第4章 Touring car final 18
インタビューするVチューバ―ふたりも微笑ましいやら苦笑するやら。
「えー、なんだかおかしな成り行きになりましたが、続いて2位のHoney Bear選手、ご感想を」
と風画流。
「そうねえ、そりゃあ私も勝ちたかったわ。ウィングタイガーは因縁のチームだからね」
「因縁というのは、Forza E World GPと、Rally Masters 4 Japan Cupの試合のことですね」
「そうだね。だから日本リーグでリベンジ出来て、ここでとどめ刺そうと思ってたけどね。なかなかしぶといわ。ねえ!」
と、龍一の肩を軽く叩いた。叩かれた龍一は反応に困って苦笑。
会場はどっと沸いた。
ウィングタイガーのふたりは真面目で、こういったことではヤーナにはかなわなかった。
「ありがとうございました。では、1位のDragon選手、日韓チャンプを抑えての、大きな勝利です。その勝利の喜びをお聞かせください!」
と夜香楠。
インタビューされた龍一は、はい、とまず返事をして。
「リーグ戦では苦戦して、チームに迷惑をかけてしまいましたが。その埋め合わせが少しでも出来たかなと思います」
「本当に、まさに復活ですね。気持ちのこもった走りだったと思います」
聞く優佳は涙目だ。彼女も龍一とともに悔しさを共有していただけに、この勝利の喜びは今までで一番大きかった。
「チームやファンの皆さんに感謝したいと思います。ありがとうございました」
龍一はぺこりと頭を下げた。まさに、実るほど頭を垂れる稲穂かなであった。
(まあでも、もうちょっと面白みがあってもいいんだけどねえ)
ソキョンは好もしい印象を覚えつつ、そんなことも思った。
「ありがとうございました! あらためて、表彰台の3選手に、また他のすべての選手の健闘をたたえて、拍手をお願いします!」
と風画流。
その通り、ビルの中の各所で拍手が起こった。
表彰式は終わり、チームは控え室に戻って。あらためて、戦いをねぎらった。
実況のVチューバ―からお知らせの放送があった。まず夜香楠。
「本日の日程は全て終了いたしました。急かせて申し訳ありませんが、会場の皆様には、なるだけ早めの退去をお願いいたします」
「明日は休養日なので、会場入りは出来ません。お忘れ物のないよう、お気を付けください。次に会場に入れるのは明後日の午前の7時半からとなります。チケットのQRコードを誤って消さないようご注意ください」
それからふたり同時に。
「本日はありがとうございました! お帰りお気を付けください」
と締めくくった。
幸い撤収作業は混乱なく、スムーズに進んで。しばらくして、ビルから明かりが消え。
Day3は終わった。




