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第93話 袁紹との同盟成立、そして跡継ぎをはっきりさせようか

 俺は袁紹あてに、洛陽の皇甫嵩を俺と袁紹で挟み撃ちにする提案の使者を送った。


 俺は河東と弘農を押さえ、袁紹は河南尹と河内を抑えるという約定も定めておいた。


「このくらいはしておいたほうが揉め事も起こらんだろう」


 その間に一番上の息子である董超と董越、呂布が并州から戻ってきた。


 并州にはそのかわり皇甫規の息子や甥と王允を并州に派遣しておいた。


 そして董超と董越、呂布は黒山賊の頭である張燕や、一度何進に属し并州に戻って募兵を命じられ黒山賊と対立していた張楊もその配下に収めたようで彼らもやって来ている。


 張楊は史実においては丁原の部下として呂布と親しくしていたことがあったが、董卓に最初は従わずに袁紹と共に反董卓同盟に加わり袁紹が冀州において勢力を伸ばすのに貢献した。


 だが、匈奴の族長である於夫羅が叛いたときに張楊は彼に捕らえられたが、いつのまにか釈放されていた上に、敵対した董卓から河内郡の太守に任命され董卓に従い董卓が暗殺された後は、流浪の最中で困窮していた呂布を保護したりもしている、最後は呂布を助けようとして部下に殺されていたりするのだが。


「父上、只今戻りました」


 三人を代表して長男である董超が俺に挨拶をしてきた。


「うむ、并州はほぼ平定できたようだな」


「はい、これよりは父上と共に戦えるかと」


「いや、今後俺は政務に集中しようと思う。

 今後の軍務の筆頭は董(旻)叔穎に任せるつもりだ」


 俺の言葉に董超がうなずく。


「なるほど、叔穎叔父上に従い今後は戦えということですか」


 それに対して俺は首を横に振った。


「いや、董(超)文瑾、長子であるお前は俺とともに今後は政務について学んでもらう。

 董(越)遠公と呂(布)奉先は次代の筆頭武官として董(旻)叔穎の下で指揮官としての経験を更に積むようにせよ」


「かしこまりました」


「かしこまりました」


「かしこまりました」


「それと共に董家の継承は長子が行うことをここに明言しておく」


 賈詡は俺の言葉にうなずきいう。


「そのように明言なさるのが良いでしょうな」


 史実において賈詡は曹操の後継者を選ぶにあたって、家臣の間で曹丕派と曹植派とに分かれていたところを曹操に問われ「袁紹と劉表のことを考えておりました」とだけ答えて、袁紹と劉表が後継者をはっきり定めず死んだことで後継者争いにより家中が分裂して滅ぼされたことを示したというから彼にしてもそろそろ俺の後継者を決めておいてほしかったのだろうな。


 まあ、決めたら決めたで場合によっては暗殺などが行われる場合もあったりするし、史実の蜀や呉のことを考えると実子の長子であれば良いとは行かなかったりもするのではあるのだが。


 そして袁紹のもとへ送った使者が戻ってきた。


 袁紹は俺の提案を受け入れるようであるが、自分自身は冀州の西側の黒山賊との戦いで忙しいのでと言う理由で、青州の黄巾残党をまずは兗州経由で洛陽方面へ送り出すようだ。


「青州黄巾を食わせられない以上は、兗州の劉寵に兵糧の負担を押し付けるつもりかな?」


 そしてこれからの行動を皆に指示する。


「孫(堅)文台、陶(謙)恭祖、朱(治)君理、陸(康)季寧」


「はっ」


「はっ」


「はっ」


「はっ」


「(董越)遠公に従い揚州北部を鎮圧せよ」


「かしこまりました」


「かしこまりました」


「かしこまりました」


「かしこまりました」


「曹(操)孟徳は洛陽に赴いて万が一に備えよ」


「万が一と申しますと天子でございますかな?」


「ああ、袁(術)公路が少帝を弑逆したように、袁(紹)本初にとっては天子は現状は邪魔な存在であろう。

 故に宮殿に詳しいお前には天子を救う役目を与える」


「かしこまりました」


「呂(布)奉先は董(旻)叔穎の下で弘農や河東を押さえよ」


「お任せください」


「蔡(瑁)徳珪は荊州の士大夫達に私の下につくよう勧めてほしい」


「わかりました、お任せください」


「黄(忠)漢升、黄(蓋)公覆は江夏郡と予章郡を確実に押さえよ」


「かしこまりました」


「かしこまりました」


 予章郡には袁術から送られたらしい笮融(さくゆう)がいるが、うまく排除してほしいものだ。


 彼は袁術と同じような掠奪で財を集めるタイプの男なので評判はすこぶる悪いはずだが。


 朱儁や劉備がまだ戻ってきてないのはちょっと気になるのだがな。


 朱儁は母親の喪に服している可能性も高いが、劉備は公孫瓚と同じように俺から離れるかもしれないな。

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