第104話
◆琴乃◆
見たわよ|壁|Д゜)
どうも皆さんこんにちは、琴乃ちゃんです。
私は今、とんでもないものを見てしまっています。
実は私、梨蘭たんを応援するべく後をつけていたのです。
……いや、別に密室で2人がムフフな展開になってたりとか、そんなのを覗き見ようと思ってないから。……ホントダヨ?
閉められたドアをこっそり開け、中を覗き込む。
すると。
「……すぅぅぅぅぅーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー……はぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー……はああぁぁぁんっ……!」
梨蘭たんがそこにいた。
お兄の部屋で深呼吸し、身を捩って悶絶する美少女。
なまじ顔がいいもんだから、とろけきった顔の破壊力はえげつない。
とりあえず、無音カメラで撮影。
盗撮? いいえ、記念写真です。バレなければ犯罪じゃないのです。嘘です。でも許してください。
お兄のスメルを全身で感じている梨蘭たん(ちょっとヤバい)を眺めていると、今度は寝てるお兄に近づいた。
あー、お兄の寝顔に見とれてるよ。
まあお兄も顔はいいからなぁ。私に似て。キャピッ☆
そんな梨蘭たんは、しばらくじっと見つめて。
ぱしゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃ──。
なんかものすごい勢いで写真撮り始めた。
いや、やべーわ……(ドン引き)。
写真を撮り終えて満足したのか、梨蘭たんはお兄の側に座り込んで頭を撫でた。
「ごめんね、暁斗。……いつも、お疲れ様」
あーこれこれ。こういうのがみたかったんだよ!
エモいなぁ。罪悪感と憂いと愛しさが共存する表情、エモいなぁ。ぐへへ。
またも無音カメラで撮影。
うんうん、いい画角の写真だ。これは我が家の家宝決定だね。
さて、そろそろ今来た風を装って、中に入らせてもらおうかにゃ。ぬふふ、慌てふためく梨蘭たんの姿が目に浮かぶぜ!
……おや? 梨蘭たんの様子が……。
「お、お邪魔しまぁす……」
「ッ!?!?」
や……やった……やりやがったよ、この女!
寝てるお兄の横に寝た! あの素直になれない梨蘭たんが!
な、なんて大胆な……梨蘭たん、恐ろしい子!
むぅ……ここからじゃよく見えない。
お兄の背中に引っ付いて、おっぱいを押し当ててるのはわかる。
けど、今の梨蘭たんは幸せの絶頂にいるはずだ。多分、だらしない顔になってることだろう。
見ると、ずっと体をモゾモゾさせている。
うーん、ギリギリの絵面だ。とりあえず写真は撮っておこう。
そのまま待つことしばし。
……あれ? 静かになった?
「……しゅぴぃ」
ね、寝たーーーーーー!!!!
梨蘭たん、あろうことか爆睡!
爆&睡!!
お兄が眠ってるからって、油断しすぎじゃないですか!?
静かにお兄の部屋に入り、そっと2人を覗き込む。
可愛らしい寝顔を見せているお兄と、愉悦に浸っている顔で眠る梨蘭たん。
……なんか、悔しい。ほんの数年前までは、私がその場所にいたのに。
ま、私ももう中3だし、今更お兄と一緒に寝たいとは思わないけど。
「くぅ……」
「すゃ……」
……ほんと、お似合いの2人だね。
赤い糸で繋がってる2人って、こんなにお似合いなんだ。
そう言えば、龍也さんと寧夏たんも赤い糸で結ばれてるんだっけ。
……私の赤い糸は、誰と結ばれてるのかな……。
でも。
「……すぅーーーー……おっっっっっきろーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
「「うわあああぁぁぁぁっっっ!?!?」」
「にしし。おはようバカップル♪」
いつかは、誰かの運命の人でも。
今はまだ、大好きなお兄ちゃんと、大好きなお姉ちゃんにかまって欲しい──可愛い妹でいたい。
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