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第4章 Touring car final 12

「トップのSpiral K選手、GPコースでの区間タイム、今までのレースどころかクオリファイをも上回るタイムが出ました!」

 と風画流は大きめの、驚きを湛えた声で実況する。決勝レース最終ラップで、予選より速いタイムを叩き出すことがどれだけすごいか。

 観客たちも、おおー、と声を上げる。

 4位と5位の争いも激しさを増し。ノルトシュライフェに入ってすぐの左コーナーでGhost_SimRacerが、ついに雄平を抜いた。しかし次の高速S字区間ですぐに抜き返した。

 トップ3台はそのころ低速コーナー区間を抜け、フルークプラッツ (Flugplatz)に入るところだった。ここからしばらく高速区間だ。

「……」

 龍一は虎視眈々とヤーナの隙をうかがうが、もちろん簡単に見せはしない。

 ヤーナも同じようにフィチの隙をうかがう。

 が、Yokohamaのブリッジを抜けての下り、ついに仕掛けた。ぴったり貼りつき、下り切って、上って。左コーナーで。ギリギリのレイトブレーキング。フロントタイヤが一瞬ロックして、煙が出る。RS3 LMSはヴェロスターNに並んで。

 ついに抜いた。

「シーバル!」

 フィチは韓国語で思わず畜生とつぶやいてしまった。

 まさかの事態が起こった。RS3 LMSに続き、シビックタイプRまでもが並んで、RS3 LMSと一緒にヴェロスターNを抜き去ったのである。前にぴったり貼りつき、貼りついたまま続いてヴェロスターNに並んだのだ。

 夜香楠が実況する。

「トップ争いに、ついに順位の変動がありました。Spiral K選手をぴったりマークしたHoney Bear選手に、Dragon選手。そろってSpiral K選手をパス!」

 継いで風画流。

「しかしSpiral K選手も負けじと食い下がります。このトップ争い、最後までわからない展開になりそうです!」

 ついにヤーナがトップに立ち、レッドブレイドのクルーは、おお! と興奮を露わにし。

 ウィングタイガーは、表情を変えず、静かに成り行きを見守る。が、ソキョンは決意を固め。

「トップに出るのよ! ガンガン行って!」

 と発破をかけた。

 もとよりそつもりと、龍一はヤーナをプッシュする。フィチは龍一をプッシュする。

(オレだって、オレだって……。勝ちたいんだ!)

 龍一は心の中で叫んだ。今年はリーグ戦っで1勝も出来なかった。その悔しさをこのレースにぶつけるんだ!

 S字を抜け、ややフラットな区間になり。高速左を駆け抜け。低速の左。ヤーナのRS3 LMSはインを閉じ、後ろに並ばせない。

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