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【Web版】俺の『運命の赤い糸』に繋がってたのは、天敵のような女子だった件  作者: 赤金武蔵


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第161話

   ◆



「ごちそうさまでした」

「お粗末様でした。……あれだけあったのに、全部食べるとは思わなかったわ。さすが男子高校生の胃袋……」



 確かに皿いっぱいに山盛りにはなってたけど、まあこれくらいならな。

 でも、食いすぎた感は否めない。しばらくは動けそうにないな。


 椅子にもたれかかって休憩していると、梨蘭がもう皿を片付け始めた。



「まだ休憩してていいんじゃないか?」

「ダメよ。はやく水に漬けないと、汚れが落ちないでしょ? 油はお湯に漬けて、洗いやすくしないといけないし」



 すっかり主婦だ。正確にはまだ主婦ではないけど、若妻感が出ている。

 仕方ない。ここは俺も動かないと。後で何を言われるかわかったもんじゃないし。


 俺も自分の分の皿をまとめ、シンクに持っていった。



「ありがとう。でも、休んでていいわよ。お腹いっぱいでしょ?」

「でも、梨蘭にばかり任せるわけにもいかないだろ。料理もやってもらったんだし、これくらいは俺にもやらせてくれ」

「……あ、ありがと」



 皿を運び、2人で並んで皿を洗う。

 俺が皿洗い担当。梨蘭が皿拭き担当だ。

 俺が手際よく洗っていると、梨蘭がこっちをチラチラ見てきた。



「どうした?」

「い、いえ。その……たくましい腕で、お皿を繊細に洗ってる男の人って、なんかいいなって思って」

「そ、そうか?」



 俺としては、家でもやってたことだから特に何も思わないけど。

 父さんも家にいる時は、母さんの手伝いとかしてたし。

 家によってそういうのは違うのかな。


 漬け置きが必要なものは漬け、後の簡単に洗えるものは全て洗い終えると、時刻は既に20時を回っていた。


 少量とはいえ荷解きをし、慣れない環境のせいか、もう結構眠気が来てるな。



「ふわぁ~……」

「暁斗、おねむ?」

「まあ……風呂入って寝ようかな」



 風呂場を確認した時、ボディソープとシャンプーはあったはずだし。

 風呂場に向かおうと席から立ち上がる。と——ひとつ、重大な問題が脳裏をよぎった。



「あ」

「どうしたの?」

「……寝床、どうする?」

「あ」



 梨蘭も思い出したのか、フリーズした。


 寝床。つまりベッドだが……この家を見て回った時に、ゲストルームを除いてベッドがあったのは2階の寝室のみ。

 つまり、俺と梨蘭はそこで寝ることになるのだが……。


 梨蘭と目が合う。

 直後、梨蘭の顔がリンゴのように真っ赤になった。

 恐らく俺も、同じように真っ赤になっていることだろう。


 り、梨蘭と同じベッド……て、それはいくらなんでもまずすぎる。

 濃緋色の糸で繋がっていても、結婚していない男女が同じベッドって、どう考えてもアウトだ。


 ゲストルームで寝てもいいと思うけど、ずっとそういう訳にもいかないし……。



「きょ、今日は俺、ソファーで寝る。梨蘭はベッドで寝てくれ」

「それじゃあ、暁斗の疲れが取れないでしょ。私がソファーで……」

「そんなの論外だ。女の子なんだし、体を冷やさないためにもちゃんとした所で寝た方がいい」

「この時代に、男だからとか女だからって論争は問題外よ。男も女も関係なく、体は冷やしちゃダメにきまってるでしょ」



 じゃあ梨蘭がソファーで寝るのもダメだと思うんだけど。

 でもどうするか……とりあえず、全部屋探して予備の布団がないか確認するしかないかな。


 そう考えていると。



「いいじゃない。同じベッドで寝れば」

「そ、それはだなぁ……」

「何が問題なの? もちろん付き合ってない男女とかが同じベッドは問題あると思うけど、私達は『運命の赤い糸』で結ばれていて、付き合っているのよ? 何も問題ないわよ」



 確かに、言葉や文面にするなら何も問題はない。

 龍也と寧夏。璃音とリーザさん。その他の人は大丈夫だろう。

 ただ、俺達は濃緋色。桃色の糸の数十倍体の相性がいい。

 そんな俺達が一緒のベッドって……梨蘭もわかってるはずだ。



「暁斗、アンタ考え過ぎよ」

「そ……そうかな……?」

「ええ。私達なら大丈夫よ。体の相性って、何も物理的なものだけじゃないでしょ。一緒にいて安心する精神的相性も大事だと思うの」



 あー、なるほど。確かに。

 ……いや、俺らって精神的相性いいか? 赤い糸が現れる前はバチバチにいがみ合ってたけど。


 横にいる梨蘭をチラッと見る。

 が、肝心の梨蘭は俺とは反対の方を向いていた。

 僅かに見える耳は真っ赤で、首まで赤くなっている。気にしてないって感じだったけど、バリバリ気にしてんじゃん。



「じゃ、じゃあ私、先にお風呂行ってくるから……!」

「お……おう」



 そそくさとリビングを出ていく梨蘭。

 あんな顔見せられて、気にするなって方が無理だろ、これ。



   ◆



 1時間後。リビングでスマホをいじって待っていると、リビングの扉が開いた。



「あ、暁斗、お待たせ。次いいわよ」

「あ、おう。わか……たっ!?」



 り、り、りらっ……それ……!


 上下ピンクのルームウェア。しかし下は生脚剥き出しのショートパンツ。上は半袖のボタンシャツだ。

 可愛いし、似合っているが……はっきり言って露出度が高い。



「そ、それ……」

「わわわ、私、ルームウェアはゆったりしてたり、動きやすいのが好きだから……! こ、これも普通。普通だからね!?」

「そ、そうか……」



 そういや、琴乃もショートパンツにキャミソールのルームウェア着てたな。

 確かにあれもかなり露出は高かった。それに比べれば普通だし……俺が過剰反応しすぎか。



「じゃ、俺も風呂入ってくるから」

「え、ええ。……お湯飲まないでよ?」

「俺はどこのド変態だ!?」

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