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19話

わたくしが熱を出してから五日が過ぎた。ラウル様からもお見舞いの品と手紙が届いた。

白い薔薇の花で棘は取り除かれている。細やかな気遣いに嬉しくなった。

これは素直に受け取りお礼の手紙をすぐに送った。メイアも何も言わない。

父や母に兄も疲労に効く食べ物や退屈しのぎにと本などをくれた。部屋にはちょっとした贈り物の山ができていた。

熱はすでに下がっていてメイアや執事たちから念のためにと療養をさせられているのが現状だった。

さすがに五日間も部屋に閉じこもっていると気分が塞ぎこんでしまう。それに気づいたのだろうか。

父がある提案をしてきた。部屋にやってきてこんな事を告げてきた。

「シェリア。もし良ければ、ラウル様をこちらへお呼びしたらどうだ。それで我が家で泊まっていただいたら良いと思うんだが」

「…ラウル様をですか?」

「ああ。しばらくお前の顔を見ていないから随分と心配なさっていてな。王宮で昨日だったかな、お会いしたんだよ。その時にシェリアの容体をきいてこられて。私がもう元気そうだと答えたらお見舞いをしたいとおっしゃられてな。それだったらとおいで願えればと言っておいたんだが。どうする?」

わたくしは父の問いかけにしばし考え込んでしまう。まあ、ラウル様とはしばらく会えていないし良いだろうと考えた。

「でしたら、ラウル様にこちらへ来ていただけるように父様から言っていただけますか」

「…シェリアがそう言うんだったらすぐに私から手紙を出しておこう。何、ラウル様だったら来てくださるだろうて」

そうですねと言って父にラウル様への連絡をしてもらったのだった。



翌日のお昼にラウル様はフィーラ公爵邸に来られた。久しぶりに会う彼は凛々しくて見とれてしまいそうになる。

「やあ。シェリア、思ったよりも元気そうで何よりだよ。熱を出していたというのにお見舞いにも行けなくて悪かったね」

にこやかにラウル様は言うと手に持っていたピンクのカーネーションの花束を手渡してくれた。

わたくしとラウル様は自室の応接間にいる。壁際にはメイアが控えていた。

「こちらこそお見舞いに来ていただけて嬉しいです。ラウル様も怪我が治って良かったです」

笑いながら言うとラウル様はわたくしの青みがかった髪を撫でた。その手つきは優しい。

「本当に君と会えなくて心配してたんだ。高熱を出したと聞いた時はさすがに慌てたよ」

「そうでしたか。ご心配をかけてしまいましたね」

「君は気にしなくていいよ。熱が下がって良かった。元気な姿を見られて安心したし」

はあと言うとラウル様は頭も撫でてくる。何だか、子供扱いをされているようだが。まあいいかとされるがままになっていたのだった。



その後、ラウル様とたわいもない話をして過ごした。エリック殿下から手紙とお見舞いの品が届いたと言う事も話してみた。

すると、ラウル様は一気に怖い顔をしてその後どうしたのかと詰め寄ってくる。

「…エリックから手紙とお見舞いの品が届いただって。シェリア、それは受け取ったのか?」

「いえ。メイアに忠告を受けてお手紙を書いて丁重に送り返しました。一応、品を受け取る筋合いではないと書いておいたのですけど」

「そうか。ならいいんだ。メイアには後で私からも礼を言っておくよ」

ラウル様は強張っていた表情を緩めるとふうと息をついた。あの馬鹿と呻いた。

「ラウル様?」

「何でもないよ。ただ、メイアの機転で今回は助かったね。でもシェリアも十分に気をつけてくれ。エリックからもう贈り物が届く事はないと思うけど」

わたくしは真剣な表情で言ってきたラウル様に頷いたのだった。

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