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第6章 24H Nürburgring 16

 と、3人の選手に言い。ヤーナにアンディ、俊哉は「はい」と頷いた。

 リアルもForza Sim Racingのゲーム内も、夜の帳が落ちて真っ暗になっていた。月が無数の星々を引き連れ、夜空を彩る。一応、コースわきにも外灯がありコースを照らし出すのだが、当てにはできない。夜闇を照らし出すヘッドライトと自分の目が頼りだった。

 観客席にも明かりがともされ。光るチューブでニュルブルクリンクのコース図がつくられて。夜闇の中、光りを放つ。

 トップをひた走るカースティの前に4台のスポーツプロダクションカテゴリーのマシンが現れた。

 先頭はパープルメタリックのFD3S/RX-7、次に黒いSW20/MR2、次に青いFC3S/RX-7、その次に赤いNA1/NSX。

 コースは終盤、イン側にバンクのついた左コーナーの、クラインズ・カルッセル(Kleines karussell)。そこから立ち上がり、コーナーを数個抜ければ、ロングストレートだ。

 カテゴリーに勝るので、無理をせずそのロングストレートでスポーツプロダクションの日本車4台を抜き去ってゆく。

「Good bye」

 カースティは小さくつぶやく。

 ビルシュタインブリッジの丘を下るころには、FD3S/RX-7ら4台のマシンのヘッドライトは闇に消えて見えなくなっていた。

 メインストレート。バックマーカーをかわしながらのひとり旅。第1コーナーに差し掛かるころに、雄平のX-Bowがメインストレートに入った。

 ここから差は広がってはいなかった。ヤーナに言われた通り、雄平も意地を見せ、差を縮められないものの、引き離されずに、差を維持させていた。

「とはいえ……」

 ソキョンは順位表の変動に目をやる。優佳も順位表を見て、うーんと声を漏らす。

「AIカーが順位を上げてきていますねえ」

「特にAIのトップの上がり具合がやばいわ」

 マルタも順位表の変動を見て渋い顔をする。

 AIのトップに立っているのは15位、グリーンのベントレー・コンチネンタル。

 以下、他のAIカーもプレイヤーカーの下位グループを翻弄して。他のAIカーも徐々に順位を上げていた。

 レース終盤にはトップ争いに食い込むか可能性もあった。

「まあ、後ろは見ない! 前向こう!」

 AIカーが上がってきているとはいえ、過剰に警戒するのもよくない。今カースティがいい感じで飛ばせている。雄平は差が開かないようにするのが精一杯のようだ。

「……あ」

 ふと、カースティはあることに気付いた。あれだけ煌々と光っていた月が見えなくなっていた。星も。隠れた。ということは……。

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