表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
88/104

第6章 24H Nürburgring 30

「まあ完走が大前提だけど。周回遅れからは脱出したいのよね。みんなもそうでしょ!」

「それですか」

「当たり前じゃん! 完走しても周回遅れでチェッカーなんて、やっぱり悔しいじゃない」

「そうですね、さきほどAVP Gaming様とM&Dモータースのマ社長から、リスクがあっても、もっと攻めていいのではと、メールをいただきまして」

 と、優佳が事情を話し。ソキョンが自分のスマホでそのメールを見せる。韓国語なのでアイリーンとカースティにはわからなかったが……。翻訳アプリの機能でカメラ越しに見れば、確かにそんなことが書かれてあった。

 ちなみにAVP Gamingは台湾の会社だが、やりとりは韓国支社とだ。

「それなら、やりましょう。私たち、もっと自分を信じてもいいのよね」

 言ったのはアイリーンだった。カースティは龍一を見つめた。

「そうですね、臆病な気持ちに負けたらだめなんですよね」

「Battle against myself!」(自分との戦い!)

 カースティは笑顔をぱっと輝かせて言った。夜明けとともにつぼみが花開いたような、いい雰囲気が控え室に流れた。

 ソキョンはフィチにその旨伝える。

「了解です!」

「ああ、ところでさ。後ろどう? タイム差縮まってんだけど」

 ソキョンの言う通り、パスしたベントレー・コンチネンタルとダッヂ・ヴァイパーGTS-RのAIカーが、ペースを上げてきているのだ。

「丁度いいところです。逃げ切ってやりますよ」

「頼んだよ!」

 改めて1位レッドブレイドのKTM X-Bow GT2と、ウラカンの位置を確かめる。コース上では、2分の差だ。この2分を、ゴールの15時までの間に逆転するのだ。

 ニュルブルクリンクのような長いサーキットでは2分の差は短めではあるが、快調なレッドブレイドだ。いけそうでいけない、いけなそうでいけそうな、そんな感じで。いけそうなことに賭けた。

 午前7時に龍一からフィチ、ヤーナからアンディへと交代し。

 時刻は午前8時に差し掛かっていた。そのタイミングでまずX-Bowがピットインしタイヤ交換と燃料補給をしてピットアウト。およそ2分遅れでウラカンがピットインし、作業を終えてコースイン。

「おまけがつきそうです!」

「ならおまけをオプションにしてX-Bowを追うんだよ!」

「了解!」

 オプションとはシューティングゲームで自機について援護射撃を行いゲームを有利に進める子機のような存在だ。それに例えて洒落たのだ。

 それだけAIカーの2台は良いペースで走っていた。フィチも力走しているが、どこまで持つか。

「フィチがそんなことを言うなんて、相当だな」

「そうね、下手したら順位下げちゃうかも」

 カースティと龍一はそんな言葉を交わす。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ