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【Web版】俺の『運命の赤い糸』に繋がってたのは、天敵のような女子だった件  作者: 赤金武蔵


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第212話

 書籍版は、1週間の売上が勝負となります。

 そして書籍版の売上は、Web版のモチベーションにも繋がります。

 明日で1週間……! 是非ともご購入のほど、よろしくお願いします!!

 とりあえず朝彦を先頭に、ゲーセン内を練り歩くことに。

 朝彦にとっては宝の山みたいで、あっちを見てもこっちを見ても目を輝かせている。



「本当にゲームが好きなんだな」

「はい! アーケード版から移植されたゲームは、ほとんどクリアしました!」



 家庭用に移植されたゲームって、一体いくつあると思ってんだ。さすがジョーテラの御曹司。金持ちすぎる。


 店内は手前がクレーンゲームコーナー、奥に進むと右側が音ゲーコーナーで、左側がアーケードゲームコーナーになっている。

 エスカレーターを登ればクレーンゲームコーナー。

 受付を通り、エレベーターで上がれば3階がカラオケとボウリング、4階がダーツとビリヤード、5階がバッティングセンターだ。


 多分、駅中にあるゲーセンの中では1番でかいんじゃないだろうか。



「あ、暁斗っ。すごい、すごいわっ! すっごく大きい……! 大きすぎてドキドキしちゃう……!」



 余りのデカさに、朝彦だけじゃなく梨蘭もちょっと興奮気味だ。

 別に他意がないのはわかってるけど、言い方に俺がドキドキしてしまったのは内緒だ。



「あ、朝彦。どれからやる?」

「…………」

「……朝彦?」

「……僕は、天国に来てしまったのですね」

「死んでねーわ。あと付き添ってる俺らも勝手に殺すな」



 天国がゲーセンとか嫌すぎる。



「それでどうする? 朝彦が決めていいぞ」

「そ、そうですね……なら、最初はクレーンゲームがやりたいです! オンラインでしかやったことないですし!」

「お、おう」



 今どき、クレーンゲームはオンラインでもできるが……そんな自信満々に言われるとちょっと悲しくなるな。


 ひよりが朝彦を連れてクレーンゲームコーナーに向かう。

 と、梨蘭が俺の袖を引っ張ってきた。



「ねえ暁斗。くれーんげーむって何?」

「えっと……簡単に言えば、アームを動かして人形やカバン、フィギュアとかと景品を取るゲームだ」

「????」



 首をこてんと傾げる梨蘭可愛い。



「実際に見せた方が早いか……よし、行くぞ」

「え、ええ」



 梨蘭と手を繋ぎ、ひよりと朝彦の後について行く。

 既に2人は3本アームのクレーンゲームで、巨大な猫ぬいぐるみに挑戦していた。



「むむむむむっ」

「がんばれっ、がんばれアサたんっ」



 アームが上手く猫の隙間と頭を掴む。

 が、掛かりが甘くするりと落ちてしまった。



「惜しいわね」

「ま、確率機なんてそんなもんだ」

「確率機?」

「確率でアームの掴む強さが変わるんだ。だからああやって隙間にアームを入れたりして、少しでも取れるよう工夫してるんだよ」

「それって、下手くそだったらいつまでも取れないんじゃ……?」

「察しがいいな。上手くいったら数百円で取れるが、下手だったら1万円掛けても取れないぞ」



 俺も、トータルで10万円くらい吸い込まれていったな……ダメだ、考えないようにしよう。



「不思議ね。なんで1万円も掛けるの? この人形、調べたけど3000円で買えるわよ?」

「ぐはっ!?」

「リラたんサイテー!」

「梨蘭、その現実は余りに多くの人を傷つけるからやめなさい」

「ご、ごめんなさい……?」



 全く。これだからゲーセンの楽しさを知らない若者は。

 いや俺も若者だけど。



「確かに金を払えば簡単に手に入る。でもお前は、金で手に入る栄光を誇らしいと思うか?」

「え、何? なんで急にそんな壮大な話に?」

「栄光というのは、困難な道を乗り越えてこそ誇らしいものとなる。だから3000円で手に入るとか、そんな現実を突きつけてはいけないんだ。わかるな?」

「わからないわ」



 まさかの一刀両断だった。


 と、そこにひよりが「やれやれー」と首を横に振った。



「リラたん、わかってないなー」

「何よ、ひより」

「見てみなよアサたんを」



 ひよりに言われて朝彦を見る。

 猫のぬいぐるみとアームを見つめる朝彦の横顔は、真剣そのものだ。



「アサたんは、ひよりが欲しいって言ったから真剣に取ろうとしてくれてるのー。つまり、ひよりの為に頑張ってくれてるんだよー」

「ま、まさかっ……?」

「そうー。……サナたんがリラたんの為に頑張ってるところ、見たくないー?」

「見たい!」



 さすがひより。梨蘭の扱い方を心得ている。



「暁斗、暁斗っ。私、犬のぬいぐるみ欲しいわ!」

「はいはい。お姫様の仰せのままに」



 朝彦の隣の台に立ち、100円を入れる。

 そんな様子を見ていた朝彦は、苦笑いを浮かべた。



「ふふ。お互い、お姫様のために頑張りましょうか」

「だな」



 梨蘭のことだから、これだけじゃなくて色んなものをせがんで来そうだけど。


 そんな所も愛おしく思える。可愛いやつだ、本当に。

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