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【Web版】俺の『運命の赤い糸』に繋がってたのは、天敵のような女子だった件  作者: 赤金武蔵


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201/243

第199話

発売1週間前!

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「うおおおおおおおおん! よがっだぁ! よがっだあぎどおおおおお!!」

「暑苦しい」



 翌日、日曜日。

 梨蘭が全員に連絡すると、全員揃って家に来た。

 のはいいのだが、龍也が号泣して話にならない。

 マジで離れて、泣きすぎだから。

 あ、ちょ、鼻水付けんな!?


 龍也の頭を掴んで引き剥がすと、今度は脚に寧夏が引っ付いてきた。



「おいコラ寧夏、離せって」

「ひぐっ、えぐっ……! よがっだ、よがっだあぁ……!」



 て、お前もかい。

 2人を無理やり引き剥がすも、何度も抱き着いてこようとする。ええいっ、しつこい!


 そんな様子を、璃音は苦笑いして見ていた。



「まあまあ、暁斗君。2人とも学校でも酷い有様だったのよ。授業に集中できなくて」

「とか言っテ、リオンさんも練習に集中できてなかったじゃないカ」

「ちょ、リーザさん!」



 顔を赤くして怒る璃音。

 そうだったのか。やっぱり心配掛けてたんだなぁ。



「センパイ……全く、どれだけみんなに心配かけるんですか。ぷんぷんです、もう!」

「そうだよお兄。私……私っ……うえぇん……!」

「もう、琴乃泣きすぎ……ふぇ……ふえぇん……」



 そういう琴乃と乃亜も大号泣だ。

 これだけ心配掛けてたのか、俺……。



「本当……みんな、ごめんな。そして俺のために、ありがとう」

「私からも改めてお礼を言わせて。ありがとう、みんな」



 梨蘭と並んで頭を下げる。

 頭を下げずにはいられない。

 みんなの思い出と、梨蘭との思い出。

 これがなかったら思い出せなかったと思う。



「いや、俺のぜいだ……俺のぜいなんだがら、頭を上げでぐれぇ……!」

「ばかりゅーやを止められながっだウヂのぜいでもあるがらぁ……! ごべんよぉ……!」

「うえぇーーーん! おにぃ、よがっだあぁ!」

「ふぇーん! ぜんばいっ、ぜんばあぁいっ!」

「みんな、落ち着いて……うぅ……」

「いかんナ、もらい泣きしてしまウ……」



 いや、あの、マジで落ち着けみんな?



   ◆



 なんとかみんなを宥めることができ、リビングに移動した。


 梨蘭、寧夏、璃音、琴乃はキッチンで料理を作っている。

 今日は俺の快復祝いってことで、家でパーティーをすることに。


 一応、昨日病院に行って検査してもらって、特に脳に異常は見当たらなかった。


 何が切っ掛けでとか聞かれた時は、羞恥で死ぬかと思ったけど……。



「リラー、菜箸どこー?」

「右の引き出しよ」

「じゃ、私ポテサラ作りまーす」

「なら、私はお肉に下味付けるわね」



 料理慣れしてる女の子が協力して料理してるのを見ると、そそられるものがあるなぁ。

 眼福です、ありがとうございます。



「姐さんと琴乃の手料理……楽しみですねっ、センパイ!」

「そうだな。……て、お前は作らないの?」

「私、食べる専門なんで☆」

「あぁ、そういやバレンタインの時にコークス貰ったな」

「やだなぁ、あれはトリュフチョコレートですよっ」



 トリュフチョコレートをあんなゴリゴリガリガリに作れるの、ある意味で才能の塊だよ。


 当時のことを思い返していると、「それにしてモ」とリーザさんが口を開いた。



「一体何が切っ掛けで記憶が戻ったのダ? 思いの外早く戻ったみたいだガ……やはり濃緋色の糸が関係してたのカ?」

「関係してるかはわかりませんが……あ、いや、なんでもありません」

「おヤ? おやおヤ? おいおいその反応、何かあったとしか思えんゾ?」



 ニヤニヤすんな、腹立つ。



「センパイ、やっぱりエッチなことしたんですか? エッチなことしたんですか!?」

「2回言うな! あとしとらんわ!」

「えー、怪しー」



 乃亜とリーザさんが白い目で睨んできた。

 なんだその目は。



「はぁ……マジでしてないよ。本当に」

「は? それはそれで不純ですね」

「むしろ盛り上がって一晩中『ピーーー』するのが定石でハ? エロ同人みたいニ」

「俺にどうしろと」



 あと変なネットスラング使わないでください、リーザさん。使い方間違ってるし。


 2人が俺を見ながらこそこそと話していると、龍也が「まあまあ」と2人を宥めた。



「暁斗をからかうのはそれくらいにしてやろうぜ。な?」



 龍也の言葉に、俺らは目をパチクリさせた。

 は? え、龍也? 一体何を……?

 乃亜も同じことを思ったのか、首を傾げた。



「リューヤ先輩、どうしたんです? いつもならからかう(こっち)側では?」

「乃亜に賛同するのも癪だが、その通りだろ。どうしたんだ、龍也?」

「あー、いや……俺のせいで大変な目にあったんだし、これからは自重しようと思ってな」



 龍也は頬を掻いてそっぽを向く。

 こいつ、ずっと気にしてくれてたんだな。


 でも……。



「なんかリューヤ先輩っぽくないです。さては偽物だなー!」

「ちょっ、安楽寺脇腹つつくのやめろって」



 妙な空気を取り繕うように、乃亜が龍也にちょっかいかける。


 そんな龍也を見て、ほんの少しだけ心に穴が空いた……そんな気がした。

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