリナスが慌てて口を閉ざしていた。

 しかし、どこか落ち着かない様子で何度も拳を閉じたり開いたりをしていた。



「しかし、ここまで殺気を出されては思わず反応してしまいそうだな」



 イグナーツも手で剣の柄を触っていた。

 そのくらいは仕方ないか……。


 いざというとき、イグナーツには盾になってもらわないといけない。

 まぁ、この程度の数だと相手にもならないだろうけど――。



「よくぞ来てくれた、参謀長ポポル殿。俺はこの町の領主、ケビンだ」



 腕を組み、不敵に笑いかけてくるケビン。

 自分たちと同じ年代くらいの人物かと思ったが、意外と若いことにポポルは驚く。



「こちらこそよろしくお願いします、ケビン様。私は元参謀長で今はアルフ様によりミュッヘン領を任されております、ポポルです。お見知りおきを」

「ほう……、アルフ王子が領地を……。ずいぶんと気前の良い王子なんですね」

「色々と思惑はあるかと思いますが、基本的に物や土地に固執されるお方ではありませんので。ケビン様もご安心されるといいかと」



 少し考え込むケビン。



「それはそうとして、ここにポポル殿とイグナーツ殿、マリナス殿のお三方を派遣してもよろしかったのですか? 王都で何かトラブルがあれば簡単に落ちてしまうのではないでしょうか?」

「いえ、私たちでも太刀打ちできない存在が守っておりますので、その心配はないです」



 ポポルが笑みを浮かべるとケビンは顎に手を当てる。



「やはり魔王と手を組んだ……というのは本当のことだったか――」



 その言葉に周りから動揺の声が上がっていた。



「いえ、正確には手を組んだわけじゃないと思いますよ」



(アルフ様が魔王の娘であるシャロを引き込んでいるだけだもんね。それを溺愛する魔王が勝手に手を貸してくれるだけで)



「手を組まなくても借りれる状況を作ったわけだ。なるほどな……」



 全てを話さなくても理解してくれる。

 確かにこれほどの人物なら折を見て領を取ることくらい造作もなかっただろう。



「良かったらアルフ様にお会いになりませんか? 私が話を付けさせていただきますよ」

「……そうだな。俺も興味が出た。ぜひ話をさせてくれ。ただ、ここは国境の地。俺がいなくなると警備が甘くなるだろう。それを考えると――、いや、問題ないか。このタイミングで攻めてくるなんて愚行、敵国が起こすはずないからな」



 ケビンに何か考えがあるようだ。

 その状況はポポルには分からなかったが、何か理由がありそうだ。


 それは後ほど聞かせてもらうので問題ない。



「では、善は急げですね。早速参りましょうか?」

「あぁ、そうだな。お前たち、そういうことだ。俺は少し出てくる! この町の警護を任せたぞ!」

「は、はい。かしこまりました」





 ポポル達はケビンを連れて王都へと戻っていく。

 その途中で先ほどの考えについて確認しておく。



「それでどうして隣国が攻めてこないと分かるの?」

「あぁ、簡単なことだ。隣国も今俺たちの国に帝国の私兵がいることは分かっているからな。下手をして帝国に喧嘩を売るような真似はしないな。それとラグゥも隣国へと逃げていったからな。俺たちが未だ血気盛んに町を守っていると思ってるんじゃないか?」

「なるほどね。確かにラグゥがそっちにいるのなら中々手を出してこないでしょうね。彼がいる……というだけで戦争を起こされても仕方ないのに更におまけで戦争を引き起こす要素なんて作りたくないでしょうし――」

「……んっ? 何の話だ?」



 ポポルとケビンの話が分からなかったイグナーツが首をかしげる。

 するとそんな彼の様子を見て、マリナスが笑みを浮かべる。



「そんなことも分からないのかしら? 隣国を攻め落とすのよ」

「なるほど、そういうことか!」



 ポン、っと手を鳴らすイグナーツ。

 そんな二人の様子にポポルは苦笑する。



「全然違うわよ。勝手に力で解決しようとしないでよ」

「あははっ、中々面白いやつだな。これは退屈しないですみそうだな」



 三人のやりとりを見て、ケビンは腹を抱えて笑っていた。

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