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【Web版】俺の『運命の赤い糸』に繋がってたのは、天敵のような女子だった件  作者: 赤金武蔵


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第28話

   ◆



「…………」



 部屋で1人、ベッドに寝そべり天井を見上げる。

 本を読んでも、ゲームをしても、飯を食っても、昼間のことが忘れられない。


 弱ってる久遠寺の顔。

 はだけた胸元。

 熱く火照った手。

 そしてほんの少しだけ見えた、本音。



「〜〜〜〜っ!!」



 じたばたじたばた!

 くそっ、何だあれ可愛すぎか!?

 熱を出すと幼児退行するのも可愛いけどっ。意識が朦朧としている中少しだけ見せた本音!


 顔面を枕に押し付け。



「ぬおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッッ!!!!」



 意味もなく絶叫。

 枕で声を抑えてたのに思ったより響いてたらしく、隣の部屋の琴乃が、木刀を持ってどたばたと突入してきた。



「おおおおお兄、大丈夫!? 泥棒!? 強盗!? 殺人鬼!?」

「だ、大丈夫だ。大声出して悪い……」

「ほ、よかったぁ。ビックリしちゃったよ」



 へなへなと、涙目で座り込む琴乃。

 いや、本当ごめん。悪いことした……。

 座る琴乃に近付くと、「ん……」と腕を伸ばして来た。



「琴乃、年齢を考えなさい」

「んーっ」

「……全く、しょうがねぇな……」



 いつまで経ってもお兄ちゃん離れできないんだから。

 脇に手を入れて、抱っこする。


 琴乃は年齢の割に身長も見た目も大学生っぽい。それなりに体重もあるが、俺が鍛えてるからか簡単に持ち上がった。



「わーい! お兄の高い高い久々ー!」

「そういや、お前高い高い好きだったな。それがこんなに大きくなって……」

「ぶーっ。それは重くなったって言いたいの?」

「違う違う」



 半分は思ったが。

 と、急にしおらしくなったのか頬を赤らめると。



「と言うか、その……下ろしてくれると嬉しい、です」

「ん、そうか? 前はもっとって駄々こねてたんだぞ、お前」

「いいからっ」



 ……もう高い高いは嫌なお年頃なのかもな。

 琴乃の成長が見れて嬉しいような、寂しいような。

 ゆっくり下ろしてやると、まるで身を守るようにササッと胸を隠した。



「えっち……」



 ……ああ、なるほどそういうことね。



「はっ」

「鼻で笑われた!?」

「そういうのは自分の運命の人にやりなさい」



 デコピンくらえ。



「あいたっ。むーっ、こんな美少女の横乳を触っておいてその反応……お兄、ホモ?」

「実妹に対して反応したらド変態過ぎるだろ」

「確かに(笑)」



 かっこわらを付けるな。



「あー、でもそっかー。そーだよなー」

「……何ニヤついてやがる」

「お兄には梨蘭たんっていう可愛い運命の人がいるから、私程度じゃドキドキしないかーって思って」



 ぐっ……今そこを突かれると、リアクションしづらい……。



「ところで、お兄」

「なんだよ」

「梨蘭たんと何かあった?」



 ……エスパーかこいつは。



「さっきの雄叫びも、梨蘭たん絡みなんでしょ?」

「……どうしてそう思う」

「わかるよー。何年お兄の妹して来てると思ってるの」



 こいつ俺のこと好きすぎじゃね。

 悪い気はしないけど。俺も琴乃のことは好きだし。勿論兄妹として。



「……今日、久遠寺が風邪で休んでさ。プリントを渡しに行ったんだよ」

「おおっ、それでお見舞いに行ったのね」

「ああ。で、弱ってるあいつを見て思ったわけだよ」



 たっぷりタメを作り。

 そして。






「──あ、こいつ可愛い、って」

「なんだ、ノロケかよ」






 ノロケとらんわ!

 ……え、ノロケてないよね?


 琴乃は呆れたように息を吐き、俺のベッドにダイブした。



「まあ梨蘭たんが可愛いのは認めるけどね〜。お兄を取られちゃったみたいで寂しいよ」

「安心しろ。俺はいつまでもお前の兄ちゃんだぞ」

「うわーシスコンきもー」



 こいつはっ倒してやろうか。

 ニヤニヤしている琴乃のデコを叩き、椅子に座る。

 脚をぱたぱたさせて鼻歌を歌う琴乃を見るが、思い出されるのは風邪で弱った久遠寺のこと。

 毒されてんな、俺も。


 ……あれから時間は経ったけど、熱は引いたんだろうか。

 それともまだ熱があって寝込んでるかも。

 ……とりあえずメッセージだけ送っておくか。



 暁斗:お大事に

 暁斗:(犬が飛び跳ねるスタンプ)



 こんなもんか。

 あいつも、あのこと夢だって思ってるみたいだし。



「ねーお兄、暇ーかまってー」

「今年受験だろ。勉強しなさい」

「まだ余裕だよ。それにいざとなったらお兄に教えてもらうし」



 初っ端から他力本願じゃねーか。

 確かに琴乃は地頭はいい。勉強しなくても、学年で上から数えた方が早い位置にいる。

 ……全く、しょうがねえな。



「少しだけだぞ」

「やった! お兄の私に甘いとこ、大好き!」

「厳しくしてやろうか?」

「そしたら嫌いになるもん」

「嘘ですごめんなさい」

「にししー。そーいうところも大好きだよん」



 うぜ……。

 ん? スマホが鳴って……ああ、久遠寺か。



 梨蘭:(犬が「Thank You」と言ってるスタンプ)



 ……まだ文字を打つだけの元気はないみたいだ。

 明日は、学校で会えるといいな。



「お兄、リビング行こー」

「へいへい」



   ◆その頃の梨蘭◆



「あああああああああ!?!!?!? 『お大事に』ってぇ! 真田から『お大事に』ってきたああああああああ!!!! ぬへへへへへっ、うひょおおおおおおおおっ!!!! あっ、また熱出てきた……」


(リラ、ちょろいなぁ……そんなところも可愛いけど)

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[良い点] チョロインてぇてぇ
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