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14話

わたくしが目覚めた時には朝になっていた。メイアはまだ来ていない。自分で起き上がり、天蓋の薄布を引いて外に出る。

ふあとあくびをしながら窓へと近寄った。カーテンをしゃっと音を立てながら引いた。明るい日の光が目に入る。眩しくて眉をしかめた。昨日はメイアのハーブティーのおかげでよく眠れた。

気分がいいのを感じる。久しぶりに庭を散策しようかと思った。そんな風に考えていたらコンコンとドアを叩く音がした。返事をするとメイアが入ってきた。

「お嬢様。おはようございます。もう、お目覚めだったんですね」

「おはよう。メイア」

「ええ。では、洗顔と歯磨きをなさってくださいね。今日は旦那様と奥様がお嬢様にお話があるとかで。身支度ができたら食堂にお向かいください」

「わかったわ。けど、お話ね。父様と母様が珍しいわね」

そう呟いていたらメイアがテキパキと洗顔と歯磨き用の道具を差し出してきた。それを受け取るとわたくしは洗面所へと向かう。

歯磨きを念入りにして洗顔も行う。タオルで顔の水気を拭いてから歯磨き粉がついたブラシを水で洗う。一通りの事をし終えるとそのまま、寝室に戻る。

メイアが待ち構えていてわたくしに着替えを促した。今日は足首までの丈の淡い水色のワンピースだ。首まですっぽりと覆う長袖のタイプだ。

このタイプの方が割と気に入っている。メイアは地味すぎると言うけれど。それに着替えてから髪を結ってもらった。

ハーフアップにして銀製のバレッタで留めた。シンプルではあるが。これで外出しても大丈夫なくらいである。メイアに再びお礼を言って鏡台から立ち上がろうとした。けど、メイアに止められた。

「…お嬢様。お化粧がまだです」

「わかった。お願い」

仕方なく言うとメイアは嬉々として白粉をはたき始めた。眉を描き、アイラインを入れた。口紅を塗って頰紅も施した。薄化粧をしてから部屋の外に出るように言われる。もう、少し疲れてしまっていたが。それでも気持ちを鼓舞して食堂に向かったのだった。



わたくしが食堂に着くと父と母、兄のトーマスが既に揃っていた。朝食を食べかけておりわたくしは急いで席についた。

「父様、母様。兄様も遅れてごめんなさい。お話があるとメイアに聞いたのですけど」

「…ああ。シェリア、来たんだな。謝る必要はない。その、今日は王宮から夜会の招待状がお前宛に届いてな。それを伝えたかったからメイアに昨日、言付けたんだが」

「夜会ですか。その事でのお話だったんですね」

「そうだ。単刀直入に言うが。お前はどうする?」

「…そうですね。けど、エスコート役を誰にお願いしましょうか。兄様にお願いするわけにもいきませんし」

わたくしが悩みながら言うと母様が全くこの子はとため息をついた。

「貴方は鈍いわね。エスコート役にはうってつけの方がいらっしゃるでしょうに」

「あ。ラウル様ですね。すみません、忘れてました」

「…忘れてたじゃありませんよ。失礼にも程があります。まあ、婚約をしていて良かったわね。ラウル様に今回の夜会の事をお知らせしておきなさい。エスコート役もお願いするのよ」

「わかりました。母様の言う通りね。お伝えしておきます」

わたくしが頷くと執事が朝食のサラダを持ってきてくれた。それを食べるためにフォークを手に取る。食事を始めてからは静かなものだった。父様と母様がぽつぽつとお話をしてわたくしと兄が相槌を打つ。そんな風に時間は過ぎて食事はメインからデザートに移っていた。わたくしはフルーツの盛り合わせでキウイやらリンゴやらが入っている。

それらを食べながら今日の予定を練る。とりあえず、今日はラルフローレン公爵邸に行こうか。身支度はできているからお化粧を直して出かける準備をしよう。そう決めてフォークを置いた。

「ごちそうさまでした。では、失礼します。父様、母様。兄様も」

「ああ。今からどこか行くのか?」

「ええ。ラウル様のお邸に行こうかと」

「そうか。じゃあ、気をつけてな」

はいと兄様に答えて自室に戻ったのだった。

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