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第63話 まずは巴郡の五斗米道から鎮圧しようか

 さて洛陽での色々なやり取りはなんとか無事終わって、呂布に俺の娘の四女を嫁がせることにした。


 年齢的にもちょうどいいカップルだろう。


 こういっちゃなんだが呂布とは幼馴染で親の俺が言うのも何だが美人で才色兼備な娘だ。


「というわけだがどうだ、うちの娘との結婚は」


「もちろん俺に異存はありません!」


 ということで呂布と娘の結婚式を終えたら益州へ向かった。


 ちとややこしいがこの時期の「五斗米道」と言うのは実は2つある。


 張魯の祖父の張陵の五斗米道である黄帝を開祖とし老子を大成者とした黄老道を元にした天師道と、反乱を起こした張脩のもっと古い呪術をもとにした巫鬼道だ。


 永寿3年(157年)まず開祖である張陵が死んだ後は、子の張衡が教団を引き継いだのだが、光和2年(179年)にはその張衡も亡くなって、張魯が後を継いだが、父亡き後の巴蜀では、巴郡巫県の人である張脩の巫鬼道の五斗米道のほうが活発になってしまって、漢中や巴郡に信者を増やしていき、張魯は益州から追い出される形になった。


 これは張魯が教団教祖としてはまだ若かったからだろう。


 俺は張魯と話をすることにした。


「張(魯)公祺は巴郡や漢中については詳しいかな?」


「はい、以前は父母とともにそちらにいましたので道案内ならお任せください。

 偽五斗米道の張脩は我等の手で討ち取りましょう」


「お、おう、そうだな。

 もっとも無駄に殺しまくることもないだろう、投降してきたら適当に使えばいいと思うがどうだ」


「そうですね、その時はその時です」


 ちょうど益州から追い出されて、地元の豫州に戻っていたんだろうけどかなりやる気だ。


 張脩の反乱は黄巾の乱が鎮圧されると勢いを失い張脩も多少没落したが、劉焉が益州牧として赴任してきた時に彼が張脩を手懐けるまではおさまっておらず、張脩は劉焉に帰順してその傘下に入ったし、張魯の母も美貌と巫術をいかして劉焉に取り入ったことで、張魯も督義司馬に任命されたが兵権は張脩にあった。


 後に張魯と張脩は劉焉の命令で漢中を攻め取り、その時張魯は張脩を襲撃して殺し兵士を奪い取って、劉焉にその統治を任され、劉焉の死後は漢中で独立勢力となっている。


 そのせいで母や家族を劉璋に殺されてるのだが 。


 そんな感じで張魯は張脩との権力争いではかなりえげつない事もしているが、彼の民政は民に慕われ、部下の言葉に良く耳を傾けつつも、君主として舵を取る時は適切な判断を下した結構有能な人物だ。


 俺や俺の息子が彼以上の器量を示せばついてくるだろうが、見限られたら独立することもあるだろうな。


 まあそれは呂布や曹操や孫堅などもそうだろうけど。


 ちなみに東では兗州の東郡に向かった皇甫嵩が、倉亭で黄巾賊の将の一人である卜己(ぼくき)を捕らえ、兗州の反乱を鎮圧しているようだ。


 盧植の方は広宗県城に対して抵抗が激しく、力攻めは行わないで兵糧攻めにしているようで内部はかなり悲惨なことになってるらしい。


 本来盧植を見面する宦官の小黄門である左豊は、俺が粛清してるので盧植の更迭はおきていない。


 盧植が罪人として洛陽に送られ、代わりに本來は河東太守から東中郎将になった俺が派遣されるはずだったんだが、盧植が更迭されたことに不満をいだている兵士ばかりで見知った兵士もろくにいない状況で戦わされては勝てるわけもない。


 しかも宦官は力攻めすれば勝てると思ってるバカばかりだから、俺もあえなく更迭されて皇甫嵩が冀州も討伐を行うようにされるわけだがな。


「念のため漢中に兵をおいておくべきか……」


 広漢郡の馬相や趙祗が漢中に攻め込むと、俺たちは退路や補給線を断たれる形になる。


 念の為、弟の董旻などを漢中に残しておいて、その穴埋めは以前に降伏させた板楯蛮をあてることにした。


「すまないがよろしく頼むぞ」


「ああ、わかってる。

 こっちは任せてくれ」


 まあ董旻も別働隊を率いるのはもうなれてるし問題はないだろう。


「板楯蛮の長たちに伝えよ、必要な食糧などはこちらが提供するゆえに、巴郡の反乱鎮圧に手を貸してほしいと」


「わかりました」


 そして板楯蛮たちがやってきた。


「我らの力を必要とのこと、ぜひともお使いくだされ。

 そのかわり食糧はよろしくおねがいします」


「ああ、わかってる」


 そうして板楯蛮を含めた兵を巴軍へ進めたら張脩はあっさり降伏してきた。


「これは虐げられた民を思っての行動でございます。

 首を必要とするならば我が首のみにておさめていただきたく」


「ふむ、どうするかね?」


 俺は張魯に聞いてみた。


「降伏したと言えどやはり罪は罪です。

 しかしなれど、降伏したものを斬ったとなれば、今後は我々に降伏するものはいなくなるでしょう。

 ですので洛陽へ送り法に照らし合わせて裁くべきです」


 賈詡もその言葉にうなずいた。


「私もその意見に賛成ですな」


「わかった、洛陽へ罪人として送り届けるとしよう」


 張脩は檻車にのせられて洛陽に送られた。


 死罪になるか罪を減じられるかはわからないが、この後の五斗米道の信者の対応は一旦張魯に任せておくか。

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