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【Web版】俺の『運命の赤い糸』に繋がってたのは、天敵のような女子だった件  作者: 赤金武蔵


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第109話

 柴犬と共に、梨蘭とゴールデン・レトリーバーを見ることしばし。


 満足したのか、ようやくこっちにやって来た。



「はふ。満足……♡」

「……よかったね」

「……ご機嫌ななめね。嫉妬?」

「ちげーよ」



 いやまあ、違くはないけど。



「何よ。アンタだって黒柴ちゃんと仲良くしてるじゃない」



 と、俺の横に座る黒柴を撫でようとしたが、その手を潜り抜けて反対側に移動した。



「あ、あら? おーい、仲良くしましょうよー」

「がるるるるっ」

「ひっ!?」



 めっちゃ威嚇されてる。

 あの子を取った元凶が憎いらしい。



「よしよし、安心しろ。こいつは俺の大切な人だからな」

「くぅん」



 俺の撫でを素直に受け入れる黒柴。

 その様子に、梨蘭はむぅっとふくれっ面になった。



「暁斗ばかりずるいわっ。私、柴犬好きなのに……!」

「俺らはチーム寝取られという固い絆で結ばれてるからな」

「は?」



 そんな怖い顔しないで。



「……よくわかんないけど、私だって諦めないわよっ」



 梨蘭はめげずに追い掛け、黒柴は逃げ。


 追い掛け、逃げ、追い掛け、逃げ、追い掛け、逃げ、追い掛け、逃げ……。



「あははっ! 待ちなさい!」

「わんわんっ!」

「いやなんで仲良くなってんだお前ら」



 おい黒柴。チーム寝取られの固い絆はどこ行った。


 楽しそうに逃げる黒柴に、それを追いかける梨蘭。

 それに感化されてか、他の犬や子供達も楽しそうに走り回る。


 結局スタッフに注意されるまで、追いかけっこは続いた。





「はぁーっ、疲れたわー。もう汗だくっ」

「そりゃ、あれだけ走り回ったらな」



 駅前から移動し、ちょっとした繁華街に来ていた。

 相当暑いのか、胸元を摘んで少しでも涼を取ろうと扇いでいる。


 扇いだ拍子に柑橘系の香りと汗が混じった淫靡な香りが、俺の鼻腔を掠めた。


 …………。


 いやいやいや梨蘭さんちょっとは俺が隣にいること意識しようよ!

 エロいんだよ! チラチラ見える胸元! 谷間! そこに溜まってる僅かな汗!

 ダメだよ! そんな……ダメだよ!(語彙力)



「ちょっと暁斗。見すぎ」

「ッ! しょ、しょうがねーだろ……! てか気付いてたのかよ」

「当たり前でしょ。見せてたんだし」



 んべ。小さく舌を出し、いたずらが成功した子供みたいに笑う。

 なんだこれ。どんだけ俺をドキドキさせれば気が済むの。



「ねえ、暁斗」

「な、なんだよ」

「暁斗は、私の体ってどう思う?」

「……どう思うとは?」

「欲情する?」

「ぶっ!?」



 お、おまっ、えっ……! 急に何を言い出すんだよッ!?


 思わず梨蘭の顔を見た。

 すると、さっきと同じようないたずら顔をしているではないか。

 こいつ……俺の反応を見て楽しんでやがるな。



「梨蘭」

「な、何よ、そんな怖い顔して……ちょ、えっ……?」



 ジリジリとにじり寄る。

 梨蘭もそれに合わせて後ずさるが、壁にぶつかりそれ以上下がることができなかった。


 と、梨蘭が逃げないように、いわゆる壁ドンをする。

 我ながら古いとは思うが、今はこれが最善だろう。梨蘭も、顔を真っ赤にして慌ててるし。



「梨蘭、あんまり男を舐めるなよ。──食うぞ」

「ひぅっ……!?」



 あ、やべっ。ちょっと怖がらせすぎたか……?



「な……なーんてな。でもあんまそういうちょっかいは出さない方がいいぞ」



 慌てて離れて、取り繕う。

 やっべぇ。なんだよ今の。全然俺のキャラじゃないって。



「さ、さあ、次はどこ行く? さすがに暑いし、家に戻るか? ……あれ、梨蘭?」



 振り返ると梨蘭は壁に寄りかかり、目をぐるぐるさせていた。


 え、大丈夫か?



「く、くくくくくう……クウ……食う……? 食うって……え、私食べられちゃう? ついに大人の階段登っちゃう……? 今日、わたし……わた、わたっ、わわわわわわ……!?」

「……おい、大丈夫か?」

「あひっ!? だっ、だいじょぶっ、でしゅっ……!」



 とてもそうは見えないけど!?



「辛いなら、どっかで休むか?」

「休む!? え、えっち! すけべ!」

「なぜ!?」

「こ、こ、こんな場所で休むとかっ、何言って……!」



 こんな場所?

 周りを見渡す。

 ……あ、ここ……ほ、ホテル街ッ!?



「ち、違っ! ただ梨蘭が辛そうだったから、そう提案しただけで……! 別に下心とか他意とか、全くないから!」

「そ……そぅ……」



 いやなんでしょぼんとしてんのさ!?



「と、とにかく暑いだろ。ここじゃないにしろ、どこか店に入ろう。なんなら、うちに来て涼んでもいいし」

「……なら、暁斗の家がいい」

「そ、そうか。わかった」



 とにかくここから移動しよう。

 ホテル街で梨蘭と2人きりとか、心臓に悪すぎる。


 なんとなく恥ずかしく、梨蘭の顔をまともに見れないまま家に向かって歩いていく。


 それがいけなかったのだろう。


 梨蘭が覚悟を決めたような顔をしているのに、気付けなかった。

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― 新着の感想 ―
[一言] あっはっはまさか?ノクターン案件ではございませんでしょう? 作者様が手綱握らないと爛れた性活になってしまいますよこの人達w いやー眼福だけどねーwやっぱ見てて癒やされるわこの2人。
[一言] ゴールデンレトリバー(ゴールデン・レトリーバー)警察が出るぞぉ。
2021/06/18 08:41 退会済み
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