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第3章 Race of AM 3

 時折、オンラインのマルチプレイヤーレースに参加をしたり、他のプレイヤーとタイムを競うタイムトライアルモードのRivalsでタイムを刻んだりしている。

 プロを引退したとはいえ、ゲームを愛するいちプレイヤーとしての魂は、消えることはなかった。

 優佳はタブレットでこの様子を撮り、チームのSNSにアップする。彼女も試合会場に入れば、己の仕事に打ち込む仕事人となった。

 投稿にはLikeもつく。チームとファンが共戦していると感じられることであった。意地悪な人にDislikeもつけられるが、無視した。

 レッドブレイドも同じように円卓でみんなして顔を向き合わせていた。

「遠慮はいらねえ。ガンガンに行け!」

 と優は言った。

 スポンサーから差し入れされたゾンネエナジーをビル入りすると同時に飲んで、エナジーもチャージした。

「完走狙いなんてせこいことはいわず、大目に見てやるから、徹底的に攻めな」

「はい!」

 ヤーナと雄平は威勢の良い返事をする。

 長いニュルブルクリンクを3週と聞けば長丁場のように思えるが、時間にすれば30分ほどの、スプリントレースである。

 初っ端から攻めなければいけない、ワンミス命とり、挽回のチャンスはないと思わなければいけなかった。

 時間になって、選手たちは部屋から出る。クルーは激励して見送る。

 午前10時にもなれば第1レースの選手たちは皆出て行っていて。第2グループの選手たちが所定のシムリグにスタンバイする。

 自分のポジションに合わせて調整し、感触を確かめ。ゲームをスタートさせて。練習走行をする者もある。

 龍一はこのレースで人生が決まると思って取り組んでいるが。もちろん他の選手だって同じだ。

 第1レースで13位以下になってしまった選手は、耐久で挽回しなければ、チームからクビにされるかもしれない。

 これに関してはソキョンは厳しいもので、

「ツーリングカーも、耐久も、わかった!?」

 と言っていたものだ。

 トップチームに所属する選手としてふさわしい成績が求められるのは、当然のことだ。その条件を満たせなければ、クビもやむをえない。龍一だって、それを承知でこの活動に取り組んでいるのだから。

 スタート時間が近づく。第1、第2のレースは、セカンドクオリファイのようなものだから、オープニングセレモニーはなかった。

 もちろんライブ配信はされている。

 龍一とフィチに、ヤーナ、雄平はアンディから受け取ったスイカの断面のピンバッジを左肩に着けている。

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