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ひとりごと  作者: 遊々
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乗らずの誓い、破られたり

2020年09月23日

 8月下旬のある日、私は仕事で用事を頼まれて郵便局へ向うこととなった。

 郵便局へ行くことはままあったので、私は慣れた様子で日傘を差して郵便局へと歩いて行く。その日はとても暑い日だった。

 つーっと額に汗を流しながら郵便局へと到着し、日傘を畳んで自動ドアを通り抜ける。休む間も無く郵便受付カウンターに向かい、鞄から荷物を取り出して受付のお姉さんに渡した。


「お願いします」

「はい……申し訳ありませんが、当店ではチルドはお取り扱いしてないんですよ」

「え?」


 私が会社から頼まれていたのはチルドゆうパックの荷物だったらしく、受付のお姉さんによると取り扱いしている郵便局が限られているらしい。

 今まで生きてきて『チルドゆうパック』なんて言葉を初めて聞いたので戸惑いつつも、仕事を遂行するためにとりあえず受付のお姉さんに近隣の取り扱い店舗を聞き出してその場を後にした。

 狭い郵便局だったので郵便局の外に出てお姉さんから聞き出した店舗を思い出すも、聞き覚えはあるがいまいち場所が思い出せない。


 というのも私が現在住んでいる土地に引っ越してきたのは二年半くらい前であり、職場と家の往復ばかりであまり出かけることのなかった私には、未だに聞いた覚えはあっても場所が分からないところが大半だったからである。

 故郷にいた頃から地名や町名を覚えるのが苦手で、何十年も住んでいたのに町の名前だけ言われてもピンとこないこともあった。それくらい苦手なのだ。

 それが二年半ほどしか住んでいない土地となればもうサッパリである。


 携帯で検索してみようと鞄を探し、携帯を会社に忘れてきたことに気付く。このままでは目的地に辿り着くことは不可能だと悟り、上司に近くの郵便局では取り扱いがなかったと報告もしなければと再び日傘を差して元来た道を戻って行った。



 会社に戻り、郵便局の受付のお姉さんから聞いたことを報告すると、


「〇〇郵便局か…歩って行くには遠いね。自転車を貸すからそれで行っておいで。よろしくね」


 といったようなことを言われた。

 はい、と短く返事をして自転車の鍵を預かり、しっかり携帯を持って会社のエレベーターに乗りながら思ったのは一つだけ。


(自転車、また乗るんやなぁ…。)


 次の日、案の定筋肉痛になりました。




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