表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
93/104

第6章 24H Nürburgring 35

「もしかしたら、X-Bowをとらえて、さらにパスして同一周回になるかもしれないぞ。それくらい、Violet Girlの走りはすごい」

「あ、そういうこと!」

 ヤーナもマジな顔つきになった。俊哉は唖然とした面持ちになった。

「転んでもただでは起きぬ、か。見せてくれるじゃねえか」

 たとえ抜かれたところで、同一周回になるだけで、問題はないといえばないが……。プロとしてのメンツの問題だった。

 皆画面をじっと見入った。

 ピットアウトの周回を終え、雄平のX-Bowがメインストレートを駆け抜けてゆく。そこから時間を計った。

 しばらくしてViolet Girlのウラカン。

「47秒!」

 ウィングタイガーの面々は歓喜の声を挙げる。レッドブレイドは何とも言えない顔をする。

「Dragonのミスに助けられたなあ」

 優は悔しそうに言う。俊哉は顔を青ざめさせる。そのミスがなかったら、どうなっていたことやら。

 さらに次の周回を終え、メインストレート。X-Bowが駆け抜け、それからウラカン。

「43秒!」

 おおー、っとさらにウィングタイガーの歓声。2周で7秒縮めたのだ。これはとんでもないことだ。

 風画流が実況する。

「おおーっと、ウィングタイガーのViolet Girl選手、ファーステストラップです! King sword選手の出したタイムを2秒半上回っています! ここに来てとんでもない速さです!」

「Violet Girlはサイボーグかアンドロイドか!?」

 優は思わずそんなことを漏らした。

 さて、どうする? メンツか、順位か。

(順位だ)

 優は腹をくくった。ヤーナを見据える。

「雄平は大丈夫だろうが、来るとしたらお前の時だな。追いつかれても、塞がず行かせろ。さすがに順位はひっくり返らんだろうからな」

「……」

 ヤーナは即答をせず、優を見返していた。

「おい」

「わかった、わかった。そうするよ」

「頼むぞ」

 ヤーナはしぶしぶうんと頷いた。優はさすがに苦笑も出来ず、眉をひそめた。

(こりゃだめだろうな)

 無理もないと言えば無理もない。ヤーナとDragonは不思議な縁のある、因縁のライバルだ。 

「雄平、遅いぞ。もっとペースを上げろ」

「え、遅いっすか?」

「気を引き締めろってことだ。1位に浮かれるなよ」

 本当のことは言わず、そう言って優は雄平に発破をかけた。

「了解!」

 下手な口答えはせず、雄平は気を引き締めなおし、攻める。

 だが、それでも……。

 交代してから4周目のメインストレート。X-Bowがスタートラインを跨いでから、ウラカンがスタートラインに来るまで……。

「40秒!」

 スマホのストップウォッチ機能で時間差を図り、ウィングタイガーの面々は喜色を浮かべる。控え室の雰囲気もよくなる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ