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貧乏国家の黒字改革〜金儲けのためなら手段を選ばない俺が、なぜか絶賛されている件について〜  作者: 空野進
第二章、三つ巴の戦い

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vsバーグ

「おっ、やっと出てきやがったな」



 シャロがギルドの方に顔を出すと帝国騎士の一人、バーグが言ってくる。



「えっと、あなたは確かさっきに……」

「おう、フルールはうまく騙したかもしれないが、俺はそうはいかんぞ! 勝負をしろ!」

「あっ、えっ? わ、私はその……」

「お前は魔族らしいな。どうせ魔王につながっているんだろう? そんなやつを味方に引き入れるなんて、フルールもどうかしている。俺が倒してやる!!」



 ギルド内で剣を抜くバーグ。

 すると当然ながら、ギルドにいた冒険者たちがバーグに向けて殺気を発する。


 そして、シャロを守るように立ち塞がっていた。



「お前たちも魔族の味方をするのか!? つまりお前たちも魔王の手下なんだな!?」



 バーグのその言葉に、冒険者たちは一瞬怯んでいた。

 その間にバーグは、シャロに向かって斬りかかるが、その剣はあっさりはじき返される。



「ま、マリーさん!?」

「ギルドマスターに挑みたいなら、まずはその忠実なるしもべである、この私から倒すべきなんじゃないかしら?」

「えっ、ち、違いますよ? ただ、同じ職員として……」

「なるほどな。確かにそれは一理ある。お前程度一瞬で倒せなくては、最強のギルドマスターは倒せないわけだ」



 再びグッと剣を握り直すバーグと拳を握るマリナス。

 冒険者たちによってシャロは後ろに下げられる。

 ただ、心配になってマリナスの方へと向かおうとするシャロ。



「だ、駄目ですよ、マリーさん! 剣相手なんて危なすぎます……」

「心配してくれてありがとう。でも、大丈夫よ」

「ふふふっ、余裕を見せているのも今のうちだな。俺はこう見えても実技に関してはフルールより好成績だった――」

「えいっ!」



 マリナスが一瞬でバーグの懐に入ると軽く一撃、殴り元の場所へと戻る。



「がはっ!?」



 口から血を吐き、壁を破り外へと飛んでいくバーグ。

 すでにマリナスは元の位置に戻っているので、彼の一番近くにいたのはシャロ……だった。



「うおぉ!? シャロちゃんが手も触れずにあいつを飛ばしたぞ!!」

「ま、まさか、気を操って?」

「シャロちゃんほどの実力者になったら、そのくらい余裕だろ」



 冒険者たちから歓声が上がるが、シャロはあたふたとしていた。



「わ、私は何もしていないです……。今のはマリーさんが……」

「あらっ、私も何もしていないわよ? シャロちゃんが私の身を案じて守ってくれたのね。ありがとう……」



 マリナスはシャロのことを抱きしめる。



「む、むぎゅぅ……、く、くるしいですよ……」

「あらっ、ごめんなさい……」

「そ、それよりもさっきの人は大丈夫なのですか?」

「えぇ、手加減はしたから命に別状はないと思うわ」

「……、やっぱりマリーさんがしたんじゃないですか!?」



 シャロが大声を上げる。

 しかし、その声も冒険者たちが上げる歓声にかき消され、周りに聞こえることはなかった。



「それじゃあ、あの壁を直しましょうか」



 マリナスが穴が空いてしまった壁を指さす。

 確かにこのままにしておく訳にはいかない。



「そうですね……。それじゃあ、緊急依頼を出させてもらいます。みなさん、このギルドを直してください。報酬は……、今晩の酒場の代金は私が持ちますから」



 シャロが紙を取り出して、新しい依頼をしたためていく。



『穴の空いたギルドの修復』

契約金 :なし

成功報酬:晩ご飯をごちそうします。

参加人数:制限なし

依頼主:シャロ・ティルラー



 掲示板に貼られた依頼内容を見た冒険者たちから大歓声が上がる。

 そして、ギルドは瞬く間に修理されていく。



「これで大丈夫ですね。あっ、あの人は――」



 ホッとしたシャロだったが、バーグのことを思い出してギルドの外へと慌てて飛びだしていく。

 すると、まだ意識が戻っていなかった。

 その額は少し血が出ていて、このまま放置しておくには少し怖かった。



「……よしっ!」



 シャロはバーグを担ごうとするが、全く持ち上がらなかった。



「どうしたの? ゴミ捨て場にでも捨てに行くの?」

「ち、違いますよ!? さすがにこのまま置いておくのは怖いので、上の部屋に運んで看病した方が良いかなって思ったのですよ……」

「この男にそんなもの必要ないと思うけど……、わかったわ。運んであげるわ」



 マリナスがバーグをつまみ上げる。



「ちょ、ちょっと待ってください……。その持ち方は……」

「大丈夫よ、ちゃんと雑に運んでいくから」

「ざ、雑にじゃなくて、丁寧に運んでください……」

そろそろ転生領主側と日を分けての隔日更新になってしまうと思います_:(´ཀ`」∠):_

毎日見に来てくださっている方、一気にここまで読んでくださった方、本当にありがとうございます。

これからもよろしくお願いします。


ポーションライフの新しい情報を公開します。

よろしければ活動報告まで来てください。



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