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第6章 24H Nürburgring 23

 そして、AI・GTカーも徐々に順位を上げてきていた。

 トップのベントレー・コンチネンタルは9位まで上がっていた。

 午後10時へと、時刻が迫りつつある。1位のウラカン、ピットイン。タイヤを交換する間に2位のX-Bowがピットイン。ピットアウトし、第2コーナーを曲がるころに、X-Bowのタイヤ交換が終わり、ピットアウト。

 タイヤはレインタイヤ。雨はしとしとと降り続ける。霧はまだ濃く、視界は悪い。

 そして午後10時を回った。

「風画流、ただいま戻りました!」

「流さん、お帰りなさい。では、僕はこれにて休憩に行かせてもらいますね」

「はい、ごゆっくり!」

 実況のVチューバ―も交代する。

「1位、ウィングタイガーのウラカン。ドライブするのはDragon選手。2位はレッドブレイドのX-Bow。ドライブするのはHoney Bear選手。その差は一時より縮まっていますが、そこからさらに縮められていません。とはいえ、Dragon選手も必死の走りを見せていますが、ツーリングカーで勝った時のような勢いは感じられません。雨や霧のせいでしょうか?」

 風画流はそう実況する。

 ソキョンは眉をひそめる。優佳は心配そうにする。他のクルーも画面に見入る。

 アイリーンとカースティは、体力温存のためにベッドに横になった。次にドライブするフィチは心身ともにはっきりさせたくて、起きてクルーとともに画面に見入る。

 タイムでも、龍一は一時はカースティより遅めだった。ヤーナは同じくらいだった。今は龍一もタイムを上げて、差を維持しているが。

「プレッシャーかな?」

「新人でもあるまいに」

 フィチはやや心配そうにし、ソキョンは厳しめな態度だった。だがソキョンの言う通り、龍一はもう新人ではない。プレッシャーに圧されて調子が悪いでは困るのだ。

「ヤーナ、多少の無理は出来そうか?」

「わざわざそれ聞く?」

「はは、そうだったな。頼むぞ」

 レッドブレイド側は、手応えを感じているようだ。3位との差はもっと開いて、縮まらない。この調子を維持すれば、最悪2位はいけそうだった。が、それで満足してはいけないのだ。

「まあでも、久しぶりのトップにプレッシャー感じてんのはあるね」

 ソキョンはぽそっとつぶやく。フィチと優佳がうんと頷く。

 ツーリングカーで勝ったとはいえ、勝つ感覚は戻り切っていないのかもしれない。

 スプリントレースは瞬発力で勝てるが、耐久レースはその言葉通り耐える力が試される。

 タイヤ交換をして、時刻が変わって、1週、2週と、周回を重ねてゆく。

 控え室のクルーでも、椅子に座って画面から顔を背けて目を閉じ休む者も見受けられた。

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