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第4章 Touring car final 15

 より上手く加速を乗せられたか、ヤーナのRS3 LMSが迫り。シビックタイプRの左側に着こうとする。それを察し、龍一はすぐさまラインを塞ぐ。

 すると、その右側にフィチのヴェロスターNが着けた。ウィングタイガーの2台が並ぶ。

「……」

 龍一はさらに左側に寄る。すかさずヤーナのRS3 LMSがその右横に着いて、シビックタイプRとヴェロスターNの間に入った。なかなか目ざといものだ。

 これでトップ3台が横に並んだ。

 ストレートはやや上り坂になり、ビルシュタインブリッジのある、上り切った丘の左コーナーから急な下り坂という、ジェットコースターなレイアウトだ。

「コーナーは、インが強い!」

 ソキョンは言った。

 その通り、丘の高速左コーナーで、シビックタイプRがノーズひとつ抜けた。

 下りで一気に加速する。ずっとフルスロットルだ。マシンはくうを震わせる咆哮を放つ。

 下り切って、上り坂になる。引力に引かれやや加速は鈍るが、フルスロットル。画面右下のタコ―メーターはトップエンドでレブリミッターを効かせまくっている。

 シビックタイプRがノーズ抜けて、RS3 LMS、ヴェロスターNが並ぶ。

 上り坂の先に、左コーナー。ここで、シビックタイプRが完全に前に出て。咄嗟に後ろのラインを塞ぐ。

「いけー、やっちゃえー!」

 とタブレットを抱いて吼えたのは、優佳だった。普段真面目でおとなしい彼女がそんな声を出すのは珍しいことだったが。龍一とともに日本リーグを戦い、悔しい思いをした分、爆発を禁じ得なかった。

 ノルトシュライフェ終盤のS字を抜ける。シビックがトップ。RS3 LMS、ヴェロスターNと続き。

 コントロールタワーが、その壁のForza Sim Racingのロゴが見えてくる。メインストレートだ。

「トモダチ、頑張る!」

 ふと、カースティがそう励ましてくれたことを思い出した。

「頑張るよ……」

 フルスロットル。シビックタイプRは咆哮し、ゴールめがけて疾走する。

 夜香楠と風画流が絶叫するように実況する。

 後ろからRS3 LMSとヴェロスターNが迫る。

 差は……、縮まらない。

 上手く加速出来た。

 右手にピット、左手に観客席。視線の先に、ゴールライン。

 アクセルを踏みつける。

 視界が変わる。TV観戦視点のリプレイでゴールラインを跨いだホンダ・シビックタイプRが映し出され。画面真ん中に、終了1位と表示される。

 ヤーナのアウディ・RS3 LMSは2位、フィチのヒョンデ・ヴェロスターNは3位。

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