第6章 24H Nürburgring 1
迎えたDay6。
仏教徒のマルタは朝6時に起床し、朝日に向かい合掌礼拝し、健闘、勝利を祈った。
部屋の暖房は効いているが、敢えて窓を開け、ひんやりとした秋の空気の涼しさを味わい。深呼吸する。
他の面々も朝6時台のうちに起床し、身繕いをして、ホテルの1階レストランで朝食をとった。
ミーティングはビル入りしてからするので、朝早くからチームメンバーが集まって、という予定はなかったのだが。おのずと集まり、自然とミーティングとなった。
「このレース勝つよ」
「勝とうね」
「うん、勝つぞ」
「勝つぞ、勝つぞ、勝つぞ!」
それぞれが勝利を心に抱いて、思いを言葉として発する。
ビル入りは午前8時から12時までと決められていた。朝はゆっくりして11時台にビル入りすることも出来たが。
多くのチームが8時を回るとともにビル入りをして。エナジードリンクでエナジーチャージもする。
ウィングタイガーもビル入りした。
プライバシーはないが控え室でも休養は出来る。早めにビル入りし、場の雰囲気になじんで、よい緊張感を持ってレースに臨みたかった。
ちなみに、時間まで、午後1時半まで練習走行は出来た。
さすがに練習走行はライブ配信されない。ライブ配信はレースが始まる1時間前の午後2時から予定されていた。
もちろんレッドブレイドもビル入りして。アンディが練習走行をしている。
ウィングタイガーはアイリーンが練習走行をしている。
幼いショーンはアレクサンドラが寄り添っている。ライブ配信はされていないが、ノートPCに控え室に置かれたテレビで、ゲームプレイ画面で走りを見ることが出来た。
ショーンはテレビをじっと見据えていた。幼い彼は母の走りを見て、何を思うのか。
残りの選手3人は耳栓をし、アイマスクを付け、ベッドで横になっている。体力の消耗を抑えるためだ。
アイリーンが1時間ほどで走り終えると、カースティと交代し。アンディも俊哉と交代した。
その走りも終えて、昼になり。昼食をとる。
昼を回ると練習走行をする選手も少なくなってゆき。1時半になると、風画流の声で。
「試合会場の選手の皆さんに申し上げます。練習走行を終えて、チーム控え室にお戻りください」
とアナウンスされ、次いで、
「ビル内では試合規定に従った行動をしてください。これに違反すれば、失格もあるペナルティーを受けることもあります。よりよい試合運営へのご協力をお願いします」
と夜香楠の声でのアナウンスがあった。




