23話
わたくしの寝室にてラウル様は寝る事になった。けど、一緒の部屋で休むのはまずいと言ってわたくしは応接間のソファで寝る。ラウル様は不満そうにしていたけど。
何とか、母にも言うと口にしたおかげでラウル様は諦めてはくれた。わたくしはまだ初夏なので夜着の上にガウンを着て毛布と掛け布団でソファに横になる。
ふうと疲労感が押し寄せて眠気もやってきた。ラウル様は寝室で今頃寝ているだろう。
そう思いながらわたくしは深い眠りに落ちていった。
ふと、わたくしは温かな何かに包まれていて無意識に擦りよっていた。すると、ぎゅっと強い力で引き寄せられる。
「…うーん。可愛い」
低い声で耳元で言われて意識が覚醒してきた。わたくしはゆっくりと瞼を開けた。目線を上げてみると淡い水色の瞳ときらきらと光る金色の髪がある。そして秀麗な顔でわたくしは体が硬直した。
「…いやああ!何でラウル様がー!!」
次の瞬間、大声を張り上げていた。ラウル様も驚いたらしくわたくしを離した。すぐに体を離して起き上がる。わたくしはベットから降りて慌てて寝室から逃げ出す。
ドアを開けようとした。けど、ノブがガチャガチャと鳴るのみで開かない。どうしてと思っていたらラウル様が起き上がってベットからゆっくりと降りる。
「シェリア。ドアは開かないよ。わたしが術で簡単に開かないようにしたから」
「だったら出してください。何で閉じ込めるような事をするんですか!」
わたくしが言ってもラウル様はにっこりと笑うだけだ。けど、ラウル様は濃い紫のガウンを着ている。
「えーと。だって、寝室に来ないシェリアが心配になったというか。風邪をひいたりしたら今度こそトーマスが黙っていないだろうしね」
「はあ。だったら出してください。これじゃあ、身支度ができません」
わたくしがキッパリと言うとラウル様は意地悪な笑みを浮かべた。
「嫌だよ。やっと、二人きりになれたんだ。これ以上ないくらいの好機なのに。出したりできない」
わたくしは子供かと内心で突っ込んだ。なんで、結婚もまだなのに。朝っぱらから手を出されないといけないのか。
大きくため息をつきながら降参するしかなかった。わたくしはラウル様にゆっくりと近づいた。
「…わかりました。ではどうしたら出していただけますか?」
「そうだな。じゃあ、まずはベットまで来てくれるかな」
わたくしは言われた通りにベットに近寄る。すぐ側まで来るとラウル様は満足そうに笑う。
「次にここに」
ラウル様は自分の膝の上を指差した。仕方なくベットに上がる。膝立ちになって彼にさらに近寄る。
室内履きは脱いでいるが。わたくしは誰もいないのだからと言い聞かせながら膝の上に移動した。
そして、胡座をかいているラウル様の上に乗る。首に腕を回した。
「うん。よくできました。わたしの口にキスをしてくれたら下ろしてあげるよ」
わたくしは二度目のため息をついた。恐る恐るラウル様の唇に軽くキスをする。ちゅっとリップ音が鳴った。が、ラウル様はもの足りないようでわたくしの後頭部に手を添えると深いキスをしてきた。
自分のとは違う情熱的なキスに体から力が抜ける。しばらく翻弄されてからラウル様はやっと離してくれた。
「…ラウル様。しばらくはキスは禁止ということでいいですか?」
「ごめん。調子に乗り過ぎた。今度からはこういう真似はしないよ」
キスが終わった後でいうとラウル様は真面目に謝ってきた。その後、ドアに掛けられた術は解かれてやっとメイアや他の侍女達が入ってくる。わたくしは身支度をしながら気をつけなければと思ったのだった。




