第5章 Day4 and Day5 6
控え室ではクルーが鋭い眼差しでノートPCを睨むように見据え、無線で指示を、ある時は強い言葉での檄を飛ばし発破をかける。
予選トップタイムはレッドブレイドのKTM X-Bow GT2だったが、ウィングタイガーのランボルギーニ・ウラカンに代わった。走っているのはViolet Girlことカースティだ。
この時のレッドブレイドはKing swordことアンディだった。
トップがウィングタイガーのウラカンになってからしばらくして、レッドブレイドのX-Bow GT2になった。
そうかと思えば……。という風に、激しいトップタイム争いが繰り広げられていた。
予選は各チームおよび選手、ソロで走るが。ライブ配信ではTV観戦視点となり、マシン同士は接触せずゴーストとなって透き通ってゆく。
朝に予選が始まり、正午の昼が来て。午後に入って。
その間、ウラカンとX-Bowとが入れ替わる好レースを繰り広げていた。
ゲームの中では、昼の時間で固定されている。
やはり明るい方がコースも見やすく、ベストを尽くせる。しかし夜間の練習はどうするのか、と思うだろうが。
前日のDay4で、持参したコンソール機で、ノーマルコントローラーながら夜間設定で夜のニュルブルクリンクを走り込んで、感覚を掴んでいた。
サブスクでまだ途中のドラマなどを観ようと思ったが、思い直してその練習に参加した選手もいた。
基本休みの日はやはり休みなので、チームからは別に指示はない。せいぜい騒ぎを起こすなくらいだったが。多くの選手が自主的に練習をしたのだった。
プロとしての自覚もあれば、ゲームが好きだから、というのもあり。
ともあれ。Day5、24時間耐久レースの予選日は、ツーリングカーと同様に、ウィングタイガーとレッドブレイドが熾烈なトップ争いを繰り広げていた。
アイリーンがトップタイムを叩き出した、と思えば、俊哉も負けじと抜き返し。
「なかなかやるじゃない!」
と、アイリーンは悔しそうにしつつも感心したものだった。
実業団での実績を認められプロに転向する選手もいる。が、俊哉は本業が好きでプロ転向の意思はない、というタイプ。プロキラーのトップアマ選手だった。
ちなみに勤務する会社からは休暇をもらっている。
「もったいないっすねえ。俊哉さんもいい選手なのに」
と、雄平はこぼす。
「まあ仕方ない。才能以前に本人の意思があるからな」
と言いつつも、優ももったいなさそうだった。
時間は刻々と過ぎてゆく。




