表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/177

第59話 南陽の黄巾賊を撃破したよ

 さて、今回の先陣は呂布と上の息子二人だ。


 宛城では”官軍が攻めてきたが離脱者が続出して兵数が減ってる。


 それでも勝たなければ罪になるんで焦っているらしい”という噂も広めさせている。


 これで相手が油断すれば儲けものだ。


 おそらく成功するだろうけどな。


 本来ならそれが事実になっておかしくない状況で、史実にて皇甫嵩や朱儁が波才に敗れたのも、黄巾党の数が多い上に、兵士にやる気がなかったからだと言われてるしな。


 そしていつもなら俺自身が先陣を切っているが、俺ももう40半ばでそろそろ最前線はきついのもあるし、そのためにも今後は俺の代理として、息子たちが武将たちの上に立って戦えることを示してもらわねばならん。


「お前たち、うまくやってくれよ」


「わかっております、義父上」


「はい、無様な姿を晒しませぬ」


「お任せください」


 南陽に詳しい黄忠の案内を元にして、俺の指示で黄巾の賊徒を釣りだして、なるべく長い列にし、それが伸び切った時点で、伏兵による一斉攻撃を行い賊徒を壊滅させる作戦を実行する。


 具体的に誰をどこに配置するかと言うところで賈詡が言った。


「宛城に近い場所には古くからいる者を。

 最も離れた場所には将軍が伏せ、その近くに新しく参入したものを置くべきでしょう。

 城に近い場所にいるものが、功績を上げたいがために先走れば失敗いたします」


「ふむなるほどな、たしかにそうだろう。

 我々が敵と交戦したらば煙を上げるゆえ、それから攻撃を行うことを厳命する」


「わかりました!」


 その意見を聞き、宛城に近い場所の伏兵には馬騰や韓遂等の古くから従ってるものを置き、最近に従ったものはなるべく離れた場所に配置することにした。


 城に先に入ればそれだけ功績として認められる可能性も高いが、しびれを切らして敵が出きっていない時に攻撃をかけて失敗などというのは目も当てられないからな。


「では、作戦を開始する。

 各自が己にかせられた役割を果たすことを肝に銘じよ」


「はっ!」


 それぞれが兵を率いて持ち場に向かい、呂布たちは3人で合わせて4千ほどの軽装短弓騎兵を率いて、宛城へ真っ直ぐ向かった。


「さて、皆きちんと従って動いてくれぬと困るがどうかな」


 ・・・


 先陣を任せられた呂布たちは一糸乱れぬさまで宛城へ向かう。


 3人は長い間一緒に訓練などもしてきた仲間で有り配下の兵士たちも多くは并州から一緒に来ている。


 そして宛城の近くへたどり着いた時に城門へ向けて大声で言い放つ。


「黄巾の賊徒共、たとえ一時城を落としたとしてもその後捕らえられ皆殺しとされるぞ。

 今ならば降伏を許してやる、おとなしく投降せよ!」


「はっ、官軍とは名ばかりの民の敵どもが!。

 そちらこそ武器を捨てて、馬を我らに献上すれば、投降をゆるしてやろう。

 だが否と言うならば、即座に包囲して皆殺しにしてくれよう!」


「賊徒風情が! やれるものならやってみよ」


「ならば、貴様らを殺して、馬肉を食らうてみせようぞ!」


 そう言い放つと、城門が開かれて中より黄巾の兵がわっと押し寄せてきた。


「賊徒共を射殺せ!」


 騎乗から弓がヒュンヒュンと放たれて兵を倒していくが、黄巾兵は仲間の死体を踏みつけて進んできた。


「ぬうっ、数が多すぎる、こ、ここは引け!」


 馬首を返して慌てて逃げ出すように見えた呂布達の姿に、黄巾賊は笑い声を上げる。


「口先だけか、追え!追え!」


 呂布たちは馬に乗り逃げながら、必死に後方に追いすがる黄巾兵を射て殺していくものの、圧倒的な数の差にその運命は尽きただろうと追いかける、黄巾賊が勝ちを確信した瞬間。


 ”ジャーンジャーン”


 大きな銅鑼の音がなり響いて、横より猛烈な弓矢の雨が降り注いだ。


「げえっ?!伏兵!?」


「うわああ!」


「な、なんだ?」


「曹孟徳の鍛え上げし弓兵の力をとくと見よ!」


 混乱する黄巾賊達。


 そこへ刀を抜いた一人の武将が斬りかかる。


「我は孫文台なり!皆のもの続けい」


「おおっ!」


 そして大きく煙が立ち上って行くと、一列に伸びた黄巾党の兵に、左右から次次に弓矢の雨が浴びせられ、鉾と盾で身を固めた兵士や刀だけの兵士などが切り込んでいった。


 ・・・


 伝令兵の情報により大体の状況を把握した俺はほっと一息ついた。


「ふむ、どうやら先走るものはいなかったようだな」


「そのようでございますな」


 軍師参謀たちもホッとした表情だ。


 最悪俺自身が黄巾賊の先頭集団と戦うことも覚悟していたが、その必要はなさそうだしな。


 戻ってきた呂布達が誇らしげに言った


「どうだ、義父上?」


「俺達うまくやれたでしょう?」


「まあ相手が単純だっただけでもありますけどね」


 俺は三人の言葉にうなずいた。


「うむ、三人共うまくやってくれたな」


「まあそれほどでも?」


「ないですけどね」


「まあ我々ならできて当然ですよ」


 言うほど疑似敗走による釣り出しは簡単ではないし、結構危険なのだがきちんと努めてくれたし周りのものも認めるだろ。


 張曼成や趙弘、韓忠、孫夏といった指揮官も斬り、俺たちは宛城を制圧したのだった。


 兵士の内生き残ったものは降伏させ、食糧を提供して炊き出しを行い、病人の治療をさせることで南陽の民衆の反感を解いていたが、豫州・潁川の波才率いる黄巾軍に皇甫嵩が敗走したとのことで俺たちは潁川に向かうことになった。


「次は豫州か、ここと同じようには行かなそうだな」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ