表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
103/104

第6章 24H Nürburgring 45

 その時ヤーナは、X-Bowは、丁度いいところ、終盤のロングストレートだった。コース上5秒差前でウラカンがいる。

 最終コーナーを抜け、ウラカンがメインストレートを駆け抜ける。それから5秒して、X-Bowがメインストレートに姿を現した。

 風画流が実況する。

「優勝は、レッドブレイド! 今ゴールラインにいたり、チェッカーを受けました!」

「長い長い24時間耐久レースも、ついにゴールです。X-Bowがチェッカーを受け、各車チェッカーを受けてゆきます!」

 と、夜香楠が話を継いだ。

 レッドブレイドの面々は狂喜乱舞だった。1位だ、優勝だ。Forza Sim Racing、日本リーグでチャンピオンとなり、シーズンの締めくくりとなるこの耐久レースでも勝った。まさに狂喜乱舞であった。

 シムリグで、ヤーナは拳を握り締め、タトゥーの入った左手を高々と挙げた。

「やったわ、勝ったわ!」

 絶叫した。抑えきれない感情が爆発する。トップ3の選手はスタッフに指示され、表彰式スペースへと移動した。

 ヤーナらトップ3の選手はライバルのシムレーサーからも拍手を受けて、スペースへ向かった。

 ニュルブルクリンクは長い。なので、チェッカーを受けたら、自動終了となって。画面は待機画面に変わった。

 X-Bowがチェッカーを受け、およそ8分弱でウラカンも8位でゴールし。レースは自動終了、待機画面となった。

 夜香楠が実況する。

「長い長い24時間耐久レースが終わりました。本当に素晴らしいレースでした。……ああ、なんと言えばいいのか。実況の僕が感激しても仕方ないのに、どうしても感激して、言葉になりません」

「私もです。このお仕事のオファーを受けた時、新しい挑戦だと思ってお引き受けしたのですが。感激しちゃって、私も言葉がありません。選手やクルーの皆様も、本当にすごいです」

 と、風画流も声を詰まらせた。

 4位以下の選手は、控え室へ戻るよう促されて、戻っていった。それと入れ替わりに、トップ3のチームのクルーたちが会場に入っていった。

「お疲れ。いいレースだった」

 優は龍一とすれ違いざまに握手を求めて手を差し伸べた。

「こちらこそ、ありがとうございます」

 龍一は差し出された手を握った。それから、レッドブレイドの他の3選手やクルーと握手を交わした。

「次は……」

 という話はなかった。出来なかった。

 チーム残留がならないのは、皆わかっていたので。無難に労い合うしかなかった。

 控え室へ戻れば、拍手で迎え入れられた。

「今まで、お疲れさん。よく頑張ってくれたわ」

 ソキョンはそう言い、龍一と握手を交わし。それからフィチ、アイリーンにカースティ、優佳やアレクサンドラにマルタ、ショーンらと、握手を交わし合った。

「こちらも、今まで、お世話になりました」

 握手を交わし終えて、龍一は深々とお辞儀した。

 それから、皆で表彰式を見届ける。

 レッドブレイドの4選手、ヤーナ、アンディ、俊哉、雄平らが、カップを持ち上げる。

 本当なら自分たちがしたかったことだ。それを他人がするのは、やはり悔しかった。そこで、やっぱり自分は負けたんだと、実感した。

 健闘を称えつつも。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ